(更新:)
ORICON NEWS
ガンプラ│トップモデラーインタビュー(ガンダムプラモデル)
イラストじゃないの?「Zガンダム」を“80年代風アニメ塗り”で完璧再現【連載第23回】
◆【ガンプラビフォーアフター】毎週更新・トップモデラーインタビュー特集→
このZガンダムは「イラスト風模型」を定義づけした草分け的存在
今日これはZガンダム放映当時の「80年代風アニメ塗り」、俗に言うワカメ影の塗りになります。Zガンダムのアニメ本編の作画を見て頂けるとわかると思うのですが、MS等にワカメのようにうねったり二股に分岐した複雑な影がつけられています。このワカメ影というのは、恐らくメカや無機質の表面の光沢を少ない色数で表現したものだと思います。その塗り方をプラモに取り入れてみました。
――Zガンダムはいつ頃制作したものですか?
今日「アニメ塗り」を最初に始めたのが2016年の頭頃で、このZガンダムは2年目の作品ですね。制作した作品数では大体30作目くらいだと思います。当時は「イラスト風模型」というジャンルすら定義されていなくて、こういう作り方もある、くらいにしか思っていませんでした。これは名前を付けて広めるべきって話が出て、このZガンダムを制作して1ヵ月くらいしてからだったと思いますが、その時に「イラスト風模型」と名付けました。
――ジャンルを定義する草分け的な作品なのですね。ちなみに、このZガンダムの完成度は何点ですか?
今日あくまで習作として挑戦した作品なので、完成度としては70点くらいですね。プラモにワカメ影を塗ったらどうなるか…という実験的意味合いの作品なので。足りない影もありますし。
――では、制作中に苦労した点を教えてください。
今日ワカメ影の塗り方ですね。僕は以前メカのイラストも趣味で描いていて、その時にこのワカメ影を塗ったりもしていたので少しは経験がありましたが、それでもどのような影のパターンにするか、まして立体に塗るにはどのように塗ればいいのか試行錯誤しました。如何せん80年代の塗り方ですから資料も少ないですし。なので、習作だと割り切って気軽にノリと勢いで仕上げました。このワカメ影Zガンダムは現在「池袋ヤマダ電機」の7Fに展示して頂いていますので、見に行ける環境で興味のある方は現物を直に見て頂ければ嬉しいです。
ガンプラが愛されるのは、モデラーたちの“ガンダム原体験”があるから
今日僕は成功させるには数をこなして経験を積むのが一番だと思っています。僕自身も現時点で100体近く作っています。「イラスト風模型」にチャレンジする方で、いきなりプラモに直接塗られる方が多いのですが、元々が絵の技法ですからまずは設定画などの塗り絵で試しに塗ってみて、イメージを固めた方が塗りやすいと思います。角度限定でカラーの資料の影をそのまま見て写して塗るのも練習にはいいでしょう。
――アニメ『Zガンダム』への思い入れを教えてください。
今日初めて見たのが再放送でした。当時は小学生だったのですが、前半の主役機がガンダムMk-IIなので、Zガンダムがなかなか出てこずヤキモキしましたね(笑)。終盤につれて話が重くなって見るのが結構辛かった覚えがあります。
――ガンダムファンに愛されているZガンダムですが、その魅力は何だと思いますか?
今日30年以上経っても色褪せないシャープでキレのあるデザインではないでしょうか。変形も込みでその後のガンダム作品のデザインに大きく影響していると思います。
――Zガンダムパイロット、カミーユ・ビダンへの印象を教えてください。放送当時はファンからの反発も強かったと聞きます。
今日僕はSD世代なので、カミーユ=ネコというイメージがあったんです。なので、本編を初めて見た際はそのギャップにビックリでした(苦笑)。一般的に、ジェリドやクワトロを殴るイメージを持たれてる方が多いと思いますが、僕はウォンさんに殴られたり、エマさんにビンタされてるイメージが強いです(笑)。
――ガンプラの魅力は、そうした幼い頃の原体験が影響しているのですね。ガンプラが今日さんの人生にどんな刺激を与えてくれましたか?
今日僕は大人になってからの“出戻り組”ですが、作り方を調べれば調べるほど奥の深さにのめり込みました。このイラスト風という作り方を見つけてから一気に世界が広がった気がして、創作の世界が楽しくなりました。
◆ガンプラビフォーアフターTOPへ戻る?
(C)創通・サンライズ