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「従業員のおやつ」がきっかけ…乾麺をお菓子として根付かせた『ベビースター』の功績
本来は捨てられる麺のカケラ…戦後の食糧難でも低価格で提供
「弊社の前身である松田産業では、1949年より麺類の製造販売をしていました。その製造過程で出る麺のカケラは本来は捨てられる運命にあるものですが、当時は戦後まもない食糧難の時代。創業者の「もったいない」という思いから、ベビースターは生まれました」(おやつカンパニー 広報・諸岡亜由美さん)
「当時は食品問屋さまとしかお取引がなかったため、菓子を取り扱っていただくのが難しく苦労したと聞いています。その後、名古屋の菓子問屋さまとの出会いで全国に広がる足がかりができ、発売から2年で売上が倍増するまでになりました」
「世界初のインスタントラーメン」とされている『日清チキンラーメン』の発売は1958年。時を同じくして、1959年にラーメンをお菓子にした『ベビースターラーメン』は誕生している。
小麦粉から練り上げたラーメンをわざわざ砕いて歯ごたえを生んでいる
「もともと製麺から発展した会社ですので、小麦粉から練り上げたラーメンを作り、それをわざわざ砕いて『ベビースターラーメン』ができあがります。あえて形を不揃いにしているのは、あのパリッポリッという楽しい歯応えを生むためです」
「『ベビースター』は、しょっぱい系のフレーバーだけと思われていますが、実は北海道限定の濃厚ショコラブラウニー味といった甘い系の『ベビースター』も展開しています。これまでさまざまなフレーバーを展開してきましたが、開発員が毎度苦労しているのは『再現度合いとベビースターらしさのバランス』です。過去にはハンバーガーの味を再現し過ぎたためか、ピクルスが苦手なお客さまから『味のどこかにピクルスがいる』というご指摘をいただいたことがありました。味の再現とともに、いかに『ベビースター』らしくデフォルメするかが大事であるかを勉強させていただきました」
定番チキン味は塩分を抑えコクや旨味に深みを出した味に…嗜好の変化による“味変”も
「創業者は味付けのスープにかなりこだわっていました。ただ味付けは時代に合わせて少しずつ進化を繰り返しています。1959年当時はパンチのある塩気も満足感に繋がっていましたが、現在は塩分を抑えつつコクや旨味など味に深みを出した味付けにしています。時代による味覚の嗜好の変化に寄り添いつつ、だけど『ベビースターは変わらない』と思っていただけるような味の真ん中の部分をブラさないこと。それが長年にわたってご愛顧いただけている理由なのかなと思います」
子どものおやつとしてはもちろん、ビールのおつまみ、さらにはサラダのトッピングなどレシピの食材としても使われる『ベビースターラーメン』。フードロス問題が叫ばれる昨今、その誕生の背景に思いを馳せつつ、これからも進化しながらも変わらないその味を楽しみたい。
(文/児玉澄子)