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賛否両論『半分、青い。』、視聴者の7割強が「新しい朝ドラ」を実感

 昨日9月29日で、半年にわたる放送が終了した永野芽郁主演のNHK連続テレビ小説『半分、青い。』。平均視聴率が20%台を維持したまま終了すれば、同枠としては2015年下期の作品『あさが来た』以来6期連続となる。しかし、『半分、青い。』が今後語り継がれていくポイントは、高い視聴率を維持し続けたことよりも、「視聴者に賛否両論を巻き起こした、朝ドラの転換点だった」ということではないだろうか。
約6割が新しい朝ドラのスタイルを作り「面白かった」と回答
 週刊エンタテインメントビジネス誌『コンフィデンス』では、ドラマが終了する直前(9月21〜25日)、ドラマファンが多い女性を対象に『半分、青い。』に関するアンケート調査を実施した。『半分、青い。』を【すべて観ていた】【だいたい観ていた】と回答した1013名に対して、「『半分、青い』はこれまでの朝ドラと比較してどうだったか?」を聞いたところ、【いつもの朝ドラと変わらない】と回答した人は全体の約2割(23.6%)に留まった。つまり、残りの7割強(76.4%)の視聴者は『半分、青い。』に対して、「これまでとは違う何か」と感じたということだ。

 本作は、脚本家・北川悦吏子氏のオリジナル作品。ヒロインは、少々うかつだが失敗を恐れない楡野鈴愛(永野芽郁)。故郷である岐阜と東京を舞台に、高度成長期の終わりから現代までを七転び八起きで駆け抜け、やがて一大発明を成し遂げるまでの半世紀の物語が描かれた。主人公の人生を辿る朝ドラは、どの作品も“七転び八起き”の物語であると言えるが、本作はその振り幅が実に大きく、その点から「これまでと違う何か」を感じた人も多かったのではないだろうか。

『半分、青い。』はこれまでの朝ドラと比較してどうだったか

 では、『半分、青い。』が提示した“新たな朝ドラのスタイル”は面白かったのだろうか。これについては、約6割(57.5%)が【新しい朝ドラのスタイルを作って面白かった】と回答。逆に、【新しい朝ドラのスタイルだと思うが失敗した】と回答した人は4割(42.5%)で、その差は10ポイント以上開いた。全体で見るとこのような数字だが、世代別で比較するとその評価は微妙に異なってくる。【面白かった】と回答した人を比較すると、10代、20代は6割(10代:65.2%、20代:62.9%)、30代以上は5割(30代:56.6%、40代:56.2%、50代以上:57.1%)という結果で、僅差ではあるものの朝ドラのメイン視聴層よりも若者のほうが面白さを感じていたようだ。

<新しいスタイルの朝ドラ回答者> 『半分、青い。』を観て思ったことは

朝ドラとしてはめずらしい「恋愛」と「友情」
 10代、20代のほうが好意的だった点については、次の「『半分、青い。』のテーマは何だったと思うか?」の設問で見えてくる。【家族】、【成功】、【仕事】、【成長】、【恋愛】、【友情】という6つのキーワードを挙げ複数回答で質問した結果、上位から【家族】(1位:56.8%)、【成長】(2位:48.1%)、【友情】(3位:37.8%)、【恋愛】(4位:26.1%)、【仕事】(5位:13.1%)、【成功】(6位:6.6%)という順番に票を集めた。

『半分、青い。』のテーマはなんだったと思うか?(複数回答)

 1人のヒロインの一代記を基本とする朝ドラにとって、伝統的なキーワードである【家族】、【成長】が上位にくるのは当たり前と言える。加えて、主人公に歴史上の重要人物を据えることも多いことから、これまでは【家族】、【成長】に次ぐキーワードとして、どちらかと言うと【仕事】、【成功】というテーマがチョイスされていたと思うが、今回は【友情】、【恋愛】というキーワードがそれを上回っている。

 伝統的な朝ドラの基本(家族・成長)は踏まえつつ、仕事や成功ではなく、友情や恋愛を重視したことが、「新しいタイプの朝ドラ感」を演出し、10代、20代の若い視聴者がそれに反応。一方で、古くからの朝ドラファンや安定感のある朝ドラに慣れ親しんでいる世代にとっては、斬新な本作に違和感を感じた人が多かった結果ということなのかもしれない。これらの理由から、前出の【失敗した】という評価に行き着いた人も少なからずいると考えられそうだ。
  • 『半分、青い。』でヒロイン・楡野鈴愛を好演した永野芽郁 (撮影:草刈雅之)

    『半分、青い。』でヒロイン・楡野鈴愛を好演した永野芽郁 (撮影:草刈雅之)

 難産の末に生まれるという出生、片耳が聞こえなくなってしまう子ども時代にはじまり、上京後、漫画家になる夢を叶えたものの途中で挫折してしまったこと。秘かに想いを寄せていた幼なじみの萩尾律(佐藤健)のプロポーズを言葉足らずで断ることになってしまったこと。バイト先で知り合った森山涼次(間宮祥太朗)と結婚したものの涼次が映画監督になる夢を諦めきれず離婚、“出戻り”したこと。再び上京し、同じく家庭がうまくいかずに離婚した律と会社を立ち上げたこと…などなど、まさに怒涛の展開を見せた『半分、青い。』。

 ネット等では賛否両論を巻き起こしたが、13年度前期の『あまちゃん』同様、固定概念から脱却し朝ドラの間口を広げた作品と言えるのではないだろうか。朝ドラは19年度前期の『なつぞら』で100作目を迎える。今後も朝ドラが常に面白く、新しいドラマとして歴史を重ねていくうえで、本作の存在は大きなものとなるのではないだろうか。

『半分、青い。』のドラマ満足度「オリコンドラマバリュー」の推移

【調査概要】
調査対象:連続テレビ小説『半分、青い。』を観ていた女性2944名のうち、【すべて観ていた】【だいたい観ていた】と回答した1013名の回答を抽出
調査期間:2018年9月21日(金)〜9月25日(火)
調査手法:インターネット調査
調査機関:オリコン・モニターリサーチ

提供元: コンフィデンス

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