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回帰するファッショントレンド 時代が変わっても愛される“クラシックモデル”の魅力

 アニメ『キテレツ大百科』の勉三さんに代表されるように、かつてメガネは「ガリ勉」、もしくは「エリート」や「オタク」の代名詞として“記号化”されていた。またアニメ『うる星やつら』の登場人物の一人・サトシは、メガネをかけているだけで呼称が「メガネ」になるなど、個性もへったくれもなく、“メガネ”をかけているだけであだ名が決まるという現象も多々あった。だが2000年頃から「メガネ男子」「メガネ女子」という言葉が台頭。現在はクラシカルなタイプが流行し、ファッションの一部として完全に一般化されている。ファッショントレンドの変遷から見るメガネの魅力について、メガネブランドZoffで商品企画を担当する早川大地氏に聞いた。

クラシカルメガネが人気 なぜ人は、クラシックデザインに惹かれるのか

 幼い頃からメガネをかけている人は、自身のメガネ姿にコンプレックスを抱いたこともあったかもしれない。しかし2000年代以降“伊達メガネ”が徐々に台頭し、芸能人や著名人も表舞台でメガネをかける人が増え始め、現代では完全にファッションのトレンドアイテムになっている。「ネガティブなイメージから、個性を表現するファッションアイテムへ。女性はアクセサリー感覚で、男性は顔回りのワンポイントとして使う方が多くなってきたような印象があります」(早川大地氏/以下同)

 とくに昨今は“クラシカルなデザイン”が人気だ。それはメガネに限らず、洋服やカバンなどファッション全般に言えること。クラシカルなものが流行している理由として早川氏は「トレンドに左右されず、老若男女問わず、上品で落ち着いた雰囲気が漂い、いつの時代も愛されるアイテムなのではないか」と分析する。
 だがそのまま存在しているのではなく、“時代の最先端との合せ技”になっていることを見逃してはいけない。「クラシカルなメガネはサイズ感が小さめなものが多かったのですが、最近では小顔効果の期待もあってか大きめのフレームが増加しています。大きめのフレームといえば、80年代にアニメ『Dr.スランプ アラレちゃん』のような“アラレちゃんメガネ”も登場しましたが、当時はメガネをかけた時のイメージがあまりに特徴的過ぎた。でも、現代はファッションも奇抜なものが多くなっているので、それだけ馴染みやすくなっているのだと感じます。さらに技術が進化し、大きめのフレームでも軽量素材を使用するなど長時間かけても疲れにくいなどの機能面も現在はアップデートされています」。

 流行が”一極集中”してないことも特徴だ。クラシカルなデザインが流行っているのと同様にアウトドアシーンでも活躍するサングラスにもメガネにもなる2wayタイプのメガネなど、機能面での最先端ジャンルも人気。「メガネをかける人が増え、ニーズが拡がったところで、好まれるジャンルも多様化しているのが現状だと感じています」

木村拓哉ら、ファッションメガネの浸透度を加速させたアイコンの存在

 メガネは元々、視力を矯正するアイテム。だがファッション的に利用されている歴史は実は深い。19世紀末には怪盗「アルセーヌ・ルパン」のデザインにも用いられる「片メガネ」が、宝石を見極める用途として、貴族階級の優美を装うアイテムとして流行した。

 また1920年代に活躍したアメリカのコメディアンであるハロルド・ロイドがかけていたメガネのデザインは、材質がセルロイドであったことからも「ロイドメガネ」と呼ばれるように(ちなみに伊達メガネ)。また同米のシンガーソングライター、バディ・ホリーの黒縁メガネはその後のロックミュージシャンのルックスに影響を与えている。

 また70年代に入ると「ファンキー・プレジデント」ことジェームス・ブラウンのベーシスト、ブーツィー・コリンズが星型のメガネをかけ、自身のアイデンティティの1つとして利用した。このように様々な流行をたどり、メガネは自身の印象を自在に変えるアイテムとして位置づけられてきた。ファッションアイテムとしてのメガネが日本にも文化として流入するなかで、分岐点は3つあると考えられる。

 1つは木村拓哉だ。1993年『あすなろ白書』に出演した木村の黒縁のメガネ姿が、当時の視聴者たちのハートを鷲掴みに。先述の“勉三さん”にも代表され、ガリ勉の代名詞だった黒縁メガネが、作品内では洗練されたおしゃれアイテムへと様変わりした。そもそも当時から「メガネフェチ」という言葉はあったが、より一般的になった作品と言える。

 2つ目がジョニー・デップ。「彼のファッション小物をうまく取り入れたファッションスタイルは世界中のファッション雑誌に多く取り上げられています。以前まではクラシック型は職人的なイメージがあったのですが、2004年公開の映画『シークレットウィンドウ』で着用したメガネは50〜60年代を代表するウェリントン型(TART OPTICAL)です。そこから日本にも徐々にクラシック型のメガネが浸透していきました」
 様々な著名ファッションアイコンたちがメガネを浸透させていく過程で、3つ目の分岐点となるのが、2000年代以降、SPA方式によるメガネの低価格化の始まりだ。それまではメガネ1本あたり5万円前後と高価格帯のものが主流で、限られた人が利用するメガネ屋=敷居が高いイメージもあったが、Zoffなどを筆頭に、2000年代に入りメガネのデザインや売り場も含めて既存のイメージが一新されていった。フレームとレンズを併せて当時5,000円〜、即日購入(※)できるようになり、ユーザーたちが失敗を恐れず挑戦できる土壌が徐々に作られていった。「メガネ男子」「メガネ女子」という言葉がファッション誌の誌面を踊り始めたのはこの頃だ。

 かくして日常でコンプレックス感のあったメガネは、当たり前のファッションアイテムとなった。コンタクトレンズが広まっても敢えてメガネをかけるアーティストも多い。アンジェラ・アキをはじめ、リード・ボーカルが黒縁メガネであるのが当時は珍しかった、くるりやASIAN KUNG-FU GENERATION。サンボマスターに奥田民生など枚挙にいとまがない。

 また『逃げるは恥だが役に立つ』での星野源のムズキュンぶり、菅田将暉、佐藤健、石田ゆり子、石原さとみ、高畑充希などもメガネを上手く取り入れている印象があり、ファッションに留まらず、メガネの印象は過去から大きく変わっている。

※一部お日にちをいただくレンズもございます。

イメージに“付加価値”を持たせるクラシックデザイン

 変化は他にもある。ジェンダーレスのこの時代にあって、「男性用、女性用というデザインの垣根がなくなってきた。例えば菅田将暉さんなどは中性的なデザインのメガネやファッションを着こなすのがお上手ですし、村上虹郎さんもそう。さらに男性的印象のあるクラシカルなメガネを女性で購入される方も増えた」のだ。またコロナ禍によって、マスクをしていても顔の印象が明るく見えるフレームカラーが流行るなど、非常に選ぶ側の視点も多様化してきている。
 
 先述した3つの要素でメガネは一般に浸透。Zoffの新デザイン発表頻度は、月1、2回のスパンで発表されている。メガネは高いものという既存イメージを改善しただけではなく、豊富なフレームのなかから気軽に手に取ることができるようになった。Zoffはシーンによってメガネをかけ替えることを提唱している。消費者のマインドも少しずつ近づいていると思う。

 「人が一番目につく顔に取り入れるメガネというアイテムは、ご自身のイメージにワンポイント“付加価値”の印象を持たせることができるんです。例えば弊社が力を入れている『Zoff CLASSIC』のデザインでは種類が豊富で、例えばブロータイプのフレームですと知的で誠実、凛々しさや落ち着き、上品さなどの演出が出来ます。メタルフレームはふちが細く目立ちにくいのでマスクとの相性も◎。中でも多角形が今季のトレンド。親しみやすい雰囲気を出したい方はボストンやラウンドにクラシックの落ち着いた雰囲気を。その日、そのシチュエーションに合わせて、かけ替えを楽しんでいただければという思いでデザインしています」

 今後は今のアジアントレンドよりやや小さめのフレームになっていきそう。たかがメガネ、されどメガネ。人にはいろんな“顔”がある。自分のいろんな一面をアピールするためにも、メガネは今後、重要アイテムになってくるかもしれない。

「Zoff CLASSIC」オンラインストア
https://www.zoff.co.jp/shop/contents/zoff-classic.aspx
似合うメガネを見つける方法とは? メガネデザインの選び方
https://www.zoff.co.jp/shop/k/k32/
(取材・文/衣輪晋一)

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