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年配女性の御用達だった『フェイラー』のファンが若返り コラボ&リブランディングで再注目

  • 大きな反響を呼んだ「ペコちゃん」コラボシリーズ

    大きな反響を呼んだ「ペコちゃん」コラボシリーズ

 ハンカチやポーチなどを扱うライフスタイルブランド「FEILER(フェイラー)」。ひと昔前は“黒地に花柄”のイメージで年齢層の高い女性に好まれる印象が強かったが、近年ではフルーツや動物、クスッと笑える色鮮やかなデザインが増え、購買層が大幅に若返り。ディズニーやペコちゃんなどキャラクターや、企業、人気ブランドとのコラボ商品を次々とリリースし、発売時には注文が殺到するほど人気を呼んでいる。ターゲット層を若返らせたリブランディングの秘策と、成長を続ける要因とは?

“富裕層の女性”がターゲットだった上陸当初 リブランディングの鍵は“ファンマーケティング”

  • 日本上陸当初の定番デザイン

    日本上陸当初の定番デザイン

 昨年、日本上陸50周年を迎えた「フェイラー」。8月には表参道駅の地下通路に、カラフルなハンカチ100枚を使ったアートのような広告を展示。今年に入ってからも、3月のギフトシーズンにはJR山手線の車両内中吊りポスターをジャックするなど、注目を集めている。

 同ブランドの起源は、1928年。伝統工芸織物であるシュニール織を使った製品を作る工房がドイツに誕生し、1948年からは「フェイラー」という名のブランドに。日本で本格的に展開されるようになったのは、1972年。創業者の山川和子氏がベルギーを旅行中に同ブランドの製品に出会い、「ぜひ日本でも紹介したい」と交渉したことが始まりだった。
「最初は、ドイツで作っていたタオルやハンカチを日本の百貨店で取り扱っていただいていました。当時はフェイラーの商品だけでなく、オーストリッチのバッグなど、ヨーロッパの輸入雑貨を販売する中の一つという形でしたが、山川さんが開花させ、たくさんの方から愛していただけるブランドになりました」(フェイラー・ジャパン マーケティング部 PR 吉野陽子さん)

 発売当時のターゲットは、富裕層の女性。当初は30〜50代ぐらいまでが中心だったが、年を追うごとに年齢層が高齢化。2012年には、平均が65歳を超えるという結果に。「このままお客様が年を重ねたら、店舗に足を運ぶのも難しくなるだろう」という危機感から、2014年からリブランディングに着手する。
  • 人気のディズニーコラボハンカチ(C)Disney

    人気のディズニーコラボハンカチ(C)Disney

  • 人気のキャラクターをシェニール織で表現(C)Disney

    人気のキャラクターをシェニール織で表現(C)Disney

 2015年には銀座に直営店を出店し、『LOVERARY BY FEILER(ラブラリー バイ フェイラー)』というギフトコンセプトショップを立ち上げ、百貨店以外のファッションビルや駅直結の商業施設でも販売をスタート。同時に、インスタグラムも開設した。1年ほどは情報を発信するだけにとどまりフォロワーが伸び悩んだが、2016年からファンマーケティングを行なったことで、大きく風向きが変わる。
「ご自身の購入したものをアップした“#フェイラー”の投稿が、1日に150件以上あって。それに対してコメントさせていただくことでお客様とつながることでき、交流を深めていきました。フェイラーでは、『ハイジ』という人気の柄があるのですが、8月12日が語呂合わせでハイジと読めることから、“#ハイジの日2022“のハッシュタグをつけて商品を投稿してお祝いするイベントがあります。こちらもファンの発案によるもので、一緒に楽しませていただいています」(吉野さん)

 対面でのパーティーなどを開催することで購入者同士がつながり、さらに発信していくという効果も。現在ではインスタグラムのフォロワーは18万人を超え、2020年からはファンと一緒に作り上げた商品も発売している。また、インスタによるライブ配信では、新商品のアイデアを募る場を設け、一緒に作り上げる試みも行なっている。3月に発売したアイフォンケースは、まさに消費者の声から生まれた商品だ。

 また、カラフルなデザインで真四角なフェイラーのハンカチは、インスタとの相性も抜群。ハンカチの投稿が並ぶと“映え効果”にもつながり、ターゲット層の若返りに大きな効果をもたらしている。
  • 『ハッケヨイ』

    『ハッケヨイ』

  • 『オースシ』

    『オースシ』

  • 『チクチクハリネズミ』

    『チクチクハリネズミ』

ファストファッションと対極の存在 人気ブランドとのコラボが若返りに起因

 同ブランドでは、ハンカチやポーチなどの小物類以外にも、クッションやスリッパ、マットなど生活に関する様々な商品を取り扱っている。圧倒的なシェアを誇るのはやはりハンカチで、デザインはもちろん、フェイラーのシュニール織ならではの厚みのある柔らかな質感、吸水性と耐久性に優れている点も魅力のひとつだ。
「フェイラーでは染色された糸を約130色保有しています。ただ、織機の都合で一つのデザインに使うのは18色までと決められているので、その中で美しいグラデーションなどをどのように表現するかをデザイナーが思案しながら柄を制作しています」(吉野さん)

 ドイツにある小さな街で、200人ほどの職人が手作業も交え作っており、量産が難しいというデメリットも。織るのに時間を要し、1年以上前から企画しデザインを考案する。そのためトレンドを読むことが難しく、ある意味ファストファッションと対極にある。しかし同社・八木直久社長は、「大量に生産することよりも、クラフトマンシップでしっかりと製品を作り上げることも一つの価値だと思うので、大事にしたい」と、信念を語る。

グラデーションで表現したリップがセクシーな『スウィートリップ』シリーズ

グラデーションで表現したリップがセクシーな『スウィートリップ』シリーズ

 リブランディングを機に徐々にデザインも変化。フルーツや動物、ラーメン、サウナなどファニーな柄も増えた。
「『LOVERARY BY FEILER(ラブラリー バイ フェイラー)』では、イチゴなどのフルーツや、フルーツサンド、クマやバンビなどの動物の柄は特に人気です。宝石の柄や、女の子が身につけるようなワードローブやネイルボトルの柄もありますし、お寿司やおすもうさんなどクスッと笑えるデザインも取り入れています」(吉野さん)

 また、サンリオやドラえもん、スヌーピーなどの人気キャラクターを始め、企業や人気ブランドとのコラボを次々と展開。争奪戦、即完になることも珍しくなく、毎回注目を集めている。
「コラボアイテムに関しては、大前提に先方の企業の考えがあります。また、商品の先にいらっしゃるお客様がどういう方なのか、どういう思いでそのブランドを愛しているのか、そしてその企業はどのようにお客様と向き合いっているのかという企業同士のDNAの相性を大事にしています」(八木社長)

 コラボはフェイラー側から依頼する場合もあるが、先方からの声がけが多いそう。コラボによる相乗効果で、それまでターゲットではなかった層の認知も上がり、ブランド購買層の広がりのひとつの要因にもなっている。
  • ゴルフや馬をデザインしたハンカチ

    ゴルフや馬をデザインしたハンカチ

  • トレンドの「サウナ」柄のユニークなデザインも

    トレンドの「サウナ」柄のユニークなデザインも

“おばあちゃんが推薦者”世代を超えて家庭内で受け継がれる魅力

  • フェイラーではベビーアイテムも取り揃えている

    フェイラーではベビーアイテムも取り揃えている

 リブランディング後、顧客の中心年齢層は30〜40代に。売上高も、コロナ禍前2019年度に対し、2022年度の見込みは140%超に成長。店舗数は、大都市を中心に国内108店舗にのぼる。

 商品を開発する上で一番大切にしているのは、「目に見えない価値」だと八木社長は語る。
「もちろんデザイン性も大切ですが、社内に意識させているのは、目に見えない情緒的な価値です。フェイラーのハンカチを持った時に、パワーやエネルギーを感じてもらえるようなプラスアルファの価値。たとえば大事なプレゼンがあって不安になっている時、お守り代わりにハンカチを持つことで頑張れるとか。そういったものを感じていただくために何が表現できるかを、最初に考えています」

 また、フェイラーの強みは世代を超えて受け継がれている点だとも。もともと使っていた母から子へと受け継がれることで、おばあちゃん、母、子、さらにその子どもと3世代、4世代伝わることが可能なのだ。実際に、自分が使ったフェイラーのおくるみを3世代受け継いでいるという家庭もあると言う。競争が激化し、消費者の選択肢が増える市場において、家庭内で自然と受け継がれていくのは大きな強みと言えるだろう。

 近年では、教育機関とコラボし、在校生や卒業生等に向けオリジナルデザインのハンカチを製作。学校と同窓とのつながりを感じさせるインナーブランディングの契機となることも期待される。

 “悲しい時も、楽しい時も、そっと心に寄り添える存在でいたい”というのが、フェイラーが変わらず大切にする普遍的な姿勢。より幅広い層へ向けた新たな試みにも意欲的だ。
「日本に上陸して50年。時代と共にお客様と一緒に変わっていくことと、変えてはいけないことがあると思います。世代を超えて、ブランドの価値をお伝えできるよう、次の50年もアップデートしていこうと考えています」(八木社長)

フェイラー公式オンラインショップ(外部サイト)
フェイラーオフィシャルブランドサイト(外部サイト)

ハンカチ以外にもライフスタイルグッズを多数ラインナップしている(写真は人気の「マナマナ」シリーズ)

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