『dele』作品の質を支える音楽 主題歌なく“ハードボイルド感”演出
金曜ナイトドラマ『dele』第1話の「ドラマバリュー」詳細
こうして第1話を乗り切ったことで、今後の展開は依頼者の人間ドラマへとシフトしていくことになるだろうが、そこで欠かせないのが音楽だ。デジタル遺品を通して、人の死の理由を垣間見るストーリーは、デジタルとアナログ、ドライとウエット、光と闇といった2項対立のなかで成立している。それを劇伴音楽がとても上手にサポートしているのだ。
彼らが作り出すJazzyな雰囲気が、本来は探偵ものでないはずのこのドラマに、ハードボイルドさを加えています。“緩急”があまりない均整の取れた音楽のテンポは、向き合う業務の精緻さを伝える一方、物語のピークでは“盛り立て過ぎず、ジメジメも押しつけもない”、バランス感覚に富んだ世界観をサポート。さらに、喧噪の日常世界とは距離を置く、死をめぐる物語としての、ほどよい厳粛さも描き出している点で出色の出来だと思います」
ツイッター上でも、「音楽にキャスト、世界観、すべてがヤバい」といったつぶやきや、岩崎太整氏、DJ MITSU BEATSへの称賛の声を数多く目にする。ストーリーを味わうときは、ぜひ音楽にも注目してもらいたい。