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知ってた?浴室・洗濯機・エアコンの効果的な「カビ」対策、正しいお手入れ方法を専門家が解説
浴室のカビ取りは市販グッズで十分、コツは事前の汚れ落とし
「お風呂から上がったら、温まっている壁を水で冷やすのが効果的です。そうすることでぐっと浴室内の湿度を下げることができます。その後、壁に残った水を水切りワイパーで取り、よく換気する。これが浴室の基本のカビ対策です」(尾崎さん)
「浴室のカビは、カビの上にシャンプーやボディソープがつき、またその上にカビが生えているという何層もの“ミルフィーユ状”になっているものがほとんどです。まずはカビ部分に風呂用洗剤をかけ、歯ブラシなどでしっかりこすって乾かす。一般汚れを落としてから、カビ除去剤をかけて、ラップで密閉。密閉することでカビの深部にグッと溶剤が入っていくので、ツルッと取れるはず。市販のカビ除去剤はよくできているので、この方法でほとんどのカビは落とせると思います」
また、見落としがちなのが浴室の天井。天井からカビ菌が振り落ち、浴室内のカビ原因になっているケースも多い。雑巾などでこすれば簡単に取れるのでこまめな掃除が必要だ。エプロンと呼ばれる浴槽の側面パネル内もカビが発生しやすい状態なので、合わせてチェックしたい。
洗濯槽の汚れ、自宅ケアで取れるのは2、3割程度 日常の対策は?
「ペットやお子さんのいる家庭では、開けっ放しは危ないので、しっかり対策をしてから開ける、または、外出時でお子さんやペットの心配がない時だけ開けるなどでも良いと思います。ドラム式についている乾燥機能を使わない方もいますが、カビ抑制の観点からは使うことをお勧めします。また、洗濯機を“洗濯かごがわり”にするのもNGです」
洗濯槽は外からは見えない内部のパーツにカビが潜んでいる。洗濯かご代わりにすると、衣類にカビ菌が付着してしまうことも。実はこれら衣類についたカビが、梅雨時期に多い衣類の生乾き臭の一因に。一般家庭の洗濯槽は、こまめにケアしても完全にカビを除去することは困難だ。
「洗濯の際、洗剤の力で除菌はされますが、それでも衣類には目に見えないバイオフィルムというカビや、細々した菌が表面についているんですね。洗濯を外に干せる場合は、紫外線で除菌されますが、室内でゆっくり乾燥させると、乾く前に菌が増殖し、イヤな臭いを発生させます」
対策としては、電気代はかかるがお風呂に乾燥機能が付いている場合は浴室乾燥機能を使って乾かすこと。室内でしか干せない場合は、扇風機で風を当てて素早く乾かすのが効果的だ。
また、洗濯槽の掃除に関しては、市販の洗剤の他、水を貯められる縦型洗濯機には過炭酸ナトリウムが有用。
「過炭酸ナトリウムは、お湯で溶かすと発泡し、汚れの間に入り込んで汚れをはがし落とす効果があります。洗濯槽に40℃〜50℃程度のお湯をため、500g程の過炭酸ナトリウムを入れます。15分ほど洗濯機を回し、数時間付け置きするとカビが浮いてくるので、それをネットですくい取って掃除します」
何度か繰り返すとある程度はキレイになるので、2〜3ヵ月に1回を目安に行って欲しいと尾崎さん。それでも、洗濯槽全体の汚れでいうと程度2、3割程度しか取れていない状態だそう。2〜3年たつと見えない内部はカビだらけになってくるので、2年に1度はプロに掃除してもらうのが望ましいそうだ。
まさかの油汚れが付くことも…エアコンの意外な事実とカビ予防
「実は、換気扇が汚れていると、吸い取る力が弱くなって、同じ室内でつけているエアコンに油で汚れた空気が流れてしまうんです。換気扇を綺麗にすることが先決ですが、確かめる方法は、料理中に部屋の電気を消して、エアコンと換気扇を最大限にすること。煙がエアコンの方に流れたら、換気扇が汚れている可能性が高いです」
エアコン掃除は、最低限フィルターのほこり取りはマスト。カバーを開き掃除機を使ってフィルター表面のほこりを軽くとってから、フィルターを外しシャワーのお湯で流す。油汚れなどベタベタする場合は、スポンジを使い中性洗剤で優しく洗う。汚れがたまっていると電気代も高くなるので、2週間に1回の頻度が理想的だそう。カビ対策には、内部クリーン機能があるものはオンにしておくこと。クリーン機能がない場合は、エアコンを切ってから2時間送風にして乾かすことがポイントに。
日本は湿度が高く、気温的にもカビが生えやすい環境にある。お風呂場や洗濯機、エアコンなど、湿り気があるカビ工場の生産ラインを止めておかないと、ずっとカビが舞う状態に。無理なくプロの力も借りつつ、清潔で快適な暮らしを手に入れたい。
(取材・文/辻内史佳)