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“ポスト二階堂ふみ”小松菜奈、オファーが殺到する若手エキセントリック女優

演技力ある若手女優の台頭が目についた2015年。土屋太鳳は朝ドラ『まれ』(NHK総合)でヒロインを演じ、松岡茉優や森川葵はドラマ、映画出演が相次いだ。彼女らと同世代の女優ながら一線を画しているのが、映画『バクマン。』でヒロインを演じた小松奈菜だ。同作の大根仁監督のほか、中島哲也監督、園子温監督など気鋭監督たちから高い評価を受け、いまや引く手あまたの売れっ子。クセのあるたたずまいから観るものをグッと引き付ける小松は、デビューの早かった橋本愛、二階堂ふみに連なる“若手エキセントリック女優”として、別のムーブメントを生みそうだ。

ジワッと印象が刻み込まれる映画向きタイプの系譜

 小松は2014年公開の映画『渇き。』で、ヒロイン格の失踪したカリスマ女子高生を演じて、日本アカデミー賞新人賞などを受賞。容姿端麗、成績優秀だが悪魔のような裏の顔を持つ役で、可愛らしい顔立ちと裏腹の冷酷さが強烈なインパクトを残した。さらに『近キョリ恋愛』や『バクマン。』でもヒロインを演じて評価を高めている。一方、ドラマはWOWOWで全4話の『夢を与える』に主演した程度。

 映画『ヒミズ』でヴェネツィア国際映画祭のマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人賞)を受賞して注目された二階堂も、今年『問題のあるレストラン』(フジテレビ系)に出演したが、映画中心に活動。『地獄でなぜ悪い』『私の男』などアクの強い作品のヒロインを演じてきた。橋本は朝ドラ『あまちゃん』(NHK総合)でヒロインの親友を演じて知名度を上げたが、それより前から数多くの映画に出演している。

 ドラマよりも映画メインの女優としては、田中麗奈、宮崎あおい、蒼井優らの系譜に当たる。田中は広末涼子、宮崎と蒼井は綾瀬はるか、上戸彩らと同世代。ドラマ中心の女優が万人受けするわかりやすい美形なのに対し、田中たちはジワッと印象が刻み込まれる。テレビより映画に向くタイプで、そこがエキセントリックな小松らと通じる。

マーティン・スコセッシ監督作でハリウッドデビューも

 また、橋本は『Seventeen』モデルとして世に出て、小松も『ニコ☆プチ』から『CUTiE』『SEDA』などでモデル活動をしていた。二階堂のファッション好きも有名で、今年夏にはCandy Stripperとコラボしてスカジャンやジャンプスーツなどを販売。そうしたオシャレイメージもあって、10代を中心に若年層の同性人気が高いのも特徴だ。

 映画とドラマでは求められる演技が違い、一般に映画の現場はよりシリアス。もちろんどちらにも対応できるのが一流だが、映画で揉まれてきたエキセントリック女優たちは若くして劇中で独自の空気をまとっている。一般的な知名度はテレビに多く出ていたほうが上がりやすいにせよ、その演技を目にすればクセのあるビジュアルとも相まって、強い引力で持っていかれる。

 二階堂はドラマ『問題のあるレストラン』では、年齢の近い松岡茉優、高畑充希と共演。バックグラウンドの違う実力ある女優同士のやり合いは緊迫感が漂いスリリングだった。小松は2016年には、またもヒロインの映画『黒崎くんの言いなりになんてならない』の2月公開を始め、その後も2本の出演映画が控えている。彼女もドラマで同世代と競ったとき、どんな化学反応が起こるか興味深い。知名度が上がれば、その魅力もますます磨かれていくに違いない。ドラマ出演が待ち遠しい女優のひとりだ。

 また、作家・遠藤周作氏の小説『沈黙』をマーティン・スコセッシ監督が映画化する『Silence』(原題)にも、浅野忠信、窪塚洋介、加瀬亮らそうそうたる顔ぶれの実力派俳優とともに出演。早くもハリウッドデビューを果たす。すでにその実力は海外でも認められつつあり、日本だけでなく世界での活動への足がかりをつけている小松。2016年は驚くべき飛躍を見せてくれそうな予感がある。
(文:斉藤貴志)

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