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復活した「キンケシ」に再ブームの兆し 新造形と新たなアイディアがファンの心を刺激

 1970年代に子供用玩具として日本に定着したカプセルトイ。近年では、玩具の域を超えた精巧なフィギュアなどが登場し、国内はもとより、日本土産として外国人観光客からも人気が高い。そんなカプセルトイを語るうえで外せない大人気マンガ「キン肉マン」のフィギュアシリーズである「キンケシ」が、昨年6月に復活。11月現在でシリーズ第9弾を重ね、再ブームの兆しを見せている。累計出荷数1億8000万個を記録した初代シリーズから35年。カプセルトイとして10年ぶりの復活となった背景と人気の理由を、販売元のバンダイに聞いた。

コレクター向けアイテムがカプセルトイ復活のきっかけに

 日本にカプセルトイが登場したのは約50年前。1983年に「キンケシ」が登場すると全国に空前のブームが巻き起こった。当時の小学生たちは、漫画『キン肉マン』に登場する超人たちを模した、この全高約40mmのフィギュアに夢中となった。

 発売から4年後の1987年に初代シリーズは終売したが、その後も幾度と復活し、主なシリーズで1991年に王位争奪編、1998年に復刻版、2007年にキンケシ復刻版などがある。現在、これらのなかには、ネットオークションなどで1体数万〜数十万円の高値で取引されているものもあり、大人のコレクターズアイテムとしても人気を集めている。
  • キンケシ15体がセットになった『キン肉マン キンケシプレミアム』。往年のファンに向けたプレミアムグッズとして登場し、11月末時点でシリーズ10弾を重ねる。

    15体のキンケシがセットになった『キン肉マン キンケシプレミアム』。11月末時点でシリーズ14弾を重ねる。(C)ゆでたまご・東映アニメーション

 昨年6月に登場した新シリーズ『キン肉マン キンケシ』も、そんな大人たちの支持が復活販売の後押しになっているという。

「きっかけは、当社の通販サイトであるプレミアムバンダイで販売した『キン肉マン キンケシプレミアム』のヒットです。2017年2月に、かつて『キンケシ』に夢中になった世代へ向け、当時商品化されていなかった超人を加えた厳選15体のプレミアムセットとして販売したところ、想定の150%もの売り上げを記録。社内でも“このタイミングならガシャポン(バンダイのカプセルトイの商標)もイケるのでは”となったんです」(バンダイ ベンダー事業部・松原大典マネージャー)

新造形こそが「懐かしい」という感情を喚起する要

 『キン肉マン キンケシプレミアム』の実績をうけ、カプセルトイの新シリーズにも新たな超人が投入された。
 
「キン肉マンやテリーマン、ロビンマスクなど、初期から人気の高いレギュラー超人に加え、現在、WEBサイト『週プレNEWS』にて連載中の続編シリーズから、新たな超人を追加することで往年のファンたちにも“今じゃないと手に入らない”として、引きのひとつになりました」(松原さん)

 金型を新たに起こしたことも人気の一因として考えられるという。かつての金型は時間が経過して使えないということもあったが、当時と比べて技術が進化していることから、「新しく金型を起こしたほうがより魅力的な商品に仕上がると考えた」と、松原さん。

 素人考えでは、当時の造形をそのまま復刻させるほうが懐かしさを覚え、「往年のファン受け」しそうに思うが…

「実は、新造形の方が、記憶の中のキンケシに近いんです。よく“思い出は美化される”と言いますが、記憶は脳内変換されていることが多く、今、実際に当時のものを目の当たりにすると、記憶と“ズレ”が生じます。造りが思ったより荒かったり、腰のあたりに下げていると思っていた両腕が意外なポーズをしていたり」(松原さん)

 これらの記憶との“ズレ”を解消するため、新造形で目や装飾などの細部を精密に表現し、ポーズにも一定の基準を設けた。

「新造形にすることで“思い描く懐かしのキンケシ”を送り出すことができ、ヒットにつながったんだと思います。無彩色のペールオレンジをメインで採用しているのも“キンケシはペールオレンジ”という思い出を大切にするためです」(松原さん)

コアファンに人気の「血盟軍」も登場 陣形の再現を楽しんでほしい

 これまでのイメージを損なわないよう配慮しながら、新たな挑戦も行っている。新シリーズには、定番のペールオレンジ・赤・青のカラーバリエーションのほか、細部に色が塗られたフルカラータイプが登場。キン肉星の王位を賭け戦った「王位争奪戦」の死闘後など、メモリアルな名シーンを再現した「メモケシ」も加わった。

「12月には、キン肉星王位争奪編に登場した超人の血盟軍シリーズが登場します。味方へのサインをイスに座った状態で表現する『陣形』を再現できるように、キンケシとイスのマスコットをセットにしました」(バンダイ ベンダー事業部 渡邊健人さん)

 血盟軍は味方への指示を声に出さず、陣形という特殊な構図で示す。たとえば、「Vの陣形」ではメンバーがVの字に椅子を並べて座り、「休まずせめろ」という合図を送っている。渡邊さんによると、この陣形は原作ファンにも人気が高く、手持ちのキンケシを並べて飾るコレクターも少なくないという。イスが付属されることでより再現度が高くなることだろう。

 新たな要素をプラスしたアイテムを展開するのは、「継続して集めてもらうため」と松原さん。再ブームの兆しが見える「キンケシ」だが、一部ファンは好きな超人を入手するとそこで収集がストップしてしまうこともあるという。そこで、単に新超人を追加するのではなく、ファン心を刺激し続けるアイディアも大事だと語る。

 2019年には、漫画『キン肉マン』が誕生40周年を迎える。これに合わせて新たな企画も検討中とのことだ。続々と登場するキンケシに、これからも目が離せない。
INFORMATION
◆ガシャポン『キン肉マン キンケシ』公式HP https://gashapon.jp/kinkeshi/
◆『キン肉マン キンケシプレミアム』公式HP https://p-bandai.jp/gashadepa/series/a011/
◆現在受注中!「キン肉マン ワザケシプレミアムvol.2」公式受注HP →https://p-bandai.jp/item/item-1000130491/

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