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『ホリプロスカウトキャラバン』初の“完全非公開”、実行委員長が語るその意図とは?
私はむしろ「決選大会やらないってありなんですか!?」と驚きました(笑)。
角谷さん そうなんです。誰にでもチャンスがあって、企画が通れば出した人が実行委員長になります。
――社内でコンペが開催されるのでしょうか?
角谷さん コンペというものは無いのですが、自分がやりたいって思ったときにそれぞれ上司に提案しています。私の場合は2年前のお正月、新年のあいさつと一緒に直属の上司に「いずれスカウトキャラバンをやってみたい」とメールを送ったのがきっかけでした。「来年はもう決まっているから、再来年に向けてちゃんと企画書を書いてみて」と背中を押してもらいました。
――そしていざ自分の企画が決まると、実行委員長に就任するんですね。“実行委員長”と聞くと、お若い抜擢なのかと思ったのですが…。
角谷さん 企画を出したのは29歳でした。他にも同じくらいの年齢で実行委員長になる人はいました。私自身、ゆくゆくは…と考えていましたし、実際は30後半ぐらいに実行委員長ができたらいいな、と思っていました。
――とは言え、ずっとマネージャーをされている経験があって今回のコンセプト。当初から「完全非公開でいこう」と考えていましたか?
角谷さん 最初はそこまでは考えていなくて、今年は、参加者全員に会う、地方も含めた会場審査に加えて、私自身が“恥ずかしがり”なのでWeb審査も取り入れたいということだけは決めていました。「家族の前だったら歌って踊るのも好きだけど、プロの審査員の前ではちょっと…」という子たちも、スマホの時代にパッと動画で応募できるようにしたいと提案しました。
――そこから、どのように「完全非公開」まで至ったのでしょうか?
角谷さん WEB審査を取り入れたとしても、決選まで進んだ時に公開されてしまうと「落ちちゃうかもしれないなら、恥ずかしいから受けるのやめようかな」というのもハードルになるのかなと考えました。今回はとにかく沢山の人に応募してもらいたい、ということを念頭においていたので、限りなく間口を広げていきたいと上司にも話をしていたのですが、「そうやって躊躇しちゃう子も幅広くとりたいなら決選大会やらなくていいよ」と言ってくれたんです。私はむしろ「決選大会やらないってありなんですか!?」と驚きました(笑)。
密着カメラも楽しめる子だったら、YouTuberになるとか、SNSでも自己表現できる
角谷さん 完全に逆をいっていますね(笑)。ただ、密着カメラも喜んで楽しめるような自己発信ができる子だったら、YouTuberになるとか、SNSでも自己表現ができるんじゃないかと思います。でも、タレントの中には、自分から発信する人だけではなくて、周りから「こうした方がいいんじゃないかな」と言われて大成してきている人たちもたくさんいます。“ホリプロらしさ”を考えた時に、自分で全てを発信して、ユーザーの方々に届けたいタレントだけではなくて、作品や物を通して見せていく人もたくさんいる集団なのかなと思っています。
――“ホリプロらしさ”とは、例えば?
角谷さん 私自身が、『スカウトキャラバン』出身の女優や、モデル出身の俳優、小劇場出身で俳優以外にも演出や脚本業もしている池田鉄洋など、幅広く担当しています。その人たちを近くで見ているからこそ、俳優としてのお仕事以外でも、歌でCDを出していたり脚本も書いていたりもして、1人のタレントでも様々なジャンルで活躍できる可能性はたくさんあると感じていました。ホリプロには映像や舞台を制作する部署や音楽の部署もあるので、そのような柔軟性がある会社だと思います。なので、今回はテーマを絞らないで育成していく方法を選びました。
――公開オーディションだと、グランプリに選ばれた瞬間から注目の的。そして、決められているデビューに向けて動いていきます。今回は「オールジャンル」「完全非公開」で募集して、どうデビューするか考えながら育てていける、と。
角谷さん はい。合格者が決まった瞬間に発表せず、レッスン期間を設けてその子に見合うデビューを目指します。今まで「この映画の主演になる子」を探してスターになる子もいましたが、先入観があると「この子はテーマに合わないからやめよう」って選べなくなってしまうと思うんです。せっかくオールジャンルで探そうとしているので、いいなと思った子の可能性を広げながら育てていきたいと考えています。
最終的に実行委員長が「この子にします」とグランプリを決めます
角谷さん 実行委員に委ねられるところはホリプロっぽいなと思います。グランプリを決めるとき、実行委員長が最終的に決定権を持っているというのも、大きいですね。
――え!そうなんですか!? イメージだと、会議室で役員の方たちが決めているものかと…。
角谷さん 歴代の実行委員に聞くと、外部の方に審査員として参加していただく年もあるのですが、年によっては実行委員だけで話し合うときもあるそうです。それでも審査員の方々や、実行委員みんなの意見を踏まえた上で、最終的には実行委員長が「この子にします」と決めるのが通例。会社全体のプロジェクトで、実行委員長に一任するというのはありがたいことだなと思います。
――実際に日々タレントさんたちと接している実行委員のみなさんに委ねているんですね。
角谷さん そうですね。実行委員に入ったメンバーそれぞれが、自分たちが選んだ子だからみんなでサポートしていこうという気持ちになります。