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16歳 “噛みつき“ダックスの保護犬卒業までを追ったYouTubeに反響 閉鎖的なペット業界と向き合う女性の想い
噛みつくように仕向けているのは人間「ワンちゃんの扱い方を知らない方がまだまだ多い」
見た瞬間、もともとの性格は「噛みつき」ではないと判断できたので、警戒でガチガチになっているのを早くリラックスさせてあげたいなって思いました。
━━実際、しゅんすけくんはゆぅーさんに一切、噛みつきませんでしたね。
ワンちゃんって素直なので、「このコは噛みつきだ」って言われると、その言葉に反応した場の空気に影響され噛みついてくるんです。しかもしゅんすけは高齢で、目もよく見えないから、状況もよくわからないし、人や犬に攻撃されたトラウマもあったようなので、気を張って、全身にすごく力が入っていて。なので、私は、「あなたのことは全然怖くないよ。ここは大丈夫、私は大丈夫よ」って、それだけを思って接していました。こちらが身構えると、ワンちゃんも身構えてしまいますからね。
実は私も人の気持ちを気にしすぎてしまって素の自分を表に出すことが苦手なタイプでした。だからこそ、ワンちゃんには自然体でいてほしいという思いが強くて、自分の経営しているサロンでは、ワンちゃんが安心できる空間を作ることを一番に追求してきました。
━━時間の経過とともに、しゅんすけくんの顔つきが穏やかに、そしてキラキラ明るく元気に変わっていったことが印象的でした。
でも、譲渡会に戻すと、ピリピリしちゃって、唸って、また噛みつきが始まって、ゲージに「噛みます」って貼られてしまったりして、すごく切なかったです。ワンちゃんはスポンジのように雰囲気や感情を吸収してしまうので、こちらの考え方ややり方次第でどうにでもなっちゃう素直さを持っているんです。しゅんすけの性格が「噛みつき」なのではなく、まわりのみんながそう仕向けてしまっているんですね。ワンちゃんの扱い方を知らない方はまだまだ多いと思うので、自然にみなさんが学べる機会がもっと増えたらいいのになって思います。
きっかけは南米の少年育成支援への参加「保護犬の世界でも、こういうことができないか」
今、20歳まで南米の男の子の成長を支援するサポート・プログラムに参加しているんですが、人間と同じように、保護犬の世界でも、そういうしっかりとした支援のシステムが築けないか、もう一度ちゃんと目を向けようと考えたのがきっかけです。「預かりボランティア」はシステムを構築するうえでは、ほんの上澄みの活動でしかありませんが、まずは自分ができる第一歩ということで始めました。
━━しゅんすけくん以外の保護犬で、それを感じたエピソードはありますか?
「こんな映像を出したら誰にも飼ってもらえないよ」っていうコメントをいただくこともあります。「かわいいと思ったから飼ったけど、夜鳴きがすごいから返します」とかってなるのは困りますからね。動画は情報をたくさん伝えられるのだから、いいところだけではなく、悪いところやダメなところもきちんと見せて、そこも含めて迎え入れてくださる方とご縁がつながらなければ意味がないし、私のYouTubeがワンちゃんのリアルを知るきっかけに少しでもなればと思っています。