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レゴで作った『タコザク』に驚きの声、元になったのは細密イラスト「ガンダムを表現する方法はガンプラだけではない」

『タコザク(機体名:サイコミュ試験高機動型ザク)』(左)制作・画像提供/とさしん。氏 (右)制作・画像提供/YOGO氏 (C)創通・サンライズ

『タコザク(機体名:サイコミュ試験高機動型ザク)』(左)制作・画像提供/とさしん。氏 (右)制作・画像提供/YOGO氏 (C)創通・サンライズ

 ガンプラを使わず、ニットや段ボールなどさまざまな方法で、ガンダム作品を創作しているクリエーターは多数存在。なかでもYOGOさん(@yg45yg)は、キットを使わずレゴでゼロからモビルスーツ(MS)を作り上げるクリエーター。近作『タコザク(機体名:サイコミュ試験高機動型ザク)』の発想の原点は、イラストでMSを描き、ガンプラモデラーからも一目置かれているとさしん。さん(@tosashin1028)の作品にあるという。「ガンダムを表現する方法はガンプラだけではない」を地で行く2つの才能は、どのような形で交わり、本作を作り上げたのか?

レゴの『レスキューロボ』をガンキャノンに変換したことがきっかけ

――近作の『タコザク』、代表作『リックドムII』をはじめ、さまざまなMSをレゴで作り上げ、SNSで多くの賞賛の声があがっています。そもそもレゴでMS作ろうと思ったのはどういったきっかけだったのでしょうか?
YOGO息子が生まれ、レゴで遊ばせていたのですが、『レスキューロボ』のセットを組み替えたらガンキャノンっぽいものが出来たので、これは面白いと思いました。その後しばらくして本格的に取り組むようになり、ネットに先人たちの作った素晴らしいMSが上がっており、それらを参考にするようになってレベルが上がりました。レゴ店のコンテストで入賞してしまい調子に乗ったということもあります。

――もともと、ご自身もレゴに親しんでいたのですか?
YOGOそうですね。幼稚園に上がる前から親の買ってくれたレゴで遊んでいたようなんです。ただ、当時から一度説明書通りに作っては、すぐに崩して作り変えて遊んでいた、と聞いています(笑)。

――そのころから現在につながる片鱗をみせていたわけですね。ガンプラではなく、レゴでMSを制作することの魅力はどのようなところですか?
YOGO最近のプラモデルは非常によく出来ているので、私のような半端ものが改造すると逆に格好悪くなってしまいます。かといって素組みではオリジナリティが出せません。その点、レゴMSには元キットが存在せず、誰が作っても自分だけの作品になるという利点があります。また、パーツ種類が豊富で、かつ精度も非常に高いため、創作素材として大変優れているということもあります。プラ板を切り出したりパテを盛ったりするより早く形を作ることができるので、気の短い自分にはピッタリです。加えて、小さな子どもでも遊べるようにある程度の大きさ以上になっていて老眼に優しいこともメリットですね(笑)。

――近作の『タコザク』ですが、そもそもなぜ制作しようと思われたのですか?
YOGOとさしん。さんのイラストを見て衝動的に作り始めました。これまでのタコザクのイメージを一新する素晴らしいアレンジで、作ったら絶対に楽しいと直感しました。案の定、とても楽しかったです。

――ガンプラでも多くの一流モデラーがそのイラストを作品の参考にしているとさしん。さんのイラストが元だったんですね。とさしん。さんのイラストは、モデラー/ビルダー(広い意味で)の制作意欲を掻き立てられるものでしょうか?
YOGOまず全体のプロポーションが抜群に格好いいです。力強さと美しさを兼ね備えた素晴らしいイラストだと思います。また各部の造形もとても工夫されていて、レゴで再現しようと一つ一つをじっくり見ていくと、それぞれの形に意味を持たせていることが見えてきてさらに楽しめます。もう一つは、繊細なディテールです。プラモデルに細かなディテールを入れることが流行っているので、レゴにもそれを取り入れたいと思うのですが、ただ単にごちゃごちゃさせれば良いというものでもないので、とさしん。さんのイラストは大変参考になります。

レアパーツをレゴ仲間から調達「レゴは制約があるけど、妥協したくない」

――本作制作する際、とさしん。さんのイラストをどのようにご自身で昇華して、制作に取り掛かったのでしょうか? イラストを忠実に再現した部分、ご自身のオリジナリティを出した部分、それぞれ1つずつ例を出して、そうした理由とともにお教えください。
YOGO胸部と肩はイラストのイメージを出せるように留意しました。この辺りのバランスが、この機体デザインの肝だと思ったためです。一方で、脚部は大きめ、背面のタンクは小さめになっていますが、これはレゴで作った際の安定性を高めるためです。実は、レゴでMSを作る場合に一番難しいのは自立させることなのです。腕が大きくなっているのは、簡単に言うと自分の技術不足でコンパクトに纏められなかったせいです。結果的には強そうでこれもアリかなとは思っています。

――本作の背景にはどのような物語があるとイメージしましたか?
YOGO推力を上げたところ推進剤の搭載量に問題が生じて急遽増槽タンクを取り付けた、と想定し、背面タンク周囲は機械類やパイプ類を剥き出しのままにしてみました。試験型らしさが出せたと思います。

――制作時、一番苦労したことはどんなことですか?
YOGOこれはレゴならではなのですが、形状がイメージにぴったりなので使いたいと思ったパーツがあったのですが、手元には必要数がなく、しかもこれが割とレアなパーツだったため使用を諦めかけていました。ところが、ダメ元でツイッターで呼びかけてみたところ、近所のレゴ仲間が奇跡的に持っていて譲って貰うことが出来たのです。他にもレゴでは、使いたいと思った形のパーツでも目的のカラーが製造されていなかった、というハードルが立ちはだかることも多々あります。

――周囲の方々の協力もあって、完成したわけですね。実際、完成した作品をご覧になったとさしん。さんは、「立体化といえばガンプラなど模型しか頭になかったので、初めてリックドムやタコザクを見た時には、衝撃と、子どものころによく遊んだLEGOの無限の可能性に軽い目眩(?)を受けました。文字通り、ゼロから作りあげる、そのイメージ力や想像力、そして根気と執念に毎度感服そして眼福ものです。またとさしん。のメカにチャレンジお願いしますー。」とコメントを寄せてくれました。ほかのガンプラモデラーとは異なる大きな個性である「レゴで作るMS」とは、ご自身にとってどんな存在ですか?
YOGO「癒やし」でしょうか。成果のはっきりしない職業に就いていることもあり、その中で自分の努力がはっきりと形になって現れる創作活動は、精神の安定につながっていると思います。最近は何か作っていないと体調が悪くなるようになってしまいました(笑)。正直、レゴは制約が多いですが、これからも「レゴだから出来なくても仕方がない」と妥協せずに、作品を作っていきたいと思います。

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