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資産運用において“AIの暴走”はあり得ないのか? 新NISA開始で“投資初心者”の立ち回りをプロに聞く
「ロボアド=最新AI活用」のイメージは間違い 全自動ながら中身は良い意味で“王道”
第3次AIブームと言われて久しい昨今のAIは自ら知識を獲得する「機械学習」、AIが自動的にデータの特徴を抽出する「ディープラーニング」の実用化によって急激に進化している。例えば言語の翻訳などパターンが決まっているもの、過去データの学習で正解が導き出せるものに対しては非常に強い。ところが、これらの最新型AIはまだまだ研究開発段階で、“暴走”や“誤作動”の可能性も少なくない。
「そもそも相場は、過去のパターンに当てはまらないものなので、どんなに優れたプロの投資家であっても相場の動きを正確に予測することは不可能です。そこで弊社ではノーベル賞受賞者の理論に基づいたアルゴリズムを使い、リスクに対して期待リターンが最も高くなるポートフォリオを計算し、個人にあった最適なプランを提供しています。この運用自体は、世界の機関投資家や富裕層の資産運用でもよく用いられる、王道とも言える手法です」
ロボアドは「長期・積立・分散」投資が基本 長期目線でじっくり資産を育てる
「投資のやり方にも様々あり、安いうちに買って値上がりしたら売って利益を得るということを短期間で積み重ねることで利益を得るというイメージを持たれている方もいらっしゃいますが、我々のロボアドがベースにしているのは「長期・積立・分散」と呼ばれる形。世界中で分散投資を行い、長期目線でじっくり資産を育てていく運用になります。ロボアドを始めるにあたって“金融知識がなくて不安”と言った声もよく耳にしますが、そもそもロボアドは投資の専門知識を持っていることを“前提としない”サービスで、投資初心者にもおすすめです」
ロボアドが生まれた背景にはコスト面や利便性を重視したことにある。対人の資産運用サービスでは、証券会社に出向いたり、電話をしたり、ある程度の労力を割く必要があった。だがロボアドであれば、移動中や休憩中といったスキマ時間で資産運用ができる。さらには人件費コスト、店舗コストなども抑えられるため、ユーザーが支払う手数料も低く抑えられる。テクノロジーの発達により、時間、コストの両面が削減された形だ。
投資初心者には円安・物価高騰で目減りする貯蓄よりもロボアド利用が有益か
さらに、投資の情報商材詐欺や陰謀論とも無縁だ。ことNISAに関しては「政府が推進しているということは何かあるのでないか」「日本に眠る2000兆円とも言われる貯蓄を資産運用に回して海外の投資家に差し出す行為ではないか」などの声もある。だが逆を言えば、現在日経平均株価は上がっているが、その大半は海外の投資家が持っており、その利益が海外に流れているというのが現状。その高い株価の恩恵をきちんと日本が受けられるような仕組みを作らなければ、海外投資家に日本の利益が吸い取られる一方という悪循環を変えることはできない。そこで知識が少なくともコンピュータに任せられるロボアドが注目されているというわけだ。
「とはいえ、ロボアドがやっているからと言って、あくまで投資なので、必ずしも利益が保証されているのではありません。また、ゲーム感覚で投資を行いたい方には向かないサービスとも言えます」
ロボアドは預かり資産に対して手数料を受け取るビジネスモデルのため、ユーザーの資産拡大が会社の成長につながる。そのため、必要な機能をスピーディーにリリースするなど、サービス改善の努力を怠っていない。事実ウェルスナビは日本で初めてロボアドの中でNISAに対応した。ユーザーの声を聞くために月に何度もセミナーも行っている。
「投資」なので当然リスクはあるが、現状では貯蓄も円安、物価高騰で目減りしてしまう一方。ならばこれを機会にロボアドを利用し、資産運用を始めるのも一つの手ではあるだろう。
(取材・文/衣輪晋一)
「ウェルスナビ」で資産運用をしているウェルスナビCEO柴山和久さんの運用実績
・入出金の履歴について
WealthNaviのサービス開始当初(2016年1月)に100万円を入金。一度出金した後に、300万円の入金。これはWealthNaviの招待制期間内に、入出金の試験を実施したもの。
・リスク許容度の変更について
リスク許容度は当初2で、2016年7月に5に変更。これはWealthNaviの招待制期間内に、異なるリスク許容度のポートフォリオについて運用状況をモニタリングしていたもの。
・自動積立について
2016年8月より毎月3万円を自動積立しており、2016年12月のみ5万円に増額。2017年6月より、6月と12月はボーナス時の加算を用いて8万円に増額。2017年7月からはおつり投資アプリ「マメタス」を利用した積立を開始。
・「おまかせNISA」について
2021年3月から「おまかせNISA」の利用を開始し、2021年11月に当年の残りの非課税枠をできるだけ利用するように買い直し機能を利用。