ドラマ&映画 カテゴリ
(更新: ORICON NEWS

深田恭子、30代も嫌味なしのイタイ女子役 唯一無二の“メルヘン枠”に

  • イタイ女子役も好演、メルヘンな存在であり続ける深田恭子 (C)ORICON NewS inc.

    イタイ女子役も好演、メルヘンな存在であり続ける深田恭子 (C)ORICON NewS inc.

 健気で一途で天然、おっちょこちょいだったりドジっ子だったり…そんな「ぶりっ子キャラ」を演じて一番ハマるのは深田恭子だろう。ともすれば“イタイ女子”とも思われる役を10代、20代、さらに30代になってからはますます増えている印象がある。もちろん、勝気な女子やセクシー系、大人女子などの幅広い役も演じているが、36歳になった今、来年1月期のドラマで彼女が演じるのは「超鈍感」の、これまたちょっと“イタイ”アラサー女子だ。30代に入り、ほどよい肉付きと艶も増しているビジュアルを武器に、男性はもちろん女性も憧れる存在で、現実と非現実の間を埋められる唯一の“メルヘン枠”を確立したといえる。

10代で鮮烈なデビュー 親しみのある女の子“深キョン”

 1996年、『第21回タレント・スカウト・キャラバン』でグランプリを獲得した深田は、その2年後にはドラマ『神様、もう少しだけ』(フジテレビ系)でヒロインに抜擢。16歳の新人女優だった深田は、ルーズソックス姿の女子高生役を鮮烈に演じた。

 当時社会問題となっていた援助交際、HIVを題材とするショッキングな内容から注目を浴びたが、視聴者を夢中にさせたのは、HIV感染により命の大切さに気付いたヒロインが、抜け殻となっていた主人公・金城武に愛する感情を思い出させる「純愛」である。新人女優が演じるには、特定の色がつきかねない作品に体当たりで臨んだ結果、可愛さと堂々たるオーラにより、一躍注目株となる。

 その後も『to Heart 〜恋して死にたい〜』(TBS系)で初々しくピュアな少女を、『フードファイト』(日本テレビ系)でお嬢様を、『ストロベリー・オンザ・ショートケーキ』(TBS系)で不思議な少女を演じるなど、主演やヒロインとして様々な作品に出演。10代の瑞々しい演技で“深キョン”が一躍ブームとなっていく。

イタイ女子役を好演、30代で“夢見る少女”もハマる振れ幅

 20代からはさらに役の幅を広げ、勝気な女子や大人しい女子、セクシー系、コメディー、ヒューマン、ファミリーなど、現在に至るまで様々役をこなしていく。特に衝撃を与え大きくシフトチェンジしたきっかけは、映画『下妻物語』だろう。深田が演じたのは、フリフリのロリータファッションに身を包み、外見は可愛いのに、他人に関心がなく、「心根が腐ってる」と言われる桃子。土屋アンナ演じる不器用で優しいヤンキーと出会い、振り回されながらも心を開いていく様は、可愛くおかしく、素直に泣けた。桃子は、男の目を意識したヒロインじゃなく、女子の欲望全開のヒロインだったことから、同性ウケが一気に加速する。

 さらに映画『ヤッターマン』でセクシーおっちょこちょい悪女のドロンジョを演じる潔さにも、男性はもちろん、女性が大いに食いついた。ドラマ『富豪刑事』シリーズでは、天然お嬢様キャラを逆手にとり、見事な推理力との大きなギャップを見せつけた。彼女は「見た目は愛らしく、素直で自由で、どこかおっちょこちょいで天然」がキーワードのように見える。

 ところが、そんな10代の純粋ないい子キャラ、20代の「自分の欲求に正直な」天然お嬢様キャラ、30代のダメダメ女子…と数々の役柄は、一見どこかイタイ女子役が多い。例えば30代では、『ダメな私に恋してください』(TBS系)や1月にスタートする『初めて恋をした日に読む話』(TBS系)のようなイケメンに囲まれるアラサー女子役にも挑戦。漫画が原作の作品で設定自体が非現実的な部分も多いのだが、年齢を感じさせないルックスと、感情が読みにくいキョトン顔は、非現実的な世界の実写化に実にハマる。その姿も、表情も、言動も、まるで脳内で作り出した妄想女子的な存在で、夢見る少女のような大人女子の世界観に馴染める希少な女優といえるだろう。

男女ともに好感度がグングン上昇、深キョンだから許される“メルヘン枠”

 本来、そのようなちょっとイタイ系の不思議女子は、同性ウケがイマイチなポジションである。しかし、深田恭子の場合は、「天然」「不思議」「お嬢様」のイタイ役でも、軽く微笑む程度の淡白なリアクションと、抑揚のない無機的な喋りをするために、媚びが見えず、それどころか不思議なファンタジー感が生まれる。

 そして大きな瞳とふっくらした頬は、少女のようでもあり、妖精のようでもあり、同性に支持される。また、ほどよい肉付きは、ストイックさよりもナチュラルさや素直さを印象付け、深田本来の天然で自由でふわふわしたかわいいキャラクター性とも相まって、より一層の支持を得ている。それを裏付けるのは、2016年に「男性向け」と「女性向け」で同時発売した2冊の写真集である。これは、週間の写真集ランキングで1,2位を独占。男性だけでなく女性の支持も集め、ほぼ同数でランクインした。もちろん彼女の健康的なプロポーションへの支持も多いが、ライフスタイル含めて男女差の無い人気が伺える。演じてきた役柄と彼女自身の人間性の相乗効果で、それぞれの年代の夢が詰まった“メルヘン”のような存在と言えるだろう。

 どこか妖精のような雰囲気で、イタイ女子のキャラクターも深キョンなら許せてしまうし、自分たちの妄想をどこまでも実体化させてほしいとすら思ってしまう。男性が見ても、女性が見ても、その少し現実離れしたかわいい存在感は、30代女優では唯一無二と言えるだろう。

(文/田幸和歌子)

あなたにおすすめの記事

メニューを閉じる

 を検索