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(更新: ORICON NEWS

テレビで消費されるSNS発タレントに未来はあるのか?

 動画SNSアプリ「Vine(バイン)」で大人気になったことをきっかけに、『今夜くらべてみました』(日本テレビ系に)や『サンデー・ジャポン』(TBS系)に登場して話題となり、ブレイク寸前とも言える現役女子高生の大関れいか。昨年には、けみおという同じ現役高校生が、やはりVineをきっかけにCDデビューしている。そして、現在大ブレイク中のGENKINGもインスタグラム出身と、最近やたらとSNS出身のタレントをテレビで見かけるようなった。今なぜ、SNS出身の素人たちがテレビで重宝されているのか。

人気ぶりが目で見てわかるSNSは、“発掘”の手間が省け新たなコンテンツ獲得にも

  • Instagramで注目を集めた“ユニセックス・オネエ”のGENKING (C)ORICON NewS inc.

    Instagramで注目を集めた“ユニセックス・オネエ”のGENKING (C)ORICON NewS inc.

 Vineとは、6秒以内の動画を共有できるSNSで、2013年からサービスを開始すると、中高生などの若者層を中心に大人気となった。大関れいかも、Vineに「遅刻したときの言い訳」「彼氏との喧嘩 VS 友だちとの喧嘩」「たまにいる優しいのか怖いのかよくわからない先生」といった、高校生の日常生活の表と裏の部分を切り取った動画を投稿したところ、「めちゃくちゃ面白い」と評判になった。実際、くるくる変化する表情や演技力はなかなかのものだが、中高年にとっては、かつてのバラエティ番組『エンタの神様』(日本テレビ系)の“あるあるネタ”的な感もある。最近でいえば、8.6秒バズーカーの「ラッスンゴレライ」を初めて見たときの「?」といった感覚にも似ている。けみおも当時は、やはり同じような高校生ならではの勢いのある動画で注目されたが、最近ではあまりテレビで観ることがなくなった。

 GENKINGにしても、超イケメンがオネエ言葉でしゃべるというファーストインパクトや、「いったいこいつは何者なんだ?」というミステリアスさを受けて、いま人気絶好調の感がある。しかし、先日のテレビ番組での「中学生時代から女子・男子問わずモテモテで、一時期十股していた」などのプライベートなぶっちゃけ発言を見ると、果たしてどこまで“もつ”のだろうかなどと、余計な心配までしてしまう。というのも視聴者は、そうした内容にはすぐに慣れ、飽きてしまうからだ。

 一般人にとっては、SNSは“自分の表現したいこと”を気軽にアピールできる便利な場であり、フォロワー数やコメント数で評価が出るのでやりがいもある。しかも、それがテレビ局の目にでも留まれば、芸能界デビューのきっかけとさえなるのだ。テレビ局側も、フォロワー数などの客観的な数字でその人物の人気度を計れるので、手間が省ける。ある種、双方にとって都合の良い関係にあるともいえるだろう。

人気YouTuberは極力露出を避けることで新鮮度を維持

 一方で、こうした流れに背を向けている人々もいる。例えば、YouTuber(ユーチューバー)と呼ばれる、YouTubeだけを活動の場とする動画投稿者たちだ。有名なところでは、CMにも登場したHIKAKIN(ヒカキン)やマックスむらいだが、彼らは投稿動画で広告収入を得ており、HIKAKINに至っては年収1億円を超えるといわれる。つまり、他メディアに擦り寄らなくても十分生活できるということで、こうしたYouTuberたちがテレビに出てくることはあまりない。実際、一般にはほとんど知られていない「はじめしゃちょー」や「PDS株式会社」、「ワタナベホマト」といったYouTuberたちを取り上げたムック本などが売れており、彼らは20代前半のそこそこのイケメンで、もはやアイドル的な扱いを受けているのだ。だたし、HIKAKINのようにYouTubeの世界を飛び出して他方面に進出すると、YouTuberとしての活動の軸がブレ、人気に陰りをみせる場合もある。

 もちろん、こうした“自活系”のYouTuberたちは数百人にすぎないのだが、これまでのようにテレビなどのマスメディアに依存しなくとも、才能のある一般素人が十分に自己アピールすることができ、ファンや視聴者が新たに創出されているということには重要な意味がありそうだ。もはや新たなエンターテインメントの場は、SNSや動画アプリを駆使した一般人のカリスマらの発信によって形成されており、マスメディアの役割とは、それらを報道・追随し、拡散していくことに移行しているのかもしれない。となれば、SNSや動画アプリ出身のタレントたちも、テレビ局側に彼らを“育てる”意志がなければ、次々と“消費”されるだけになり、各才能の“賞味期限”も今後はますます短くなっていくだろう。

 ただの素人の“引きこもり芸”に終わるか、テレビに変わる新しいメディアたらんとするか、あるいはテレビをきっかけに芸能界で活躍する大スターになるかは、新しい流れの中で生まれたタレント(才能)たちの言動や行動が問われる。

(文:五目舎)

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