『いだてん』“脱定番”大河ドラマと思わせる3つの理由
「なぜか周囲から愛される」2人を主役に据える
思えば、宮藤官九郎が手がけ、朝ドラブームを作った連続ドラマ小説『あまちゃん』も、「良妻賢母」や「職業婦人」路線ではなかった。朝ドラの定番から脱却した自由度の高さが光り、「なぜか周囲からも愛される」主役だった。そんな『あまちゃん』同様に今回の大河でも、主役に限らず、次々と登場する個性的なキャラクターにも焦点を当てている。
落語を筋にして物語をつなぐ宮藤官九郎ならではの脚本
広くあまねく子どもから高齢者層までが理解しやすいように、順を追って説明する脚本スタイルが大河の定番だったが、『いだてん』は違う。描かれる時代は日本人がオリンピックに初参加した1912年の「ストックホルム大会」から1964年の「東京オリンピック」開催まで。その激動の52年間に起こった出来事を、あちこち時空と場面を飛びながら描かれていく。
しかしそれは決して混乱させるものではない。先の架空の落語「東京オリムピック」が一本の筋となって展開されていくことによって、一見バラバラにも思える1つひとつのピースが、「東京オリンピック」というひとつの絵を完成させていくような感覚を第1話目から感じ取れた。