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『カロリーメイト』40周年、最初は売れず10年…コロナ禍で下落もV字回復遂げた「バニラ味」の健闘
相反する“栄養”と“味”の両立に難航6年… 完成後も「栄養食」浸透せず、苦節10年
しかし、開発段階では苦労があった。11種のビタミン、5種のミネラル、タンパク質、糖質、脂質をバランスよく入れつつ、品質を安定させるのは容易ではなかったという。普通は混じり合わない物質を均一に混ぜ合わせる「乳化」をクリアするだけでも、3年が費やされた。
これほどの時間をかけ、ようやく完成した『カロリーメイト』だが、当初の反響は芳しくなかったという。
「当時、今では一般的となっているような“栄養食”はほとんど存在していませんでした。『栄養調整食品』という新カテゴリーの表示を許されたのはカロリーメイトが初めてです。これまでにないコンセプトの製品だったので、当初はなかなか受け入れてもらえませんでした」
「大きな契機となったのは、’93年発売の『カロリーメイト ブロック(チョコレート味)』でした。ダイエットブームが到来し、無理な食事制限が社会問題になった中、ダイエットは“食べない”こととされていた時代に、“食べる”ダイエットを提案し、多くの人に食べてもらうきっかけにもなりました」
外で食べる「スピード飯」イメージを打破した新星、コロナ禍の危機を“再評価の好機”に
しかし、ゆっくりご飯を食べる時間や場所がない時の“スピード飯”として定着していた『カロリーメイト』にとって、コロナ禍は大きな試練だった。外出自粛が強いられた’20年の売上は減少。しかし、’22年には過去最高に近い水準にまで驚異的な回復を見せた。
「バニラ味」の売上は販売目標を大きく上回り、見事にピンチを、栄養食としての再評価のチャンスに変え、危機を乗り越えた。ビジネスパーソン中心だったユーザー層に、新たに主婦層や子どもからのニーズも生まれ、今年もブランド全体で昨年並みの売上を見込んでおり、引き続き好調を維持している。
「今後も人々の健康志向は高まると予想しますが、ライフスタイルが多様化し、栄養の摂り方も変わってくると考えています。その中でも、ヒトにバランスの良い栄養が必要であることは変わりません。健康の基本は一日3食の食事から栄養を摂ることで、『カロリーメイト』のような食品が必要ない社会が理想的という考え方もありますが、それができない人やタイミングがあるがゆえに求められ続けています。引き続き家庭内での喫食や補食、子どもの栄養など日常の需要へ拡大し、より多くのシーンでバランスの良い栄養を届けたいと思っております」