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「整形級に凄い!」“イケオジ”に変身したビフォーアフター動画に反響 元ギャル男の美容師が男性のヘアカットにこだわる理由

 男性のヘアカットのビフォーアフター動画が話題に。あまりの変貌ぶりに、「俳優さん起用してます?って言うくらいビフォアフがすごい」「これは整形級に凄い〜!」などと多くの反響が寄せられ話題に。投稿主である美容室「DIECE SHIBUYA」の代表で美容師の大月渉さん(@DIECE_SHOU)は、これまでにも数多くの男性のヘアカット変身動画を投稿し、たびたびメディアに取り上げられ注目されている。ハサミ一つでどんな男性も垢抜けさせる凄腕ぶりに“おじさん再生師”との異名を持つ大月さん。その原点は、ギャル男だった高校時代と担任の先生にあるという。

客層の多くは「『もうちょっとカッコよくなってほしい』と感じている女性によって連れて来られた男性」

――「どうやら会社の女性達に勧められて〜」の投稿には多くのコメントが寄せられていましたが、反響についてはどう感じていますか?

大月渉この投稿がこんなに反響を呼ぶとは正直思っていなかったです。周りの美容師からも「あれはすごいね」と言われたのですが、カット後の姿が最初から僕の中では見えていたので、「そんなにすごいかな?」って(笑)。そこはちょっとびっくりしました。

――男性カットのビフォーアフター投稿に定評があり、これまでもさまざまなメディアに取り上げられてきていますが、今回の反響によってお客さんに変化はありましたか?

大月渉自分のキャリアとともにお客さんの年齢層も上がってきていて、20〜30代くらいのお客さんが一番多くなりました。次が30〜40代で、その次が10〜20代ですね。渋谷という立地では10〜20代が多いのが普通なので、珍しい状態です。あと、男性しかカットしないのに、インスタのフォロワーは70%が女性になりました。近くにいる男性を連れて行きたいと思っている女性が見てくれているみたいです。もともとは80%以上が男性だったので、この3〜4年で一気に逆転しました。
  • お客様もご満悦の様子(画像提供:大月渉さん)

    お客様もご満悦の様子(画像提供:大月渉さん)

――大月さんのお店に来るお客さんはどのような方が多いのでしょうか?

大月渉身近な男性に対して「もうちょっとカッコよくなってほしい」と感じている女性が、その男性を連れて来るというパターンが多いです。普段は地元の1000円カットとかの床屋さんに行っている人が、いきなり渋谷のカット7700円の美容院に半ば強引に連れて来られているので、最初はみんな「俺、そんなに興味ないのに…」っていう顔をしていますね。

――それは対応も難しそうですね。

大月渉警戒心も強めで来られる男性が多いので、カットをする15分くらいの間に、いかに心を開いてもらうトークができかということや引き込む力をかなり大事にしています。動画でも最終的にみなさんが笑顔になってくれているのは、リラックスして素の表情を見せてくれている状態なのだと思います。

――カットとトークの割合はどのくらいなのですか?

大月渉髪を切るのはサービスで、お客さんと話すことがメインだと僕は思っています。カット自体は最初にカウンセリングをすれば、あとはもう手が自動的に動くので、割合的にはカットが2割でトークが8割と言ってもいいくらいですね。

――そこまで会話を重視する理由は?

大月渉会話をしていく中で必要な部分を引き出していくためなんです。話していくと「実は耳が前に出ているのが嫌で」などと打ち明けてくれるようになるので、そこから微調整ができます。だから、会話がオーダーメイドにもなり、会話がないと成り立ちません。大枠の部分は僕が決めて、細かい部分や本人が一番気になる部分は、話しながらちょっとずつ調整していく。それには心を開いてもらう必要がありますね。

「風が吹いていたらもう家からは出ない」常に髪型を気にしていた高校時代 友人へのヘアセットが原点に

――男性のカットを中心に行うようになったきっかけを教えてください。

大月渉僕は高校生の頃ギャル男で、とにかくいつも髪の毛ばかりをイジっていたんです。ヘアアイロンとヘアワックスは必ず常備していて、家を出るときに風が吹いていたらもう家からは出ないみたいな…。そしたら「髪型がカッコイイ奴がいる」と地元で評判になり、「俺の髪型もやってよ」と頼まれるようになったんです。

――それはすごいですね。

大月渉それで、1人500円で毎朝6人くらいを教室でセットしていたんです。でもそれが担任の先生にバレてしまって。「学校で商売をするのはやめてくれ」と。その時に「そんなに髪の毛をイジるのが好きなら美容師になれば?」と言われたのを真に受けて、そのまま美容師になりました。だから、男性カットの根本はそこにあるんですよね。

――動画はどのようにして撮影しているのですか?

大月渉動画は5年前から撮影しているんですが、普段は1日30人前後のカットを行っているので、朝イチとか夜の終わりの時間とか、ちょっと手の空いたときにしか撮れないです。あと、撮影をすることに対するお客さんの選択権も当然あるので、投稿できない日のほうが多いかもしれないです。

“変化”に抵抗感を感じる男性顧客 次なる野心「イメージをすべて取っ払って純粋にカッコよくなれる場所を作っていきたい」

――投稿を見て憧れて来店したお客さんもいましたよね。

大月渉「動画に出たい」と言ってオーストラリアから来た方もいましたし、ドバイ、ドイツ、イギリス、フランスから来た方もいました。コロナになる前は海外からのお客さんが本当に多くて、海外の有名な記事に東京の観光スポットのひとつとしてうちの店が紹介されていたんですよ。

――男性が抱えているコンプレックスには、どのようなものが多いと感じますか?

大月渉コンプレックスとか気になるパーツとかは、女性とそんなに変わらない気がします。ただ、男性はそもそも美容室に慣れていない人が多いので、美容そのものにコンプレックスを持っているのかもしれません。「どうせカッコよくなんてなれないでしょ」とか「雑誌に載っている写真の男性はみんなイケメンだからカッコよく見えるだけ」「自分には無理」みたいな…。だから、“自分が変わること”へのコンプレックスが一番多いですね。

――大月さんのカットを通して、男性のヘア意識がどのように変わっていってほしいですか?

大月渉動画を通して「美容室も悪くないな」と少しでも思ってもらえたり、前向きなイメージを持ってもらえたりしたらうれしいです。美容室には女性がたくさんいるというイメージや抵抗感を持っている男性も多いのですが、うちの店は男性客しかいないので、半分床屋みたいなものなんです。敷居が高いイメージをすべて取っ払って、純粋にカッコよくなれる場所を作っていきたいですね。

――今後の展開や挑戦したいことがあれば教えてください。

大月渉北海道や沖縄などからも毎日のようにお客さんが来てくれるのですが、飛行機代が馬鹿にならないので、5大都市に店舗を作って、僕が各店舗に行ってその地域の人たちのカットができたらなって思っています。だから、ここからは店舗拡大を目指していきたいですね。

――大月さんにとって、美容師はまさに天職ですよね。

大月渉「天職ですね」とよく言われますし、美容師は確かに楽しいですけど、自分で天職にしている感覚です。別に美容師じゃなくても、何をやっても楽しくできる自信はありますね。
大月渉 
Twitter:@DIECE_SHOU 
Instagram:diece_shou 

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