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【トミカ】大人が陥りがちな「箱から出さず飾るだけ」ってどうなの? 妄想はかどる世界観とは
(写真左から)『tomica GARAGE』PREMIUM BLACK Edition、Lamborghini Edition
55周年の『トミカ』、新作プレイセットは「大人が満足できるもの」
株式会社タカラトミー・トミカ事業部企画開発課の本河明広氏
株式会社タカラトミー・トミカ事業部企画開発課の本河明広氏は『トミカプレミアム』について、「トミカを発売した当時はお子さんがメインターゲットでしたが、長い年月を経て子どもが大人になり、そして3世代に渡って楽しんでいただける状況になっていきました」と振り返る。「大人が乗ってみたい車種などを追加していき、6種から始まって今では40種が定番に。大人が本気で楽しめるもの、自ら手に入れたくなるものにこだわり、開発してきました」。
今年は、そんな10周年を記念し、大人向けプレイセット『tomica+』シリーズを開発。第1弾として、『tomica GARAGE』(PREMIUM BLACK Edition、Lamborghini Editionの2種)を2月15日に発売した。本商品は、これまでのミニカーコレクションをスタイリッシュに飾れるガレージ。操作パネルをタッチすると、電動シャッターが本物のようにゆっくりと展開するなど、まさに大人の遊び心をくすぐられるものとなった。
「箱から出さない」飾って終わりの大人たち、作り手側の思いは?
(写真左から)『tomica GARAGE』PREMIUM BLACK Edition、Lamborghini Edition
「最近ではさまざまなディスプレイケースも売っていますし、大人の方が飾って楽しむ、愛でるという割合が増えてきているのはわかっていたんです。ただ、作り手側としては、ぜひ手に持って触って、質感も楽しんでもらいたいというのが正直な気持ちでした」
では、大事に飾られたり、箱にしまわれていたりする『トミカプレミアム』を、実際に手に取ってもらうには何が必要か。それで考えられたのが、このシリーズだ。
「ただ格好良く飾るだけではなく、もし自分の家の隣にガレージがあったら…と頭の中でイメージが広がるようなもの。こうした“ストーリー性”が加わることで、ラグジュアリー感への憧れ、愛着がプラスされ、より楽しさが増すと思ったんです」。
大人に響くストーリー性、「他者に語り、自慢すること」でカタルシスを得る
苦労したシャッターの動きに注目
ゆっくり灯るライトがリアル!
「やはりおもちゃ会社としては、どの商品にもアソビ心を盛り込みたいという思いがあります。今回のガレージでは、とくに電動シャッターにはこだわっていますね。普通のディスプレイケースだと置いて眺めることで完結するのですが、シャッターが閉まっていると中の車が隠れて見えないじゃないですか。あえて“シャッターを上げる”というワンアクションを必要とすること。そこから生まれる特別感や期待感は、とても重要だと感じています。ちなみに、ライトはシャッターが上がりきるとゆっくり点灯するので、リアルさや奥深さも味わえます。内装のパネルも複数用意しているので、自分の好きなようにカスタムすることもできます」。
子どもは商品そのものを手に取ると、手で触りアクションを起こすことで満足度を高められる。一方で大人には、商品にまつわるストーリーが大切で、なおかつそれを「他者に語り、自慢すること」で、カタルシスを得られるケースが多い。だからこそ、ギミックにもこだわり抜いた。
「実は、電動シャッターを水平に上げ下げするのはかなり大変でした。本物のシャッターの動きをこの製品で表現する際、パーツを増やせば価格が上がってしまいます。『tomica+』シリーズは、クオリティと価格のバランスを大事にしていますので、試行錯誤を繰り返しながら構造をシンプルにすることで無事に商品化することができました。よりシンプルにするなど、そのあたりのバランスにはかなり苦労しました」。
トミカ55周年の長い歴史の中で誕生したトミカプレミアムも10年を経て、この間に蓄積してきた魅力に新たなアソビ心を加えた『tomica+』シリーズ。すでに『tomica GARAGE』が発売されているほか、3月15日には『トミカプレミアムunlimited DRIFT TURN STAGE』も発売される。
ただ飾るだけではなく、そこにどんな物語を紡げるか。双方の掛け合わせによって、本河氏が伝える「ストーリー」は無限に広がり、魅力は何倍にも膨らむだろう。
■tomica+(外部サイト)
(文:磯部正和)