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フード、ライフスタイル、芸能界…日本人が“端っこ”が好きなワケ

  • “端っこ”スイーツとして人気の『ホームパイのみみ』(不二家)(C)oricon ME inc.

    “端っこ”スイーツとして人気の『ホームパイのみみ』(不二家)(C)oricon ME inc.

 不二家の人気菓子『ホームパイ』の耳だけをつめこんだ『ホームパイのみみ』が、昨秋発売されネットを中心に話題を呼んだ。ほかにも電車が空いていると端の席に座ったり、エスカレーターの片側を空けたりと、日本人は“端っこ”を好む傾向があるように思う。芸能界でも、バイプレイヤーや地下アイドルなど、独自の立ち位置を形成するある意味“端”的な存在が人気だ。これまで話題になったあらゆる“端っこ”から、その理由と真意を探る。

お菓子のみみ、メロンパンの皮…食の分野で話題になった“端っこ”たち

  • いちばんおいしい「みみ」だけ集めた『ホームパイのみみ』(不二家)(C)oricon ME inc.

 昨年の秋、不二家の人気菓子『ホームパイ』の耳の部分だけが入っている『ホームパイのみみ』が発売された。通常販売されている『ホームパイ』の端っこの、よりサクサクしている部分である。パッケージにも「サクッとかるーいいちばんおいしい「みみ」のところだけ集めました!」の文字が。セブン−イレブンで先行発売されると、「こんな商品がほしかった」「みみの部分だけ食べられるなんて贅沢!」とたちまちネット上で話題を呼んだ。

 この“食べ物の端っこが好き”現象は何もいまに始まったことではなく、いままでにも様々な“端”が商品化されてきた。たとえば、江崎グリコの『カプリコのあたま』や、山崎製パンの『メロンパンの皮だけ焼いちゃいました』など。2014年に発売された『メロンパンの皮だけ焼いちゃいました』は、もともとは女性社員の「メロンパンは皮がおいしい」という言葉から、思い切って皮のみの商品を発売。当初、近畿エリア限定で発売したところ、すぐにツイッターで「夢のようなメロンパンが誕生した」と話題に。全国発売へと発展したのは言うまでもなく、翌年には改良を加えた『メロンパンの皮焼いちゃいました2』も発売されることとなった。
 その他にもカステラの端、たっぷりクリームがついたケーキの端など、切り分ける際「端っこがいい!」と声を上げる人は多い。玉子焼きや、巻き寿司も、端っこのほうがなんだかお得感があるように感じることがある。お肉やお刺身の切り落としなどもある意味“端っこ”で、「切り落としのほうが好き」という一定の固定ファンもいるようだ。

真ん中より“端”へ 日常生活の中にある日本人特有の“端っこ”文化

 端っこ好きは、ライフスタイルにも表れている。たとえば電車。アンケートによると、社内が空いていた場合、「真ん中よりも端に座りたい」という人が、なんと9割以上という結果が出た。たしかに「端っこのほうが落ち着く」という人は多いし、端に座っている人が下りた途端、真ん中から移動する光景もよく見かける。両サイドに人がいる圧迫感を感じずに済むのも理由のひとつかもしれない。
【調査】電車の座席“端”を好む人9割
 会議室でも、なぜか隅やうしろのほうから埋まっていったり、劇場や映画館など正面のほうがいい場合でも、「真ん中の列の端」は一定の人気を集めている。この現象について、心理カウンセラーに話を聞くと、こんな回答が返ってきた。

「隅に行くことによって、真ん中にいるときよりも全体を見渡せる位置になり、周りを客観視できるようになります。日本人は周りに合わせる傾向があるので、隅から全体を把握し、それに合わせるのが昔からの体質だそうです」

 たしかに日本人は、外国人に比べて周りに合わせがちなところがある。状況を把握して動くことができるから、「落ち着く」という心理に結びつくのかもしれない。
  • 端っこ界を代表する人気キャラ「すみっこぐらし」(C)oricon ME inc.

    端っこ界を代表する人気キャラ「すみっこぐらし」(C)oricon ME inc.

 ちなみに“端っこ界”を語るにおいて、欠かせないキャラクターがいる。「たれぱんだ」や「リラックマ」を生み出したサンエックスから、2012年に登場した「すみっコぐらし」だ。日本人の「隅っこが好き」という気持ちをテーマに作られたキャラクターで、サブタイトルは「ここがおちつくんです」。人見知りの“しろくま”や、自分に自信のない“ぺんぎん?”、とんかつを切った際のいちばん端の部分である“とんかつ”など、すみっコ好きのキャラクターが多数登場。小学生を中心に文具や雑貨が大人気で、本やゲームも発売されている。

芸能界でも人気の独自の存在 自分が見つけた“ダイヤモンドの原石”

 芸能界に目を向けても、独自の存在感を表すバイプレイヤーや、地下アイドルなどが人気だ。2017年には、大杉漣さん(享年66)や遠藤憲一など名だたるバイプレイヤーばかりが出演したドラマ『バイプレイヤーズ』(テレビ東京系)が話題に。2018年に第2弾が放送されるほど人気を呼んだ。

 自分だけが知っている逸材を見つけたいという気持ちから、地下アイドルの応援をする熱心なファンも多い。また、2018年に大ヒットした映画『カメラを止めるな!』も、ある意味“隙間”から生まれた名作といえるかもしれない。SNSなどの口コミでジワジワと認知度を上げ、結果的には国内だけでなく海外の映画賞も受賞までの作品になった。

 食、ライフスタイル、芸能界…いろいろな場面で日本人が好む“端っこ”。パーソナルスペースの確保をし、落ち着いた気持ちになるからこそ全体を見ることができる。そして、全体を客観視できるからこそまた、ニッチな商品を作り出すのもうまいのではないだろうか。

(文/辻内史佳)

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