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(更新: ORICON NEWS

「吹き抜け」「2階リビング」はあり? 賛否ある間取りのデメリットと対策、専門家の見解

開放感を感じる「吹き抜けリビング」に、眺望性・採光性の良さが期待できる「2階リビング」。どちらもマイホームに採用する人がいる一方で、「吹き抜けは寒い」「光熱費がかかる」「音が響く」、「2階リビングは“上り下り”が大変」と否定的な意見も根強くある。元ハウスメーカーの設計主任・はなこさん(@hana_madori_designer)に改めて、特徴的な2つのリビングのデメリットに対する見解と、解決策について話を聞いた。

「吹き抜けリビング」は音対策をしっかりと

 まず「吹き抜けリビング」ですが、吹き抜けを計画して寒いお家は一昔前の印象。断熱や気密をしっかりとったり、熱損失の高い窓を樹脂サッシにすることで、吹き抜けだから寒いということはありません。

 光熱費がかさむ理由は、温めても、熱が逃げてしまうことが原因にあります。全館床暖房の住宅では1階と2階での温度差が冬場でもないため、2階の寒さが吹き抜けを通して1階に降りてくることはなく、性能がいいからこそ、オススメしたい提案になっています。

 デメリットを挙げる方にとっては、まさに驚きではないでしょうか。それほど性能の高い住宅では、一度暖めてしまえば、まるで保温ボックスのようにその暖かさを維持することができるため、近年の高性能の住宅では特別光熱費がかさむわけではないのです。

 一方、「音」は解決するのが難しい問題です。吹き抜けをつくることで、実際に生活の音が2階には筒抜け状態。まるでリビングの隣の部屋のような近さに感じることもあるかもしれません。

 家族の生活音なので気にならない、という人もいれば、「寝る時は無音でないと…」と感じる方もいらっしゃいます。音は空気によって伝達されていくので、空間が一体的になっている以上は、音の侵入を防ぐのは難しいです。

 防音室を作るという解決策もありますが、2階のお部屋を全部防音室にするのもナンセンスでしょう。対策としては、2階床、壁に防音材を入れることや、吹き抜けの位置からベットの位置をなるべく離す。吹き抜けと寝室の間に収納スペースを設けるなどでも多少改善はされてきます。

「2階リビング」が不安な時は階段まわりの工夫、漏水対策を

 「2階リビング」のデメリットとされる“階段の上り下り”は「老後」について多く語られることが多いです。ただし健康寿命は、70歳近くと言われています。20代後半で住宅ローンを組むとすると40年近くは階段の上り下りができるということです。その40年の時間を老後のために過ごすのは、もったいないと感じる人も多いでしょう。

 それでも将来の“階段の上り下り”に不安を感じる場合は、いずれエレベーターを導入できるように1階と2階の同じ場所に1坪分の収納を設けておいたり、階段昇降機がつけられるように、階段の幅を少しゆとりのあるように確保する。またはストレート階段して機械で上りやすくしておくこと。

 敷地の広さや条件にもよってくるので一概には言えませんが、水回りを2階にすることで施工金額が高くなったり、将来的な漏水が不安という方もいらっしゃると思います。対策としてはお風呂や洗濯機周りは1階にする、2階に計画する場合は洗濯機パンを計画する。その直下はウォークインクローゼットなどの収納部屋にしないことで、被害も最小限にできるかと思います。

 2階リビングは狭小住宅にとって、開放感や明るさを確保するためにも必要な選択になってきます。家に住む時間を考えて、時間軸の中で一番長い時間にフォーカスした最善の策を選ぶといいと考えています。非常事態に備えられる解決策だけを準備しておけば恐れることは何もないでしょう。

 今よければいい、というわけではなく起こりうるケースへの対策を備えた意思決定をすることで安心して暮らせるのだと思います。
【建築士ママ・はなこ】
間取りデザイナー&建築士。大手ハウスメーカーに8年間勤務、設計部主任を務めたあと独立。現在はフリーランスで間取りのセカンドオピニオンや土地購入前診断、ハウスメーカーの垣根を超えた住宅相談を行う。

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