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(更新: ORICON NEWS

メニュー価格改定を発表したロイヤルホスト 低価格ファミレス危機を乗り越え、「高付加価値路線」を貫く理由

 2020年から続くコロナ禍に見舞われながらも、健闘し続けるファミレス業界。昨今は低価格の飲食店も増え、この不景気もあり、一部の低価格ファミレスを除いては、ファミレス自体が「やや高級」といった声も囁かれる。そんななか、『ロイヤルホスト』は「高級路線」を守り続け、専門店よりリーズナブルでありながらも、安定した美味しさを提供し続けている。そうしたブランドイメージの良さだろうか、藤井隆がロイホでディナーショーを行ったり、スピッツの「ナナの気持ち☆」の歌詞に登場したり。また菊地成孔がファンを自認するなど著名人からの支持も多い。幾多の困難をどのようにして乗り越えたのか? ファミレスの先駆的存在である同店に話を聞いた。

前身は本格フランス料理店 「オープン時は、当時珍しかったハンバーグ、ピザ、パスタ等の洋食と焼肉も楽しめる複合レストランに」

 ロイヤルホストの1号店がオープンしたのは1971年。場所は北九州市黒崎だ。もともとは福岡空港(当時:板付空港)の機内食に携わる会社だったのだが、1953年に本格フランス料理店「ロイヤル中洲本店」を出店。同店はマリリン・モンローとジョー・ディマジオが訪日時、来店したことでも有名で、その店舗が前身となる。

 「ロイヤルホストは、レストランでの外食という“非日常の特別感”をより多くの方に体験していただきたいという思いから誕生しました。北九州市黒崎にオープンした1号店は、戦後の洋食文化をいち早く日本に取り入れ、一般のお客様も気軽に訪れる事が出来る郊外型ファミリーレストランとして開店。オープン時は、当時珍しかったハンバーグ、ピザ、パスタ等の洋食と焼肉も楽しめる複合型レストランでした」(同店担当者/以下同)

 ロイヤルホストは積極的に世界の料理フェアなどにも力を入れてきた印象もある。ファミレスの「フェア」の先駆者とも言えるかもしれない。「1970年代より、食を通じて世界の食文化を伝えるというテーマのもと、様々な国の料理フェアを開催してきました。本場の料理や食材はもちろん“その土地の日常を体感”し“世界の食文化を日本の多くの皆さまに”がコンセプト。当時はまだ多くの人たちが召し上がったことがなかった料理・メニューにも挑戦して、現地の味を楽しんでいただくことにこだわった料理を提供しました」

 特にパスタのアルデンテ、タイのグリーンカレーやトムヤムクンなどは、当初は驚かれながらもお客様に徐々に受け入れられた。いつしか「フェア」はロイホの目玉となり、2010年代には海外に限らず、「Good JAPAN」をテーマに日本の産地や食材も紹介。直近では、付加価値の高い食材を使用したごちそう感のあるメニュー、50周年記念フェアではロイヤルホスト自慢の洋食を少しずつ色々楽しめる「洋食小皿」メニューなどを展開している。ちなみに、一番人気料理は「黒×黒ハンバーグ」。「国産黒毛和牛7.5×国産黒豚2.5」の黄金比率で、2009年の発売以来、累計2,600万食を超えているそうだ。

“高級路線”は戦略ではない「変わらぬ味のこだわり」でブランドを強化

 順風満帆に見えるが2000年代にはファミレス業界に激震が走る。低価格競争だ。すかいらーくはガストへと転換。さらにはサイゼリヤやびっくりドンキーも登場し、低価格レストランの相次ぐ台頭により、郊外ファミレスの競争は激化した。

 「そのような状況下でロイヤルホストは“レストランの王道”を歩むことを決め、“単にお腹を満たす食事ではなく、心を豊かにする”ホスピタリティレストランを目指しました。出店も郊外から都心へと転換しました」

 この“ホスピタリティ”がロイヤルホストを語る上で重要なキーワードとなる。直訳すれば「思いやり」「心からのおもてなし」であり、客が想定しない程のサービスを、それへの対価を求めることなく提供することであり、客が深く心地よい余韻と感動を得ることを追及するものだ。

 確かにロイヤルホストは他ファミレスと比べるとやや高価に思われるかもしれない。だが、SNSなど見ると、パフェのクオリティに驚く声や、「カジュアルすぎず高級すぎず、ちょっとだけ贅沢に浸れる。自分を大事にしたい時に使うのにいい」といった声も見られる。こうした声から見れば客の満足度は高い。

 そもそも安値というのは客を呼び寄せる手段の最もわかりやすい例だが、ある飲食業者に話を聞いたところ、安値を目的に来る客はもともとお金を使いたがらず、結局客単価が下がってしまうことが多い。問題はお金を払ってくれる人がどれだけ集まってくる場所になるかが重要となる。

 ロイヤルホストは“ホスピタリティ”と、値段に見合った美味しさ、居心地の良い空間などを提供することで「今日は少し贅沢をしたい」という客にアプローチをし、マリリン・モンローも味わったというオニオングラタンスープなど、「これも注文してみようか」という“ついで注文”をしたい気持ちにさせていく。そういったレストランであるように感じられる。

客層の変化に応じて店内の空間も改装や冷凍食品の開発 “ロイホの味わいを楽しんでもらう”ことへの企業努力

 ただ核家族化、少子高齢化が叫ばれてすでに長い近年、ファミリーレストランは、決して“ファミリー”だけで訪れる場所ではなくなった。2020年にはコロナ禍という未曾有の危機が飲食業に襲いかかる。しかしその前年、2019年12月に同店はレストラン品質の料理をご家庭でも楽しんでいただけるフローズンミール「ロイヤルデリ」の発売をスタートさせていた。

 「『ロイヤルデリ』は、家庭でレストランの気分を楽しんで欲しいという思いでロイヤルグループにて開発・販売を行っています。店頭のほかオンラインでの販売に注力。洋食は幅広い人から支持され食卓に並ぶ機会が多い一方で、一から美味しく調理には時間と手間がかかるため、本格的な味わいを手軽に楽しんでもらえるフローズンミールは重宝されています」

 ロイヤルグループで培ってきたレシピを活用し、「食品事業の拡大」を目指して始まったサービス。昨年2021年度の「ロイヤルデリ」の売上高が前年度比2.5倍になるなどコロナ禍中でも成長事業となった。また身近な人へのお土産に利用する客もいれば、テイクアウト料理に冷凍スープやデザートをプラスワンする客もいるなど、使い勝手も良い。

 店内も一組あたり客の2名での利用主体に変わったことを受け、2名用テーブルの幅や配置、通路の間隔も見直し、よりゆったりした空間となるよう改装を実施している。先述もしたSNSの声「カジュアルすぎず高級すぎず、ちょっとだけ贅沢に浸れる。自分を大事にしたい時に使うのにいい」というニーズに合うよう企業努力を続けている。

 先日、3月からステーキ商品や朝食メニューの一部について価格改定を発表したロイヤルホスト。次にどのようなブランディングで対抗していくのか。非常に興味深いところだ。

(文/衣輪晋一)

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1月11日より季節デザートフェアを開催中。今回は苺のブリュレパフェ(税込1,078円)、ストロベリー&ホットファッジ(税込1,298円)、 苺のショートケーキ仕立て(税込968円)など、人気の苺のデザインメニューを展開。
販売期間:2023年1月11日(水)〜3月上旬 予定

ロイヤルホスト公式ホームページ  https://www.royalhost.jp/
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