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がんサバイバー・木口マリ氏が作り上げた、心温まるネットコミュニティ 「不安や恐怖に押し潰されることはない」

 がんサバイバーであるフォトグラファーの木口マリ氏が主催する投稿型Web写真展『がんフォト*がんストーリー』。がんの一般的なイメージを覆すその写真とメッセージの数々から、静かな感動の輪が広がっている。とかくネガティブな側面がクローズアップされがちな、とげとげしいイメージのあるネット空間において、木口氏が作り上げたのは「ポジティブな出来事しか起こらない」という温かいコミュニティ。ネットとの関わり方とその活動の根幹にある思いを聞いた。

「がん=怖い」イメージとは異なる、心が温まったり、クスッと笑えたりする写真ばかり

 小さい男の子が“ウルトラマンなんとか”のユーモラスなポーズを取っている。入院中のあるがん患者のもとに、「必殺技で悪い病気をやっつけてあげる!」と甥っ子からメールで送られてきた写真という。

 がん患者や体験者、その家族、友人、医療者らが応募した写真と、その写真にまつわるエピソードを掲載している投稿型Web写真展『がんフォト*がんストーリー』。そこに並んでいるのは、「がん=怖い病気」という一面的なイメージとは異なる、ホッと心が温まったり、クスッと笑えたり、人生の奥深さに気付かされたりする写真ばかりだ。

「世の中のがんに対するイメージを変えたい」。そんな思いから同サイトを立ち上げたのは、自らもがんサバイバーであるライターでフォトグラファーの木口マリ氏。

「どんなときでも楽しみは作れる。それが私ががんになって確信できたことです。病気で落ち込んでいる人には、私が体験したような楽しい時間を持ってほしい。そしてがんになっていない人には、『がんでも人生は楽しめるんだ』ということを知ってほしい。そうすれば、もしがんになっても、不安や恐怖だけに押し潰されることはないでしょうから」

旅行系フォトグラファーとして活動中にがんが発覚、数度の手術と入院生活へ

 同サイトのほかにもイベントやコンサートの主催、講演、執筆活動、そして本業であるフォトグラファーと、実にフットワークの軽い木口氏。しかし、2013年に病魔に襲われ、2014年5月に4度目の手術をして以来、現在も経過観察中だ。

 罹患前は主に旅行系のフォトグラファーとして、重いカメラを担いで飛び回る日々。体力には自信があっただけに、子宮頸がんが見つかったときにも楽観視していたという。ところが2度の手術で子宮全摘出することに。さらにリンパ節転移が見つかり、4ヶ月間の抗がん剤治療を行った。
「この頃にはすっかり筋力が落ちてしまって、ひどいときは起き上がるだけで15分もかかるほどでした。もちろんプロ用のカメラなんて持てません。だけど、スマホなら指1本動かせれば写真が撮れます。最初は入院記録のつもりで撮っていました。すると、病院という限られた空間でも、見渡すといろいろなステキなシーンがあるんです。たとえば、車椅子が並んだ廊下も、とてもドラマチックな写真が撮れる。今のスマホって本当に性能がいいんです」

 写真を通じて、医師や看護師との「病気だけではない」話題や交流が生まれるのも楽しかった。何より写真を見せたときの家族の反応が印象的だったという。「たぶん言葉でどれだけ『大丈夫』と言っても、伝わっていなかったと思うんです。やはり家族は心配ですから、『強がっているんじゃないか』と。だけど、写真からはもっと深いものを感じ取ってくれたようで、『こんな写真を撮れるということは、落ち込んでばかりじゃないんだな。楽しい時間も過ごしてるんだな』と安心してもらえました」

提供元: コンフィデンス

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