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16歳 “噛みつき“ダックスの保護犬卒業までを追ったYouTubeに反響 閉鎖的なペット業界と向き合う女性の想い

 「コロナ禍、癒しを求めて飼ったものの、毎日の世話が大変」「こんなにお金がかかると思わなかった」「自分が高齢になり面倒をみられなくなった」などの理由から、飼育放棄される犬や猫が後を絶たない。そんな中、YouTubeチャンネル「おたすけDog・ゆぅー」にアップされた16歳の“噛みつき”保護犬・しゅんすけくんの動向が注目された。投稿者はトリマーとして犬たちと関わる傍ら、新しい飼い主が決まるまで保護犬を預かり、身の回りの世話をする「預かりボランティア」としても活動しているゆぅーさん。夢だったトリマーとしての独立を果たし、子育てをしながら充実した日々を送っていたゆぅーさんが保護犬活動に取り組む原動力は「昔ながらのシステムを変えたい」ことが大きいという。

噛みつくように仕向けているのは人間「ワンちゃんの扱い方を知らない方がまだまだ多い」

━━ボランティア登録されている譲渡センターから、「噛みつき」「高齢」と聞かされていたしゅんすけくんですが、初めて会った時の印象はいかがでしたか?

 見た瞬間、もともとの性格は「噛みつき」ではないと判断できたので、警戒でガチガチになっているのを早くリラックスさせてあげたいなって思いました。

━━実際、しゅんすけくんはゆぅーさんに一切、噛みつきませんでしたね。

 ワンちゃんって素直なので、「このコは噛みつきだ」って言われると、その言葉に反応した場の空気に影響され噛みついてくるんです。しかもしゅんすけは高齢で、目もよく見えないから、状況もよくわからないし、人や犬に攻撃されたトラウマもあったようなので、気を張って、全身にすごく力が入っていて。なので、私は、「あなたのことは全然怖くないよ。ここは大丈夫、私は大丈夫よ」って、それだけを思って接していました。こちらが身構えると、ワンちゃんも身構えてしまいますからね。
━━センターから渡された噛みつき防止の口輪も「信頼関係を失うから」という理由で最初から使いませんでしたが、しゅんすけくんを安心させることを何より一番に考えたんですね。

 実は私も人の気持ちを気にしすぎてしまって素の自分を表に出すことが苦手なタイプでした。だからこそ、ワンちゃんには自然体でいてほしいという思いが強くて、自分の経営しているサロンでは、ワンちゃんが安心できる空間を作ることを一番に追求してきました。

━━時間の経過とともに、しゅんすけくんの顔つきが穏やかに、そしてキラキラ明るく元気に変わっていったことが印象的でした。

 でも、譲渡会に戻すと、ピリピリしちゃって、唸って、また噛みつきが始まって、ゲージに「噛みます」って貼られてしまったりして、すごく切なかったです。ワンちゃんはスポンジのように雰囲気や感情を吸収してしまうので、こちらの考え方ややり方次第でどうにでもなっちゃう素直さを持っているんです。しゅんすけの性格が「噛みつき」なのではなく、まわりのみんながそう仕向けてしまっているんですね。ワンちゃんの扱い方を知らない方はまだまだ多いと思うので、自然にみなさんが学べる機会がもっと増えたらいいのになって思います。

きっかけは南米の少年育成支援への参加「保護犬の世界でも、こういうことができないか」

━━問題を抱えた保護犬とのやりとりをありのまま見せているゆぅーさんのYouTubeは、犬との接し方を学ぶ一翼を担っている気がします。そもそも、保護犬を預かるボランティアをされようと思ったきっかけはなんだったのですか?

 今、20歳まで南米の男の子の成長を支援するサポート・プログラムに参加しているんですが、人間と同じように、保護犬の世界でも、そういうしっかりとした支援のシステムが築けないか、もう一度ちゃんと目を向けようと考えたのがきっかけです。「預かりボランティア」はシステムを構築するうえでは、ほんの上澄みの活動でしかありませんが、まずは自分ができる第一歩ということで始めました。
 そして広くみなさんに知ってもらうためにはYouTubeが効果的だろうと考えました。それまでIT系はまったく疎かったので、パソコンを買って、YouTubeの作り方を学べる講座に通ってというところからのスタートだったのですが(笑)。でも、おかげさまで、YouTubeの発信力の強さと、ご縁がつながるありがたさをとても強く感じています。

━━しゅんすけくん以外の保護犬で、それを感じたエピソードはありますか?

 最初に預かったフレンチブルドックのBOOちゃんですね。「虐待」「下半身不随」「噛みつき」の“三重苦”と言われた子だったのですが、YouTubeがきっかけで、「ぜったいこのコを幸せにする!」って言ってくださる家族と出会うことができました。保護したセンターの方からも「こんなにすぐに見つかると思わなかった」と驚かれたくらい。今もご家族の方がすごく幸せそうにしている様子を送ってきてくださるんですけど、本当にうれしいです。
━━ゆぅーさんのYouTubeは、かわいいだけではない、ありのままの姿が描かれているところが共感を得ている理由のひとつだと思います。

 「こんな映像を出したら誰にも飼ってもらえないよ」っていうコメントをいただくこともあります。「かわいいと思ったから飼ったけど、夜鳴きがすごいから返します」とかってなるのは困りますからね。動画は情報をたくさん伝えられるのだから、いいところだけではなく、悪いところやダメなところもきちんと見せて、そこも含めて迎え入れてくださる方とご縁がつながらなければ意味がないし、私のYouTubeがワンちゃんのリアルを知るきっかけに少しでもなればと思っています。

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