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セブンの“マシンで仕上げるスムージー”がひそかに話題、「セルフひと手間」でセブンカフェに次ぐブームなるか
デリバリー拡充により“専門店品質”の需要増、ちょっと高くても「出来立て」望む傾向に
「コロナ禍によって、お客様の健康意識、食への関心も変わってきたように思います。素材の美味しさはもちろん、それが“出来たて”であることのうれしさ。こうした価値が高まっている中、たとえば駅構内ではジューススタンドが増えており、値段はペットボトルの何倍もするものの支持されている。“出来たて”だけでなく、目の前で調理してくれる安心感、安全感の需要は増えていると感じていました」(セブン‐イレブン・ジャパン 商品部 斎藤曜介氏/以下同)
その中で意識したのは、見た目や商品名。消費者が初めてセブンで見る商品になるため、馴染みがある素材を明確に使用したほか、商品名も、『ストロベリーバナナソイ』、『パインケールグリーン』、『ブルーベリーバナナヨーグルト』などと、聞いただけで味が想像できるものを開発した。歴代の担当者含め、「苦労したのはマシンの開発。歯の回転速度、歯の強度、歯の位置、回転時間にこだわり、ミキシングしすぎない絶妙な塩梅を追求しました。商品ごとに素材が異なるので、その度合いもすべて商品ごとに変えるようにしてあります。それぞれに氷の食感や繊維感を感じられるよう飲みごたえを重視しました」
全国展開で生産者と連携、“規格外品”の活用でフードロス削減・SDGsにも寄与目指す
「まずは都心から同サービスをスタートさせていただいており、最初は昨年3月に40店舗ほどで試験販売を開始。今は住宅の中の店舗、ロードサイドの都市型店舗など、さまざまな立地でテストしている状態です。現在は、東京と千葉の一部で700店舗ほどに展開。目標は今後1〜2ヵ月で1000店舗、今年度も順次拡大予定。当然、地方展開も検討中であり、テスト結果を踏まえた上で、マシンの数も確保し、全国に拡大したく考えております」
「実は2017年に1度、冷凍ではなくチルド状態の野菜を詰めたスムージー商品をテスト販売していました。ですが、レギュラー化は叶いませんでした。その理由は、チルドだと保存期間が2〜3日と短いこと。また、商品自体は5℃で保存されているのですが、店内で撹拌される際に摩擦熱が発生してしまい、飲む時には10℃近くになってしまっていました。そうするとやはりぬるく、お客様からの支持は得られませんでした」。当時は専門マシンではなく、市販のマシンを用いていた。そうした失敗も含め、現在の『セブンカフェスムージー』の姿がある。
「自らの手で作ることの安心感」“モノ”より“コト”に価値置く若年層の獲得にも期待
「また若い方は、モノではなく“体験価値”に関心がある人が増えている印象です。スムージーができるまでの様子を動画に撮ったり、実際に飲んだ体験をSNSに投稿したり。お客様のニーズは目まぐるしく変化しています。またこのご時世、フレッシュ感など素材を目で確認できるのも安心材料。パッケージ系のスムージーはサラサラしているものが多いですが、こちらは食感や見た目にもこだわっているので、そういった感想をいただいています」
実際、TikTokやリールで「やっと見つけた!」「これ近くで買えたら良いよね」「うちのエリアも欲しい」などと投稿されていた。同商品に限らず、“モノ”より“コト”を求める傾向は、コンビニでも強まってくるのかもしれない。
まったく新しい価値を実現した『セブンカフェ』の経験が同社にはある。その成功ノウハウを生かした『セブンカフェスムージー』も、しっかり品質は担保。それながら“美味しくお手頃価格”というコンビニプライベートブランドのイメージ改革にもつながっていきそうだ。
(文=衣輪晋一)