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“世界最速”で作り上げた『純金箔ゴッドガンダム』に職人のこだわり、「一番のポイントはキットを手に入れること」

 8月に発表した最新作『RGゴッドガンダム』が、1.3万リツイート、3.6万いいねを集め、多くの注目を集めた“金箔モデラー”のもっさんさん(@tkmotsu1)。“金箔モデラー”になった経緯を明かした前回に続き、今回は、本作『RGゴッドガンダム』の制作秘話編。“世界最速”での完成を狙う同氏に襲い掛かったさまざまな困難とは?

押し寄せる周囲の期待に“金箔モデラー”として応えたい「世界最速で作る」

――ゴッドガンダムと言えば、『機動武闘伝Gガンダム』でのハイパーモード(ガンダムが金色になる)。“金箔モデラー”としては、腕の見せどころとも言えますね。
もっさんはい。『RGゴッドガンダム』の発表以降、周囲の模型仲間から「購入できたら金箔貼るんですよね?」というような期待とプレッシャーがありました(笑)。また、金塗装のゴッドガンダムの制作ツイートも多くなることが容易に予測できました。使用する金箔選びも慎重に行うと共に、周囲の期待のさらに上を行く為、タイムラインで作業風景を伝えながら、世界最速で『純金箔ゴッドガンダム』を完成させることを今回の最大の目標に掲げました。

――“世界最速”という目標を掲げる以上、さまざまな困難があると思いますが、もっさんさんの中で一番のポイントは?
もっさん一番は、キットの確保です。肝心のキットを手に入れなければ世界最速には届きません。予約開始から数分で受付完了するほどの人気キットでしたが、何とか一体確保出来ました。また地元の模型屋さんで大量に入荷されたことで、予備のキットも手に入れることができ、少し安心しました。
 箔押しに使う塗装棒などの道具管理、綿密なスケジュール設定をしっかりとしていたことが、今回のスピード制作に繋がったと思います。制作時間は食事や風呂、睡眠時間を除いて丸1日かかりました。今回の金箔押しに協力してくれた家族やサークルの仲間には感謝しきれません。

――制作時はどんなイメージで制作されていたのですか?
もっさんGガンダム自体、登場する機体の設定に無理がある描写が多いので、あまり深く考えず、気楽に制作出来ました。「黄金の国のモビルスーツを作る」ことをコンセプトに掲げ、作品を見て頂いてくれた方々がひと時でも「明鏡止水」の心を感じ取ってもらえればと思い、今回の作品名を付けました。

速さを求めつつ、クオリティも落とさない「3種類の金箔を吟味」

――本作で一番こだわったところはどんなところですか?
もっさん制作中に一番こだわったところは、元のキットの色に合わせて純金箔の種類を変えたところです。純金箔は金・銀・銅の3種類の配合で色合いが変わることを利用して、白い部分には1号色、関節の部分は3号色、赤や青、黄色の部分には五毛色と呼ばれる純金箔を使いました。肩アーマーやスカート部分の裏にはプラチナ(白金)箔を用いております。胸の内部パーツやゴッドフィンガーは虹彩箔を使いました。

――金箔工芸職人らしいこだわりですね。では、最も苦労したところは?
もっさん組み立てです。発売日に何の情報もない中、仮組みすることなくランナーから全てのパーツを外し、塗装スタンドに刺していきました。200を超えるパーツを一つずつスプレーガンで箔押し接着剤を塗布して、金箔を貼って仕上げて…。最初の内は完成したパーツをランナーごとに区分けして保管していたのですが、箔押し終了間際になると疲労もあって結局バラバラに入れていました。組み立てについて悩んでいましたが、午後から所属サークルの制作会の予定があったので、そこで相談しながら組み立てることに決めました。一か所だけ説明書を見ても理解できない部位があり、同キットの仮組みをしていた仲間から教えてもらえなければ、今頃パーツ請求をしていたと思います(笑)。

――さまざまな苦労、困難があって、『金箔仕様のゴッドガンダム』としては、おそらく世界最速で完成させました。3.6万いいねもさることながら、賞賛のコメントがたくさん寄せられました。
もっさん特に印象に残っているのは「スプレー塗装じゃないの?」、「いくら何でも速すぎる」など、完成スピードについてのコメントです。購入し、普通ならハイパーモードを金塗装で仕上げて誰よりも早くツイートしようと一生懸命に制作するところ、自分は金箔押しという職人技を駆使して塗装と同じかそれ以上の速さで駆け抜けていったのですから…。そう思われても不思議じゃありませんし金箔職人の技術をフルに発揮した結果、引き出せたコメントだと思います。

――ちなみにどのくらいの金箔を使われているのですか?
もっさん今回はタイムアタック形式のため、おおよその数しか答えられませんが、全部で30枚(1枚10.5センチメートル×10.5センチメートル)程かと。毎度のことですが、今回は特に聞かれました(笑)

――金箔職人としての腕もさることながら、パーツによって貼る金箔も選ぶなど、ガンプラを尊重した作品作りが印象的です。ひとりのモデラーとして、ガンプラを作る上で大事にしていることをお教えください。
もっさん「作っている時間を楽しむ」ことです。ニッパー片手に作っている最中はいろいろ面倒くさいことは考えないようにしていますし、気分が乗らなくなったら箱に片づけて違うことをするようにして、なるべく心や体が疲れないようにしています。
 今回の純金箔ゴッドガンダムの制作においても、当初は夜中の作業も考えていましたが判断力の低下や次の日の予定に合わせてしっかりと睡眠時間を確保しました。そうしたスケジュール管理をすることで完成したゴッドガンダムは大きなミスもありませんでした。
 最後になりますが、金箔は決して食べ物ではなく、素晴らしい伝統工芸品を生み出す為の材料です。ぜひ素晴らしい金箔の工芸品をご覧になってください。よろしくお願いします。

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