『半分、青い。』高視聴率、低満足度から脱却 最終章で満足度も急上昇
視聴率と視聴者の満足度が半年を通して高かった『あさが来た』
同作は、「ドラマバリュー」満足度でも放送開始から7週目まで上昇を続け、その後も高ポイントを最終回までキープし、理想的な推移を示している。全話平均ポイントは89.2ptとなり、視聴率と視聴者の満足度が物語全体としてともに高く、名作と呼べる作品となった。
視聴率の高さに満足度が伴わない期間がある『半分、青い。』
ところが満足度では、放送開始から第6週まで上昇したあと、週によって変動はあるもののほぼ同水準で高ポイントをキープ。ここまでは『あさが来た』と近い推移なのだが、『半分、青い。』は第15週から下降をはじめ、第18週まで下がり続けている。
朝ドラの半年間の放送のなかでは、人気作であっても週ごとに満足度が上下することはよくある。評価の高かった『ひよっこ』(全話平均視聴率20.4%/全話平均ポイント77.7pt)も、全体のポイントグラフ曲線として見れば右肩上がりだが、そのなかの週によっては上下動が見て取れる。そうしたなかにおいても『半分、青い。』の4週にわたる急激な下降は珍しいケースになる。
しかし、その期間も視聴率はそれまでとほぼ変わらない21%台と高い水準をキープしており、好調が続いているように見えるが、実は満足度は低下しているという現象が起きていた。時を同じくして、SNSなどでも賛否の声が沸き起こっている。
満足度に左右されない朝ドラ枠の視聴習慣の強さ
「人生・怒涛編」は、漫画家を辞めた主人公の鈴愛(永野芽郁)が、東京の100円ショップで働きながら、映画監督を目指す涼次(間宮祥太朗)と出会い、恋に落ち、結婚し、出産を経て離婚にいきつく、まさに怒涛の人生を歩んだ期間を描いている。好評だった前編「東京・胸騒ぎ編」では、鈴愛が漫画家として成功するまでの苦闘を、強い絆で結ばれていく仲間たちとの友情や師弟関係が温かく描かれ、秋風羽織(豊川悦司)ら名物キャラクターも人気を博していた。
そこからの新展開となり、周囲の登場人物も一変した「人生・怒涛編」は、前半のスローペースな進行による停滞感や、後半の結婚、出産、離婚までの展開における好青年だった涼次の翻意と決断や、エキセントリックな鈴愛の言動など視聴者が共感できない部分もあり、ストーリーに置いていかれていたところがあったようだ。しかし、満足度は目に見えて下がっていても、視聴率は変わらない。朝ドラという枠の視聴習慣の根強さとともに、それまでの物語や登場人物の魅力に惹き込まれている朝ドラ視聴者層の心をしっかりと掴んでいることが示された。
ラストスパートのさらなる満足度上昇へ高まる期待
これまでの朝ドラでも、最終回に向けての話の盛り上がりとともに満足度も上昇し、ラストは最高ポイントで終わることも少なくない。前出の『あさが来た』と『ひよっこ』の最終話ポイントは、それぞれ93ptと86pt。SNSでの話題性は高く、中盤まで高い評価を受けていた『半分、青い。』は、ここまでの巧みなストーリー展開から、鈴愛と律の関係性の結末に誰もが目を離せなくなっていることだろう。俄然ハッピーエンドへの期待も高まっている。これからのラストスパートでのさらなる満足度の急上昇が大いに期待できる。
(視聴率はビデオリサーチ調べ【関東地区】より)