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岡田准一が語る鬼才・中島哲也監督の素顔とは? 『告白』『渇き。』など名作を連発
中島監督からの手紙で初タッグが実現、「ただのホラーじゃない」
岡田准一 中島監督の作品は以前から出たいと思っていたので、もちろん快諾しました。監督からお手紙をいただいたのですが、今までの作品を観ていただいていたみたいで嬉かったですね。
――岡田さんはオカルトライターの野崎を演じています。怪奇現象に襲われる田原(妻夫木聡)と、その妻・香奈(黒木華)を助ける立場ですが、ホラー作品ということに関してはどう思いましたか?
岡田准一 中島監督からは、最初に「ただのホラーじゃない。人間の怖さにホラーが足された作品だ」と聞いていたので、抵抗はありませんでした。監督が書かれた脚本も素晴らしかったですしね。
岡田准一 1人1人のセリフに、そのキャラクターが出ているんです。たとえば役名を見ずにセリフだけを読んでも、誰が言っているかがわかる。監督の愛情にあふれた脚本だと思いました。
――現場での監督はどう感じましたか?
岡田准一 以前から「変わった方だ」とは聞いていました(笑)。でも僕は、監督って“個性”があることが必要だと思っていて。そういう意味で非常に魅力的な方ですし、こだわり方も突き抜けている監督。今の時代、撮影の時間が押したりすると、堂々と「撮り直し」と言うことはなかなか難しいと思うんです。もし僕が監督ならば、プロデューサーに「お金がかかるので無理」と言われたら、「そうですよね」と引き下がってしまいます。それを「そんなことは知らない」と突っぱねることができるのが、監督の在り方だと僕は思っていて。そんな強さがある中島監督のもとで演じられたことは、本当に楽しい経験でした。
監督の俳優に対する皮肉がさく裂、「アカデミー賞を獲ってるんでしょ」
岡田准一 監督には100%のビジョンがあるんです。このタイミングでラーメンをすすってくれ、お茶を飲んでくれ…その時々の目線の方向も、監督の中で全部決まっているんです。ホラーって、周りのキャラクターが物語を作り、主人公はリアクションに追われる立場になることが多いですが。まさにリアクションする側の僕は、それほど監督から指示を受けたわけではなくて。ほかの役者さんたちが監督からいろいろと指示をされているのが、とてもうらやましかったです(笑)。あと、現場で監督は、キャストにいろいろと皮肉を言うんですよ。
――どんなことを?
岡田准一 「君はセンスがないねぇ」とか、必ず1回は皮肉を言われるんです。僕は一度セリフを噛んだだけで、「アカデミー賞を獲ってるんでしょ」と言われました(笑)。監督はシニカルな人だから誤解されやすいんですが、とても面白い方なんです。でも、僕と妻夫木くんには全然興味がないようで、「僕ら、興味持たれないね」と一緒に寂しがっていたくらい。ラーメン屋のシーンでは、監督がこしょうの位置ばかり気にするので「僕らのこと見てますか?」と言ったら、「うるせー!」って怒られました(笑)。でも僕は、そんな監督のことが大好きです。
――独特の現場ですね。
岡田准一 役者の考えとしては間違っているかもしれないけど、僕は監督の作る“画”に入りたいというよりも、監督とどういう仕事ができて、どのような作品になるのかを味わいたいタイプなんです。だから今作では、監督を味わい尽くしました(笑)。