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『西郷どん』で異彩を放つ小栗旬の坂本龍馬役

小栗旬が演じる坂本龍馬(C)NHK

小栗旬が演じる坂本龍馬(C)NHK

 NHK大河ドラマ『西郷どん』が後半に差し掛かり、倒幕に向けた時代の流れのなかで、維新志士たちが登場。物語がクライマックスに差し掛かるとともに、日本の未来がかかる緊迫したかけひきとそのストーリー展開、キャスト陣の好演が、ドラマ全体の見応えを増し、俄然おもしろくなってきている。その根底を支えているのが、日本を動かした幕末の重要人物たちを演じる個性派俳優たちだ。

クセのある俳優陣が集結した歴史に名を残した維新志士役

 第26回から幕末に向けた動きが加速しはじめ、歴史に名を残した維新志士たちが続々と登場。それを演じるのは、桂小五郎(玉山鉄二)、勝海舟(遠藤憲一)、坂本龍馬(小栗旬)、岩倉具視(笑福亭鶴瓶)といった、濃すぎるほどの個性的な俳優陣。それぞれが持ち味を活かしてキャラクター演じることで、そのアクの強さとともに、西郷吉之助を演じる鈴木亮平、大久保一蔵の瑛太らこれまでのキャストたちとのやりとりにも一層深みが増し、観るものの心に男たちの感情が染み入るように響いてくるようになった。

 ドラマ満足度を多角的に調査する「オリコンドラマバリュー」で7月(第26回)からの<主演以外のキャスト>評価を見ると、平均で13.4Pt(20Pt満点)のところ、第29話「三度目の結婚」と第32回「薩長同盟」では16Ptまで上昇している。前者は、吉之助の求婚に対して、彼を想いながらも子どもができないことからふさわしくないと身を引いた糸(黒木華)が、吉之助を支える決意をし、2人が結ばれることになるエピソードでの黒木の涙を抑える芝居に評価が集まった。そして後者は、日本の未来を左右する薩長同盟が結ばれるまでの吉之助、大久保一蔵、坂本龍馬、桂小五郎それぞれの立場の熱き志と葛藤が重厚に描かれ、クライマックスの会合シーンでは、言葉ではなくまさに全身からみなぎる気迫でそこに生きた男たちを体現した。

 そんな評価が集まっている登場人物のなかでも、とりわけインパクトを残して話題を集めているのが、小栗旬演じる坂本龍馬だ。ユーザーからは「小栗・龍馬から目が話せなかった。彼なりの坂本龍馬に昇華させている」(女性40代・岡山)「鈴木亮平や瑛大の引き締まった演技がドラマを力強くしているなかで、脇役ながら小栗旬の好演が光っていた」(男性50代・福岡)「小栗旬自身に坂本龍馬のようなカリスマ的魅力があるので、いるだけで画面がしまる」(女性40代・埼玉)といった評価の声が多く寄せられている。

多くの俳優が演じてきた坂本龍馬役で小栗旬ならではの存在感

 これまでにもドラマや映画、舞台などで多くの俳優が坂本龍馬を演じてきているが、そのなかでも小栗演じる坂本龍馬は、彼が演じることで独特のオーラを放ち、まるで小栗がその時代に生きていたかのような存在感をかもしだしている。

 大のドラマ好きとして知られる博多華丸と赤江珠緒は、TBSラジオ系『たまむすび』で今期ドラマのもっとも気になる登場人物のひとりとして小栗演じる坂本龍馬を挙げ、「坂本龍馬とすごく雰囲気があっている」(赤江)「これまで数々の俳優が坂本龍馬を演じてきたなかでダントツの男前。このあとしばらくは誰も坂本龍馬を演じられない」(華丸)と絶賛した。

 小栗は日ごろから、俳優もただ演じるだけではなく、作品に対して責任を持たなければいけないと公言し、ストーリーや演出などについて積極的に意見を出すことで知られている。そんなプロ意識が誰よりも高い小栗が、時代の先を見据えて日本の将来を案じる先見性、有力者同士を結びつける信頼関係を築き上げる人間力を有した坂本龍馬を演じるからこそ、観るものを魅了する坂本龍馬像を作り上げることに成功しているのだろう。

 そのおおらかで包み込むような人間性とともに、ときに刺すようなするどい知性を見せるインテリな一面も、人を惹きつける部分での共通点があるのかもしれない。小栗の風貌、そして言動そのものがまさに坂本龍馬を思わせる雰囲気をにじませ、『西郷どん』のクセの強い登場人物のなかでも異彩を放っている。坂本龍馬が暗殺される近江屋事件は、薩長同盟締結の翌年。この先の登場回は多くはないかもしれないが、その爪痕をしっかりと残してくれることだろう。

提供元: コンフィデンス

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