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aiko、25年たっても「音楽と恋愛が永遠に自分を振り回す」“若者の恋愛離れ”叫ばれても恋を歌い続ける理由
実体験を歌うことで手に入れた思わぬ“浄化”の方法「辛い時に書いた曲もお客さんが更新してくれる」
「いろんな曲を書けたらいいなっていう気持ちもありますけど、やっぱりまだ、世界平和は歌えないです。自分はまだ、世界平和を歌える人間ではないと思います。もっともっと歳を重ねて、自分のこともいろんなことも許せるようになってからじゃないと歌えないかなと思ってます。自分の正義だけじゃ書けないから、たぶん好きな人のことを書くと思います」
――その源泉が枯れることはないんですね。
「今のところ大丈夫だと思います。飽きないですし、面白いですね。音楽と恋愛が永遠に自分を振り回すんです。歌は上手く歌えなかったときは死にたいぐらいに辛いし、好きな人に思いが伝わらないときも、何でなんやろって、どう発散していいのかわからない怒りや悲しみが浮かんできます。それって、何回、経験しても腹立つし、悲しいじゃないですか。でも、そんなときにかけてもらった、たったひと言で気持ちが晴れたりもするので、やっぱすごい面白いなと思いますね」
「実は、ライブをやればやるほど、皆さんが、自分の曲だと思って泣いてくれたり、笑ってくれたりするから、歌えてよかったっていう気持ちになるんです。消えてしまいたくなるぐらい辛かった時のことを書いた曲も、今はもうその気持ちが薄れるほど、お客さんが更新してくれています。最近の曲で念が強い曲は、未だに『くそっ。覚えてろよ』と思いながら歌うこともあるんですけどね(笑)」
――例えば、どんな曲で思い出が更新されていますか。
「こないだライブで歌った曲で言うと、『気付かれないように』(7枚目のアルバム『彼女』収録/2006)はライブで歌うことで、みんなが受け止めてくれたから、作ったときの辛かったことは、本当にすっかり忘れていて。大阪のライブを見に来てくれた友達に言われたんです。『あいちゃん、この曲ができたとき、私に新曲できたって言って、弾き語りで聞かしてくれたよな。そんとき、私はピアノの横で体育座りをして聴いたのを覚えてるけど、好きやった人が新しい指輪をつけてて、すごい落ち込んだっていう話をしてたよね』って言ってて。そうやった! って、そこで思い出したくらい、ライブで更新されてました。みんなの思い出のほうが体に入っていくっていうか、皆さんの経験を聞かせてもらうことで浄化していってる感じですね」
――26年目以降、これから先の未来はどう考えてますか。
「若い頃は、いつまで歌えるかな? って考えたことはなかったし、先のことはあんまり想像もついてなかったんです。でも、今は、いくつまで歌えるかなって考えることもあるし、頑張って歌っていきたいなって思う年齢にはなっていて。だから、将来は、面白い、変な歌手になれたらいいなって思います。『なんかわからんけど、ずっと歌ってるな。気づいたら、おるよな、aiko』みたいな(笑)。気づいたら25年経っていたので、この先も、ずっと変な歌手でいれたらいいなって思いますね」
(取材・文/永堀アツオ)
44thシングル『星の降る日に』
■通常仕様盤
CD収録内容
01. 星の降る日に
02. いつ逢えたら
03. 名のないハート
04. 星の降る日に(instrumental)