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『いだてん』“脱定番”大河ドラマと思わせる3つの理由

天狗倶楽部や音楽で含ませる遊びのエッセンス

 そして、俳優の満島真之介、近藤公園、武井壮らが演じている「天狗倶楽部」のような遊びの要素が脱定番の3つ目である。何かと脱いで踊りだす「天狗倶楽部」は、実在した日本最初のスポーツ同好会。第1話でインパクトを与え、視覚でみせる宮藤官九郎脚本ならではのエッセンスがいち早く話題作りにつながっている。

 音楽もそれに色を添えてくれそうだ。というのも音楽は、『あまちゃん』と同じタッグで大友良英が担当する。『あまちゃん』の名場面からCD化もされた「潮騒のメモリー」のような展開も期待したいところだ。

『いだてん』チーフディレクターの井上剛氏は全体の演出について「脚本にも出てくる言葉ですが、“痛快”なドラマにしたいです」とコメントを寄せる。脱定番の3つの理由を集約させるものは、“痛快さ”なのかもしれない。「近現代でオリンピックと題材は壮大ですが、歴史上の人物が必要とするような大きな物語ではなく、手の届く距離にありそうな小さな物語、今の自分たちにつながっていると実感できる歴史ドラマです。僕たちなりに『たまらなく愉快なこと』を探します」と語る。

 初回視聴率は15.5%でスタートした。脱定番化はリスクもあるが、新しい視聴者層の開拓にもつながる。そんな狙いもあって、ひとつの指標である視聴率を伸ばしながら完走することも目標にあるだろう。どんな走り方をするのか、注目に値する作品であることは間違いない。
(文/長谷川朋子)

提供元: コンフィデンス

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