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社会に溶け込めない“メンタル弱者”、精神科医が明かすコロナ禍が変えた意外な現状

芸能界でもメンタル問題が多発、“休職期間”はどれくらい必要なのか?

――コロナ禍と関係しているかはわかりませんが、2021年は深田恭子さんや鈴木奈々さんなど芸能人の方が、メンタルの問題を公表される機会がありました。

 「病気のことを周知する意味で影響力も大きいので、社会的にはとても意義のあることだと思いますし、偏見も減ると感じます。ただ、そのことでプライバシーを侵すようなことがあってはいけない。症状に関しても、直接診察をしていない人間があれこれと言うべきではないです」

――深田さんなどは復帰されてからも、「本当に大丈夫なの?」というような声も挙がっていました。

 「人によって復帰のスピードが違いますから、そこも主治医の判断だと思います。ただ、一般的にはしっかり休むことは重要です。会社なども、3ヵ月休めばいいのか、半年なのか、それとも1年必要なのかがわかっていないと思うので、規定を作った方がいい。YouTubeでも『一般的な休職期間』という動画の再生数が伸びているので、興味がある部分なのかなと思います」

――会社側の規定を作るべきとのことですが、そもそもメンタル的なものに対して社会が変わってきたなという印象は受けますか?

 「人事は優しくなってきていると思います。以前はなかなか休職なんてさせてもらえなかったですよね。でも今は周囲がサポートしてくれるし、同僚も味方になってくれるのではないでしょうか。しかし、中小企業や若い会社ではそういったノウハウがないので、そのあたりが今後の課題になるのではないでしょうか」

――確かにそうですね。

 「現在では仕事が複雑化し、変化のスピードが速くなってきているので、適応できない人が増えてきている。だからこそ、先ほども話したように、多様性が大切になってくると思うのです。ダメな人がいてもいい、できないなら他の仕事をすればいい、という考え方になれば救いがあると思います。うつ病でも適応障害でも『絶対に復帰しなければいけない』という思いが、症状を長引かせてしまうことは多々あります。時間がかかるということを多くの人に知ってもらうことも大切だと思います」

――そういった病気に陥りやすい人の傾向はあるのでしょうか?

 「発達障害のグレーゾーンに位置している人は、適応障害やうつに進行しやすい。また隠れ虐待を受けて半ネグレクト状態だった人、自分一人で頑張りすぎてしまうシングルマザー。コロナ禍による貧困なども原因になり得るので、しっかりサポートしていかなければいけないと思います」

――なにか様子が変だなと思ったときは、どう対応すれば?

 「精神科ではそれぞれの状況をお聞きして診断書を書き、お金の問題があるなら生活保護を進めることぐらいしかできなません。特に貧困の問題はかなり根深いものがあり、病院ももちろんですが、周囲の人々、さらには行政などを含めて、しっかりとしたセーフティネットを作っていかないといけないと思います」

(文:磯部正和)

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