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(更新: ORICON NEWS

「自分を生きるのは自分しかいないから」清原果耶が作っていきたい理想の家族とは?

 2014年に芸能界入りし、三井不動産グループやアステラス製薬のCM出演で「あの美少女は誰?」と話題になった清原果耶。2015年9月からNHK連続テレビ小説『あさが来た』のレギュラー出演で女優デビューし、2018年7月期のドラマ『透明なゆりかご』(NHK総合)の主演でも好評価を得た彼女が、山田孝之プロデュースの映画『デイアンドナイト』で、家族の愛情を知らずに育った少女・奈々を演じる。「愛する家族の命が奪われたとしたら、あなたはどうするだろうか」――この世の“善悪の根源”を問う本作で、観る者の心を打つ好演を見せた彼女の魅力に迫った。

プロデューサー・山田孝之は「すごく気遣ってくれて温かい方」

 海岸沿いに風車が並ぶ、地方の街。大手企業の不正を告発した父の自殺をきっかけに故郷へ戻った明石(阿部進之介)は、ある日、児童養護施設「風車の家」のオーナーである北村(安藤政信)と出会う。北村は明石の事情を知って手を差し伸べ、「風車の家」で働くことを勧めるが、実は北村は孤児たちを育てるために金を稼ぐ犯罪集団をも率いていた。清原が演じるのは「風車の家」で育つ寂しげな少女・奈々。彼女はこの役を500人のオーディションの中から勝ち取った。

「オーディション用に実際の劇中の台本をいただいたのですが、奈々を演じるにあたり、キャラクターの情報が少なくて。自分が奈々を読み解く力がないんじゃないかっていうぐらいに悩んだのですが、迷いは持ちつつ、『いや、でも私はこの作品で奈々として芝居をしたいんだ』という想いを持ってオーディションに臨みました」

 確かに完成した映画を観ても、直接的な奈々の心理描写は皆無に等しい。観客は奈々の表情を、仕草を、そしてその口調から彼女の心情を読み解くことになる。そんな奈々の姿は透明で儚く、そして欠けてしまった愛を、どこかで探して歩いているようにも見える。

「正直、奈々という役柄を掴んだ実感は最後までありませんでした。奈々と私はもちろん境遇も生きてきた道程も違います。理解してあげたい、でも理解しきれない。だけど、なんとなくシンパシーを感じたんです。不安はありましたが、山田さんが『清原さん自身が奈々だった』『清原さんが(僕が考える)奈々に見えた』と言葉をかけてくださって。それをきっかけに、深く沈んで考えすぎずに、『自分が思う奈々を演じれば、それを受け止めてくださることを信じればいいんだ』と方向転換して演じました」

 その“シンパシー”を言葉にするのは難しいと眉をひそめる。

「そういった感情を覚えた役柄は奈々が初めてでした。やはり、私と奈々は重なる部分が多くあったんだな、と今になって思います。あの時、私が奈々を演じていたときの感情と、奈々が生きて蓄えてきたことがリンクした瞬間があったような気がします」

 山田は後にインタビューで「清原さんの演技に涙した」と語っている。これに清原は「うれしい驚きでした。私は山田さんに言われるまで、自分と奈々が重なっていることに気づいていなかったので」と頬を赤らめる。

「山田さんは今回、プロデューサーとして関わっていただきましたので、私の体調の心配とか、『お芝居しにくくないですか』とか、本当にたくさん気を遣っていただいて…。多くの言葉を掛けてくださり、本当に温かい方だなと感じました」

「自身の“素”の部分とも向き合えた」初めて経験した役柄との共鳴

 同映画の印象的なシーンの一つに、奈々が明石への好意(?)を小悪魔っぽく伝える場面がある。その時、清原の心の中にはどんな感情が浮かんでいたのか。

「言葉にするのは難しいのですが、好きとか愛とか、そういった言葉とは遠いような気がします。明石が自分を受け止めて理解してくれている存在であるとは認識していると思いますが、これを言葉にしてしまうと、とても簡単なことに聞こえてしまう。ですが実生活を振り返った時に、そういった距離感の人ってあまりいないですよね。ですから奈々にとって明石との関係は、ある意味特殊だったのだろうと考えています」

 そんな奈々について、彼女が言葉にできる範囲で語ってもらった。

「奈々は大人っぽく見られがちだし、時に小悪魔的要素を含んだ発言や表情をして、相手を惑わせてしまう場面もあるのですが、それは彼女が狙ってやっていることではなく、あくまで奈々の等身大の姿であって。私は、そう見えればいいなという風に監督さんと話をして意識して演じましたが、その部分を深く追求しようと思って演じてはいなくて。そういった一面を持ち合わせながら、『風車の家』の子供たちとは童心に返って遊べる子供心もある、そんな少女を演じようと心がけました」

 悩みながら、話し合いながら、一人の人間に魂を吹き込んでいく。それを振り返るなかで、清原は「奈々という役はある意味、私の“素”と言える部分があるのかもしれません」と話した。

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