がんサバイバー・木口マリ氏が作り上げた、心温まるネットコミュニティ 「不安や恐怖に押し潰されることはない」
「がん=怖い」イメージとは異なる、心が温まったり、クスッと笑えたりする写真ばかり
がん患者や体験者、その家族、友人、医療者らが応募した写真と、その写真にまつわるエピソードを掲載している投稿型Web写真展『がんフォト*がんストーリー』。そこに並んでいるのは、「がん=怖い病気」という一面的なイメージとは異なる、ホッと心が温まったり、クスッと笑えたり、人生の奥深さに気付かされたりする写真ばかりだ。
「どんなときでも楽しみは作れる。それが私ががんになって確信できたことです。病気で落ち込んでいる人には、私が体験したような楽しい時間を持ってほしい。そしてがんになっていない人には、『がんでも人生は楽しめるんだ』ということを知ってほしい。そうすれば、もしがんになっても、不安や恐怖だけに押し潰されることはないでしょうから」
旅行系フォトグラファーとして活動中にがんが発覚、数度の手術と入院生活へ
罹患前は主に旅行系のフォトグラファーとして、重いカメラを担いで飛び回る日々。体力には自信があっただけに、子宮頸がんが見つかったときにも楽観視していたという。ところが2度の手術で子宮全摘出することに。さらにリンパ節転移が見つかり、4ヶ月間の抗がん剤治療を行った。
写真を通じて、医師や看護師との「病気だけではない」話題や交流が生まれるのも楽しかった。何より写真を見せたときの家族の反応が印象的だったという。「たぶん言葉でどれだけ『大丈夫』と言っても、伝わっていなかったと思うんです。やはり家族は心配ですから、『強がっているんじゃないか』と。だけど、写真からはもっと深いものを感じ取ってくれたようで、『こんな写真を撮れるということは、落ち込んでばかりじゃないんだな。楽しい時間も過ごしてるんだな』と安心してもらえました」