(更新:)
ORICON NEWS
「自分を生きるのは自分しかいないから」清原果耶が作っていきたい理想の家族とは?
プロデューサー・山田孝之は「すごく気遣ってくれて温かい方」
「オーディション用に実際の劇中の台本をいただいたのですが、奈々を演じるにあたり、キャラクターの情報が少なくて。自分が奈々を読み解く力がないんじゃないかっていうぐらいに悩んだのですが、迷いは持ちつつ、『いや、でも私はこの作品で奈々として芝居をしたいんだ』という想いを持ってオーディションに臨みました」
確かに完成した映画を観ても、直接的な奈々の心理描写は皆無に等しい。観客は奈々の表情を、仕草を、そしてその口調から彼女の心情を読み解くことになる。そんな奈々の姿は透明で儚く、そして欠けてしまった愛を、どこかで探して歩いているようにも見える。
「正直、奈々という役柄を掴んだ実感は最後までありませんでした。奈々と私はもちろん境遇も生きてきた道程も違います。理解してあげたい、でも理解しきれない。だけど、なんとなくシンパシーを感じたんです。不安はありましたが、山田さんが『清原さん自身が奈々だった』『清原さんが(僕が考える)奈々に見えた』と言葉をかけてくださって。それをきっかけに、深く沈んで考えすぎずに、『自分が思う奈々を演じれば、それを受け止めてくださることを信じればいいんだ』と方向転換して演じました」
その“シンパシー”を言葉にするのは難しいと眉をひそめる。
「そういった感情を覚えた役柄は奈々が初めてでした。やはり、私と奈々は重なる部分が多くあったんだな、と今になって思います。あの時、私が奈々を演じていたときの感情と、奈々が生きて蓄えてきたことがリンクした瞬間があったような気がします」
山田は後にインタビューで「清原さんの演技に涙した」と語っている。これに清原は「うれしい驚きでした。私は山田さんに言われるまで、自分と奈々が重なっていることに気づいていなかったので」と頬を赤らめる。
「山田さんは今回、プロデューサーとして関わっていただきましたので、私の体調の心配とか、『お芝居しにくくないですか』とか、本当にたくさん気を遣っていただいて…。多くの言葉を掛けてくださり、本当に温かい方だなと感じました」
「自身の“素”の部分とも向き合えた」初めて経験した役柄との共鳴
「言葉にするのは難しいのですが、好きとか愛とか、そういった言葉とは遠いような気がします。明石が自分を受け止めて理解してくれている存在であるとは認識していると思いますが、これを言葉にしてしまうと、とても簡単なことに聞こえてしまう。ですが実生活を振り返った時に、そういった距離感の人ってあまりいないですよね。ですから奈々にとって明石との関係は、ある意味特殊だったのだろうと考えています」
そんな奈々について、彼女が言葉にできる範囲で語ってもらった。
「奈々は大人っぽく見られがちだし、時に小悪魔的要素を含んだ発言や表情をして、相手を惑わせてしまう場面もあるのですが、それは彼女が狙ってやっていることではなく、あくまで奈々の等身大の姿であって。私は、そう見えればいいなという風に監督さんと話をして意識して演じましたが、その部分を深く追求しようと思って演じてはいなくて。そういった一面を持ち合わせながら、『風車の家』の子供たちとは童心に返って遊べる子供心もある、そんな少女を演じようと心がけました」
悩みながら、話し合いながら、一人の人間に魂を吹き込んでいく。それを振り返るなかで、清原は「奈々という役はある意味、私の“素”と言える部分があるのかもしれません」と話した。