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“国民的ブランド”名称変更の葛藤とは? 10年前『マイルドセブン』を『メビウス』に変えたワケ

あれから10年、たばこ逆風の時代に『メビウス』が果たす役割

 こうして、『マイルドセブン』は2013年2月に『メビウス』へと生まれ変わった。顧客が減ることもなく、海外展開としてはアジアで評判良く受け入れられたという。なぜか、マイセン時代はいっこうに売れなかったメンソール商品が、『メビウス』になってからシェア1位を獲得するという副産物もあった。「とはいえ、喫煙者の間での認知度はメビウスよりマイセンのほうが高い。いまだに勝てていないんですよ」と岩根氏は語る。

 「名称変更した10年前は、すでにたばこのテレビCMは打てなくなっていたので、幅広く浸透させるのに苦労しました。そして今、テレビだけでなく、新聞、雑誌、ネット…これだけの広告機会が使えない。アウトドア広告もできないため、コンビニなどで商品をアピールするしかありません」

 今、メディア等でたばこを宣伝することはできない。これは世の流れ、人々の意識の変化によるものであるから致し方ない。10年前から比べても、改正健康増進法全面施行、自治体による受動喫煙防止条例など、喫煙を制限する法律やルールも増えた。吸う人はもとより、周囲の人にまで健康被害をもたらすかもしれないたばこは、マイセン時代からは見る影もなく、敬遠されるものに。リブランディングを成功させた『メビウス』にしても状況は同じだ。さらにそれは年々厳しくなり、現在の喫煙率は全体の20%程度だとみられる。

 そんななか、大きな転機となったのが加熱式たばこの登場だ。主に“周囲への配慮”を理由に加熱式たばこのシェアは年々伸びていき、アイコス、グロー、プルームなどの各デバイスがシェアを競っている。『メビウス』もまたそれを一つの契機とし、2018年には低温加熱式用、2019年には高温加熱式用たばこスティックを発売した。ただ、マイセン時代から長らく紙巻たばことして親しまれてきただけに、思うところはあるという。

 「たしかに葛藤はあります。今も7割いる紙巻ユーザーに『加熱式に移ってください』と言うようにも見えますが、そういうわけではありません。ただ、日本人の嗜好の真ん中をきた『メビウス』です。包容力ある商品だからこそ、その時々のニーズに合わせて全方位で展開していきたいと思います」

 加熱式にすれば問題がすべて解決するわけではないが、煙やにおいの点から見れば、紙巻たばこよりは周囲への影響が少ないことはたしか。TPOに応じた喫煙者側の配慮が不可欠となった今、“ニーズ”はたばこのおいしさだけでなく、喫煙環境も含んだものとなる。

 「安心感や信頼感を持っていただけるブランドになったと思います。影響力が強いからこそ、『メビウス』が変わると大きな変化が起こるし、『メビウス』ならできる…と、役割の大きさを感じていて。今は、お客様からも『新商品を出すより喫煙所を作ってほしい』という声が大きい時代。『メビウス』などの商品を通して、JTでも喫煙者の利便性の向上、非喫煙者との共存を目指していきたいと思います」

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