ORICON NEWS
「LGBTだけ、わざわざ公表すべき?」素朴中学生が“ガーリッシュ男子”に変貌、批判受けた当事者の思い
「こんな子になるなんて、お母さんがかわいそう」、同級生の親からの反応
ひろきちくん 大勢の方に注目していただきましたが、自分自身では「こんなに変わったんだなぁ」 くらいの軽い気持ちで反応を見ていました。あのツイートを見てくれた同級生からもけっこう連絡が来て、みんな驚いていましたね。
――おおむね、良い反応が多かったようですね。
ひろきちくん ただ、そのうちの1人が親御さんに見せたところ、「こんなことになってお母さんがかわいそう。大事に育てた子がこんな子になるなんて」と言っていたそうで。そういう意見もあるのは仕方ないとは思いつつ、もし自分のお子さんが僕と同じような考えを持っていたり、打ち明けられないことがあったらどうするのかな?とは思いました。まだまだいろいろ難しいですよね。
――前回、インタビューをさせていただいた際には、コメント欄に「LGBTの意味がわかっていない」といった批判も寄せられました。これについては、どのように受け取られたのでしょう?
ひろきちくん「自分は男性が好き」だということを明確に話していなかったので、そのように捉えられてしまったのかもしれないですね。とはいえ、コメントの内容にもよりますが、何も知らない相手から事実とは異なる批判を受けたとしても何とも思いません。
――LGBTや女装について、改めてご自身のお考え、伝えたいことを教えてください。
ひろきちくん LGBTに対しては正直なところ、そこまで興味がないんですよね。自分や恋愛対象の性別に関しては、人それぞれの好みの問題なので。背の高い男性が好きな人もいれば、そうでない人もいるし、ショートヘアが好きな人がいれば、ロングヘアが好きな人もいる。それと似たようなものだと思っているので、LGBTに関してだけ「自分の考えはこうだ」と、わざわざ公表する必要はないんじゃないか…と考えています。
――他者から良し悪しを判断されるものではないと?
ひろきちくん いろんなメディアで、「勇気を出して家族や友だちにカミングアウトしましょう!」と言っている方がいますが、それは個人が考えに考え抜いて決めることだと思うので。他人がどうこう言うのは、ちょっと違う気がしますね。
「多様性の時代というのであれば、相反する意見もきちんと聞き入れるべき」
ひろきちくん 女装はただの趣味だと捉えているので、人に迷惑をかけないのであれば個人の自由かなと思っています。ただ、僕自身としては女装をしている感覚はなく、あくまでも自分が好きな格好をしているだけなので、他の女装活動をされている方たちの心理まではわからないですね。
――LGBTやマイノリティな方たちに対しては、日々、さまざまな意見・見解が飛び交っていますが、そうしたなかで自らの考えをSNSでアピールすることに怖さを感じたりはしますか?
ひろきちくん 個人の性的思考に対して、外部からとやかく言われることがまず理解できません。多様性の時代というのであれば、自分の考えに合った意見だけでなく、それに相反する意見もきちんと聞き入れるべきだと思います。SNS上で叩かれるかも…という点に関しては、もともと積極的に自己表現をする性格なので怖くはなかったですね。むしろ逆に、「こんな僕でも誰かに元気を与えられたらいいな」という気持ちのほうが大きいです。
――寄せられたコメントのなかには応援する声も多かったように思います。これについてはどう受け止められたのでしょう?
ひろきちくん 純粋に、大勢の方に読んでいただけたことが嬉しかったです。「こういう生き方もあるんだ」、「こういう人もいるんだ」と知ってもらえたらいいな…という思いでいたので、記事を通して興味を持ってもらえただけで大満足です。
寄せられる“性別の不一致”の悩み、大事なのは「じっくり考えること」
ひろきちくん 大勢の方から性別や性的指向、メイクについての相談などをされることがあります。最近では、「小さい頃から心と体の性別の不一致を感じていて…。親に相談をしたいけど、否定されることが怖くて言い出せません」といった相談を受けました。
――そうした場合、どのように応対されているのでしょう?
ひろきちくん こちらの方には「自分がどうしたいか、どうなりたいかは、いつか気づく日が来ると思うけど、ホルモン治療をしたいなら早ければ早いほうがいい。ただ、一度始めてしまったら、もう後戻りはできない。だからこそ、今はたくさん悩んだほうがいいと思う。ホルモン治療をするのであれば、親御さんに言わなきゃいけなくなると思うから、相談とかなら僕がいつでも聞くけど、じっくり考えてみて」と答えました。直接助けてあげられないことはすごく悔しいですが、相談者が幸せでいてくれたらと思っています。
――LGBTに対する見解に加え、前回のインタビューでは「アトピーを乗り越え、完治はしていないながらも美を追求している」という点にも、多くの応援の声が寄せられました。ご自身でも手応えを感じられたところはありますか?
ひろきちくん 小さい頃は、アトピーのせいで身体中傷だらけで、毎朝起きたらシーツが血まみれ…ということがよくありました。20歳を過ぎた頃から落ち着きましたが、いつまた酷くなるかわからないので不安は常にあります。アトピーで悩んでる方は多いので、いち早く治療法が見つかってくれたらなと思います。
――さまざまな活動を続けていくなかで生まれた、人生哲学があれば教えてください。
ひろきちくん そんな大それたものではないですが、人を心配させたり、迷惑をかけるようなことは最小限に抑えて。毎日、ほんの小さな出来事であっても、そこに幸せを見出せるようになれたらいいなと思っています。
――LGBTやアトピーだけでなく、さまざまな悩みを抱えている人たちに向けて、アドバイスできることや、伝えたいことはありますか?
ひろきちくん 嫌なことやつらいことがあっても、「まぁいいか」と流したり、すぐに忘れられるようにする。いつまでも引きずらずに、「小さな幸せを探す」精神を持つことが大切ですね。他人の声が気になる人は、その第一歩として、まずはスルースキルを身に着けるところから始めてみてはいかがでしょう。
(文:ソムタム田井)
■ひろきちくんTwitter(外部サイト)