連日完売が続く『ぴよりん』、大量生産せず“手作業”を貫く矜持とは「機械でぴよりんが流れる姿を“想像したくない”」
「Anniversaryぴよりん」(画像提供:ジェイアール東海フードサービス)
発売当初は1日30個ほどの販売…今や“連日の大行列”で買えない人も
お話を伺った越智謙吾さん(画像提供:ジェイアール東海フードサービス)
「2011年7月の発売当初の販売個数は1日30個ほど。そこから売上の伸長とともに、製造個数も徐々に増やしていったのですが、それでも『買えなかった』という声が多かったことから、従前の倍量が製造できる新工房の開設に至りました。ただ製造方法は前と変わらず、1ぴよ1ぴよ手作りにこだわっています」(ジェイアール東海フードサービス株式会社・越智謙吾さん/以下同)
『シャチボン』(画像提供:ジェイアール東海フードサービス)
「もともと弊社では、『シャチボン』というシャチホコ型のシュークリームを販売していました。こちらも人気ではあったのですが、販売店の閉店に伴い販売休止に。そこで次なるスイーツとして開発されたのが、『ぴよりん』でした。幅広い世代に愛されるように開発テーマを『丸くて可愛らしいもの』としたところ、ひよこというアイデアが上がったんです」
前述の通り、販売開始当初は知る人ぞ知るスイーツだった『ぴよりん』。そのブレイクのきっかけは2度あったという。
「2013年に公式Facebookを立ち上げてから、じわじわ口コミで広がっていきました。急激に伸び始めたのは、2018年頃。Instagramに『#ぴよりんチャレンジ』(後述)というハッシュタグが、自然発生的に生まれたんです。さらに2021年6月29日、棋士の藤井聡太さんが、対局中のおやつに『ぴよりんアイス』を選んでくださったことが決定打になりましたね。公式サイトにアクセスが殺到してサーバダウンし、メディアの取材依頼も急増。あの頃から今のような連日の大行列ができるようになりました」
機械でぴよりんが流れる姿を“想像したくない”、“手作業”を貫く矜持
「社内からも一部そうした意見はありますが、手作りだからこそ1ぴよずつ表情が異なるのも、『ぴよりん』の愛されポイントの1つになっています。判で押したような『ぴよりん』が機械で流れてくるのは、“開発メンバーとしても想像したくない”というのが正直なところ。買えない方がいるのはとても申し訳ないのですが、今後も手作りにはこだわりたいですね」
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『みつばちぴよりん』(画像提供:ジェイアール東海フードサービス)
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『駅標アクリルキーホルダー』(画像提供:ジェイアール東海フードサービス)
「これまで多数の限定『ぴよりん』が誕生してきました。流行は特に意識せず、とにかく可愛い厳守で、思わず笑顔になってしまうような、守ってあげたくなるようなデザインを工房の作り手たちが考えてくれています」
「13年で名物を名乗るのは早いです。ただ流行り廃りの激しいご当地スイーツの中でも、ここまで人気を継続してこられたのは、発売から7〜8年の"ぴよりん下積み時代"に焦ることなく、またブレイクしても当初からのポリシーを曲げることなくやってきたからだと思っています。いっときのブームで終わらない、“真の名古屋名物”を目指し、近年は地元企業とのコラボにも力を入れています。目標は『名古屋 黄色』で画像検索したらトップに出てくること。今は名古屋市営地下鉄・東山線さんの車両がずらっと並びますし、まだまだこれからですね」
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『なつやすみぴよりん』(画像提供:ジェイアール東海フードサービス)
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『デザートフォーク&スプーン』(画像提供:ジェイアール東海フードサービス)