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「天国のパパ、私また歩いてるよ!」下半身不随のコーギー、車椅子の散歩で笑顔取り戻す…感動のビフォーアフター
飼い主を看取ったおばあちゃん犬、治療法のない病気で下半身不随
「飼い主の方が亡くなってから3、4日の間、気づかれなかったようなんです。ななみちゃんはずっとそばで、飼い主さんを見ていたんでしょう。そうして、下半身不随の不自由な体でなんとか数日間を生き延びました」
ななみちゃんはその後、犬を飼える状況になかった家族の願いもあり、『ねこけん』へとやってきた。名前の由来は、7月3日生まれだから。10歳のおばあちゃん犬ながら、パパさんからはとても愛されて暮らしてきたのだろう。
だが、ななみちゃんを診察してみると、下半身不随で歩行ができないことに加え、膿皮症(皮膚病の一種)や膀胱炎も患っており、肉球はガサガサで堅く変形していた。半身不随の原因は、おそらくDM(変性性脊髄症)だと思われた。
「DMは、コーギーなどに多い遺伝性の病気です。歩けなくなって声も出なくなり、最終的には亡くなってしまいますが、現段階では治療法がありません。なので、そうでない可能性に賭けて、MRIを撮ってみたんです。もしヘルニアなどが歩けないことの原因なのであれば、オペをしたら歩けるようになるかもしれない。でも、結果的にはやはりDMでした」
「もう一度歩けるように…」車椅子で一歩一歩、生きる喜び感じる顔に
「それなら、もう一度歩けるようにしてあげたい。歩くことが刺激になって、病気の進行を遅らせることはできます。少しでも長く生きるために、人間と同じようにリハビリすることはとても大事なんです」
まずは、支援してもらったというバギー「ななみ1号」で朝晩の散歩に出ることにした。バギーに乗せてもらったななみちゃんは、春の空気を感じ、花の匂いを嗅ぎ、緑に触れた。さらに「車椅子があれば歩けるのでは?」ということで、様々な人に助けてもらいながら、厚木市にある『ポチの車イス』という会社で車椅子を作ってもらうことができた。そうして外を歩くようになると、ななみちゃんの様子に変化が表れたという。
「もう、表情から何から全然違いました。保護されてきた当初は不安げで、意志表示をすることすらなかったんです。それが、どんどん生き生きとした顔になって…。ななみちゃんは目薬を差すのが苦手なんですが、イヤなときはイヤって、意志表示もできるようになりました(笑)」
隣に大好きなパパさんはいなくても…天に向かって届ける声
その隣に、ななみちゃんが大好きだったパパさんはいない。でも、天に向かって吠えるななみちゃんは「パパ、私また歩いてるよ!」と報告しているようだという。
「病気のこともあるので、ななみちゃんの譲渡は考えていません。『ねこけん』でずっと見守って、我々がななみちゃんの家族になろうと思っています」
治る病気、治らない病気、進行する病気。動物たちも、そんな病気を抱えることがある。だが、その傍らに手を差し伸べる人間がいれば、きっと動物たちは幸せに暮らすことができる。一度は大事な家族をなくし、希望も見失ったななみちゃん。だが今は、ななみちゃんを優しく見守る新たな“家族”に囲まれている。
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