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(更新: ORICON NEWS

多くの人が勘違い?「空き家」の実態と所有するデメリット 専門家の見解

空き家になって20年の物件。古さはあるが”ボロボロ”ほどではない?(東京都世田谷区)

空き家になって20年の物件。古さはあるが”ボロボロ”ほどではない?(東京都世田谷区)

 今年3月、「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が閣議決定され、今後、管理不全の空き家への規則が厳しくなる。他人事かと思いきや、空き家ビジネスを手掛ける専門家は「実は、意外に該当する人は多いかもしれません」と指摘する。特に、実家を離れ他県で暮らす人は要注意だ。

老朽化してボロボロ…よくある「空き家」のイメージ、実はレア

「空き家と聞いて、どういうイメージが浮かびますか?」

 こう問いかけるのは、2016年から空き家活用サービス“アキサポ”を展開する株式会社ジェクトワンの大河幹男代表取締役だ。

「テレビなどでは、家主が亡くなってゴミ屋敷のような物件や老朽化して壁や柱が崩れそうなショッキングな外観の空き家を取り上げがちですが、実は、そういう空き家は非常にレアです」

株式会社ジェクトワンの大河幹男代表取締役

株式会社ジェクトワンの大河幹男代表取締役

 大河氏によると、ほとんどの空き家は、一見、空き家とは思えない“普通の家”の外観という。住居としては使用していないが、家族の思い出の品物や荷物を保管しておく場所になっていることが多いと話す。

「“荷物を置いているし、たまに行って掃除や換気をしてるから…”と、空き家の自覚がない人もいますが、住居として使っていない場合、これらも立派な空き家です」

 まさに実家が…と思い当たる人もいれば、今後、実家が空き家になるかも…という人も少なくないはずだ。これらの、“現状、住んでいないが荷物などを置いている家”や“相続の可能性のある実家”といった「空き家」「空き家予備軍」に、今後、注意が必要となる。

 今年3月に閣議決定された「空家等対策の推進に関する特別措置法」では、従来の倒壊の恐れやゴミの不法投棄などが認められる「特定空き家」のほか、新たに「管理不全空き家」というカテゴリーが設けられた。「空き家」と「特定空き家」の間のカテゴリーで、放置すれば「特定空き家」になるおそれがある場合に指定され、窓が割れていたり雑草が生い茂ったりしている物件を想定しているという。

 「管理不全空き家」に指定されると、行政から指導を受け、状況が改善されない場合は、固定資産税額の軽減措置が解除される。そもそも手入れなどの維持費から、所有するだけでコストがかかり“負動産”となっているケースも多い空き家。さらに税負担が増え思わぬ出費とならぬよう、早めの対策が必要だ。

増え続ける空き家問題、「まず放置する所有者をなくすことが何より大切」

 さらに、空き家を所有し放置することは、「隠れた資産を受け取れていないことになる」とそのデメリットを指摘する大河氏。

「空き家の放置は“タンス預金”のようなものです。寝かせていても維持費などのコストもかかりますし、1000万円だった家が老朽化して500万円に…なんてこともあるので “タンス預金”よりもっと悪いかもしれません。ところが、プロに託したり積極的に対策を考えることで、空き家は資産になる可能性が大いにあります」

 これまで空き家は、景観・治安の悪化などのリスクや、周辺住民の住環境の維持といった面から適切な管理が求められてきた。これからは自身の資産のためにも、前向きな対策が必要という。
 
 “アキサポ”では、空き家を所有者負担ゼロでリノベし活用するサービスを提案するが、周辺環境や建物状態から活用できないケースもある。それでも「まずは相談の問い合わせをしてほしい」と話す。

 大河氏は7年前、同業者のみならず社員からも反対の声があがるなか“アキサポ”をスタートさせた。

「当社がリノベーション費用を原則負担するため、このビジネスモデルはマイナスからスタートすることになります。そのリノベーション代金を回収して利益を出すまでには時間と手間がかかるため、事業リスクが大きいというものでした。それでも社会課題となっている“空き家問題”を解決したかった」

 初年度の実績はわずか1件だったものの、テレビの情報番組で取り上げられたことをきっかけに問い合わせが急増。これまでに6300件以上の相談が寄せられている。

「増え続ける空き家問題は、まず放置する所有者をなくすことが何より大切です。当社で活用の提案ができなくても問い合わせがきっかけとなり、売却や解体を考えるなど所有者の意識変化につながると嬉しいですね」

 今は他人事でも、多くの人が当事者になり得る「空き家問題」。その時に備えて、対策と利活用の手段を知っておきたい。

(取材・文/福崎剛)

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