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“ブスでデブな私”…容姿コンプレックスは内面で変わる?「どんな女の子だってなりたい自分になる権利がある」

 世間ではルッキズム(外見至上主義)への疑問、多様性を歓迎する声が注目されるが、容姿にまつわることはいつの時代も人々の悩みの種であることは変わらない。ただ、「ブスでデブな私」であっても、その中身が超絶ポジティブ思考に変わったら、一体どうなるのか? その変化も描かれているのが、コミックシーモア等で連載中の漫画『デブとラブと過ちと!』(著者:ままかり/ソルマーレ編集部)だ。2022年にドラマ化され、アニメ化も決定。SNS等でも、「元気が出た」「笑いと勇気をもらえる」と賞賛されている。本作の根底にある思いについて、作者に聞いた。

容姿はそのままでも心境で見え方は変わる? ROLAND的ナルシストぶりで激変

■漫画の続きはこちらから⇒コミックシーモア『デブとラブと過ちと!』(外部サイト)
 「こんなブスでデブな私が美しいあなたを好きになったから、バチが当たったんだ――」。そんな、衝撃的で胸が痛むセリフから幕を開ける『デブとラブと過ちと!』。主人公は、容姿のせいでコンプレックスの塊だった夢子だ。一見、重苦しい展開になっていくのかと思いきや、そんな心配は不要で笑いあり涙ありのラブコメディーだ。夢子が事故でケガをしたことを機に記憶喪失になり、まるで人が変わるところから本作の物語は始まる。以前は鏡が大嫌いだったのに、「これが…私…!? 超かわいい」と超絶ポジティブに変貌。最初は戸惑う周囲も、彼女の度を越したポジティブさに吹き出しつつ、だんだんと見る目が変わっていく。さらに夢子のプラスの周波は、周りの人たちの考えをも変えてゆく…。

 もちろん、「ブスでデブ」だった夢子の容姿が変わったわけではないのだが、心境の変化で表情は明るく、可愛らしく見えるから不思議だ。恋に仕事に友情にと真っすぐ向かっていく彼女に、「もしかしたら、心持ち次第で人は変れるのかもしれない…」、そんな希望を垣間見せてくれる。

――夢子の設定はこれまでの少女マンガにはない主人公ですが、このような主人公にした理由はありますか?

ままかり先生 確かに少女漫画の主人公は一般的に美少女が多いイメージで、美男美女の恋愛模様は読んでいて楽しいと思います。なので、そういう意味では夢子を主人公にすることは私にとって冒険と挑戦でした。ですが、どんな女の子だって、恋して、仕事や勉強を頑張って、おしゃれして、なりたい自分になる権利があるよねという、言うなればすべての女の子への愛とでも言いましょうか。重いですか…。

――素敵なメッセージだと思います。超絶ポジティブになった夢子の言動には、「一周回ってそんな考え方があるのか!」と、目からウロコかつ心が明るくなる気がします。このポジティブさは先生の中にあるものですか?

ままかり先生 私自身はかなり内向的で臆病なので、夢子とは似ても似つきません。私だったら絶対言わないししないけど、夢子ならナチュラルにするだろうな、と考えたりはします。あとは、今まで交流のあった人たちの考え方やマインドに背中を押してもらえたり、勇気づけられたりした経験を元にした部分も。夢子のコミカルなナルシストぶり(ごめんなさい)は、実業家のROLANDさんにも影響を受けていると思います。

ルッキズムへの議論ある昨今、「生きやすくなる人が増えるのは良いこと」

    ――そんな夢子は、自分が大嫌いだった過去を知るうちに、それを乗り越えていきます。夢子と同じように「自分が嫌い」な人に向けたメッセージでもあるのでしょうか?

    ままかり先生 現在の夢子は過去を忘れている状態なので、果たして乗り越えているかと言われると謎なのですが。本作は「自分を好きになれない日もあるよね」というスタンスでいたいと考えており、自分が嫌いな方を否定しているわけではありません。

    ――夢子のポジティブな言動は周りの人たちに大きな影響を与えますが、周囲のキャラクターの人物設定にこだわりは?

    ままかり先生 強いて言うなら、各キャラクター「が」こだわっているものは必ず設定しています。大事にしているものとでも言いますか…。圭介だったら「調和や平穏」、玉井だったら「会社での存在意義」、茂森だったら「コンプレックスのせいでうまくいかない自分」etc…。そのこだわりや大事にしているものが脅かされそうになった時にどうするのか? それがキャラの魅力に繋がったり、深みが出るように思います。そしてそこに夢子を置くことでどんな化学反応が起こるのか。私はそれを描くのみです。

    ――周囲のキャラクターはもちろん、ポジティブさに助けられたり、考え方が変わったりする読者も多いのではないかと。

    ままかり先生 夢子を見て、「よし、明日もやるぞ!」と思ってくださる方が一人でも多くいたら…漫画を描いていてこんなに嬉しいことはありません。

    ――とくに、容姿に悩む人にも大きな力になると思います。昨今は、ルッキズムが問題視されて多様性を認める流れがあり、一方で「容姿を磨くことは悪いことではない」との声もあります。本作はどちらにとってもポジティブに受け止められる気がしますね。

    ままかり先生 多様性を取り入れることで、生きやすくなる人が増えるのは良いことだと思います。そういう“自分らしく生きる”という点では、本作も通ずるところがあるのではないでしょうか。どちらにせよ、自分の気持ちに素直でハッピーならばいいと思います。

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