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16歳 “噛みつき“ダックスの保護犬卒業までを追ったYouTubeに反響 閉鎖的なペット業界と向き合う女性の想い
課題山積み、閉鎖的なペット業界「亡くなった親友のためにも、夢破れたトリマーさんのためにも、ペット業界とちゃんと向き合いたい」
人間で言ったら、手が追えなくなったからといって家族を手放すか? というと、ないですよね。ワンちゃんだから手放していいということに対する不信感はあって当然だと思います。飼い主が高齢者で飼いきれなくなってしまった場合は、本当はご家族がサポートしてくださるのが一番だと思うのですが、災害も含めどうしようもないことって人生の中で起こりうるので、そのサポート作りは私たちみたいな犬業界のプロがしっかり行っていかなければいけないと思っています。
仲間がいなくなったっていうのが私の中ではすごく大きいです。トリマーの専門学校の同期でこの業界に残っている人は誰一人いません。トリマーになりたい子たちってワンちゃんが大好きで学校に入るけど、働いてみるとめちゃくちゃ辛い。だからみんなすぐに辞めちゃうし、身体を壊してしまう人も多い。好きで入っても中が全然違うってギャップがすごいんです。私は独立するという目標があったので、なんとか持ちこたえていましたが、それでも何度か救急車で運ばれたことがあります。
独立してからは、子育てと仕事に追われながら充実した日々を過ごしてきましたが、数年前に親友を亡くしたのをきっかけに、親友のためにも、夢破れたトリマーさんのためにも、ペット業界とちゃんと向き合っていかなくちゃと考えるようになりました。私がやらないでどうするんだろうって常に思っています。
ペットを飼う側の責任を問われることが多いですが、ペット業界にも問題はあると考えています。かわいい動画や写真は世の中にたくさん溢れていますが、肝心な情報が足りていないのも問題なのではないかと。SNSでは、ペットとのリアルな生活があまり見えません。手放してしまう人の中にはかわいいと思って飼ったけれど、ペットフードの臭いとか、うんちをすることに衝撃を受けて手放す人もいると聞きます。ペットに無知な人に対して、ペット業界側もちゃんとしっかりした情報を発信していなかければならないのではないかと考えています。
最近はYouTubeから興味を持っていただいて異業種の方と交流する機会が増えてきました。被災の際のワンちゃん用のダンボールのおうちを作ってくださっている会社の方や住宅業界の方からワンちゃんハウスの提案など、異業種の方とも積極的にタッグを組んで、いろいろなことにトライしています。
人は助け合って生きています。ワンちゃんと人の間でも助け合える持続的なシステム・社会になってほしいと思います。
(取材・文/河上いつ子)
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