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書店併設に介護相談… コロナ禍で変わるコンビニ、異業種参入で個性強化か「店舗ごとの訪れる楽しみ創出がカギ」

 先月、ローソンが新ブランド『LAWSONマチの本屋さん』を立ち上げ、書店併設型店舗を強化・拡散し、本や雑誌の充実を図る方針を示した。また、6年前から展開している介護相談窓口やサロンスペースを併設した『ケアローソン』の一部店舗では、コロナワクチン接種ネット予約の相談サービスを実施。100均グッズやコインランドリー併設店を展開するファミマ、保育園併設店や移動販売車を展開するセブンを横目に、ローソンは今月末までに地域や店舗によって異なるニーズに合わせた全国約500店舗の改装を発表している。コロナ禍で競争激化が強まる中、コンビニチェーン店の“個性強化”の真意を聞いた。

保育園、コインランドリー、書店… 併設サービスで商品の横並び脱却目指す各社

 おにぎりや惣菜、食料品から日用品まで、幅広いラインナップが揃うコンビニ。技術が発達した今、どの会社もそれほどの差異はない。品質の差別化で勝負するのは難しい時代だ。さらにコロナ禍で各社打撃を受け、客層やニーズにも大きな変化があった。

 そんな中、ファミリーマートは、11日にコインランドリー併設店を京都に初出店し、全国26店舗に。プライベートブランドのアパレルや100円グッズを展開するほか、全国各所でこども食堂や高齢者向けのサークルも開催している。セブン-イレブンは、一部店舗ビルにて保育園を運営。移動販売車対象エリアも年々拡大しており、現在全国107台が稼働中だ。
 業界大手三羽ガラスの一つ、ローソンも独自の道へ歩み出す。その一つが『LAWSONマチの本屋さん』。昨今は街の書店が次々と姿を消し、書店がない自治体は400以上とも言われている。その減少率は、10年間で4000店舗。さらに、コロナ禍の巣ごもり需要で電子コミックが急成長を遂げ、活字とのふれあい方も変わってきた。

「とはいえ、紙媒体の需要がなくなる訳ではないし、触れ合う機会もなくしてはいけない。そこで、お客様の一番近い場所にあるだろうコンビニが、街の書店の代替になればと考えたのです」(同社担当・平野彰宏さん/以下同)

 書店だけでは収益が出ず、立ち行かない。では、その書店が集客力のあるコンビニ内にあったらどうか。「街を幸せにします」が企業理念のローソンらしい考えだが、もちろんそこには戦略もある。販売している商品で差別化を図るのが難しいのであれば、書籍が充実していたら、他店を飛び越えてローソンに来てくれる人もいるのではないか、というねらいだ。

書店併設で客層に変化 地域のニーズに合わせた女性やシニア向け、ご当地コーナーも

 実際、約1万5千冊の本を揃え、先月リニューアルオープンした埼玉県の狭山南入曽店で客層に変化が出た。コンビニ客の男女比6:4に対し、一般的な書店客は4:6と女性比率が高い。コンビニ各社は女性の集客が課題だが、同店はリニューアルで女性の比率が5%ほど上がったのである。

 通常のコンビニの本の種類は、1000タイトル未満。約9000タイトル揃える書店併設店では、どのように選定しているのだろうか。「狭山南入曽店の場合、そのうち6000タイトルがコミックです。通常のコンビニでは置いておらず、販売上位なのは児童書やロングセラーの絵本。幹線沿いの店舗で、これまではドライバーや営業の方が多かったのですが、30〜40代のお母様世代にご来店いただくようになりました」
 そのほか、遠くまで行けない、ネットが得意でないというシニア客向けに時代小説も販売。また、自衛隊基地裏に立地していることから、自衛隊の写真集も。これが同店の販売ランキング上位になっており、地域性も生かしている。さらには、隣町の飯能市が舞台のコミック『ヤマノススメ』も陳列。作者のサインも飾るなど、ご当地コーナーも設けている。

「ただの売れ筋だけになっては意味がありません。競争が激しい今、重要なのは“店舗に訪れるワクワク感”。それを創出するために日本出版販売会社さんと提携し、プロのラウンダーが各店舗でその土地ごとのマーケティングと指導をしてくれています。弊社の店舗スタッフも、書籍に関してはプロではありませんので、そこで売上・発注を教わっているのです」

 コンビニの店舗に書店スペースを設けるパターンもあれば、もともとある書店にコンビニを併設するパターンも視野に。協力する書店側は、コンビニの集客力を得られる上に、少ない坪数で行うため、スタッフの人数=人件費も抑えられるのだ。「書店のない自治体にも出店したい。まずは3年後に、全国100店舗を目標にしています」と平野さんは前を見た。

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