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書店併設に介護相談… コロナ禍で変わるコンビニ、異業種参入で個性強化か「店舗ごとの訪れる楽しみ創出がカギ」
“コンビニは体に悪い”を逆手に取った高齢者向けサービス強化 地域コミュニティの場に
「これまで我々のメインターゲットだったビジネスマンは、今後どんどん減少していきます。2025年には65歳以上が3700万人と言われるこの世の中で、要介護認定者に合わせた商品展開や介護関連サービス、人とのつながりにも力を入れようと。これまでの“物売り一辺倒“から、”ローソンに行く用事がある”を目指すモデルです」(同社担当・金子大作さん/以下同)
現在は近畿7店、広島6店、関東6店、愛知1店、九州、甲信越、東北各1店で展開。これまでの一律マニュアル、一斉拡大というやり方ではなく、あくまで協力的なオーナーやパートナーとなる介護事業者、自治体や地域の特性を見極めながら、慎重に店舗拡大を図っている。
その理由は、ねらいの1つにコミュニティ形成があるからだ。近所付き合いが希薄な今、街で孤立していたシニア層が繋がり、些細な事でも相談できる場の提供にもなっているという。何かあった時に助け合える仲間づくりや、定期的に専門家が顔を合わせることで、認知症早期発見にもつながる。通常、コンビニは長居できる場ではないが、ケアローソンでは介護施設にあるような高齢者でも座りやすい椅子を設置している。金子さんはむしろ、「無料で気軽に長居してほしい」と話す。
「また、ワクチン予約などデジタルに弱いシニアのために、愛知県名古屋市の南区芝町店では、市と連携して大学生のボランティアが無料相談サービスなどを行いました。(6月末で終了)弊社としては誰1人として取り残さないような社会を実現したい。実際にシニアのご来店が増え、イベントも盛況。モノ+コト=通いの場として活用してもらえれば」
ローソンをはじめ、コンビニ各社は今、社会問題と向き合いながらの改革が進みつつある。これまでは全国どこに行っても変わらない商品やサービスを得られることが求められていたが、これからは“一番近いコンビニ”よりも、“行きたい理由があるコンビニ”が選ばれる時代に突入しているのかもしれない。その理由をどれだけ提供できるかに、“社運”ではなく、“店舗ごとの運命”が懸かっている。
(文=衣輪晋一)