• ORICON MUSIC(オリコンミュージック)
  • ドラマ&映画(by オリコンニュース)
  • アニメ&ゲーム(by オリコンニュース)
  • eltha(エルザ by オリコンニュース)
  • ホーム
  • 社会・経済
  • ハトマークの“親しみと信頼”を100周年記念グッズに 地元の生活を支え続けたイトーヨーカドーが“今”向き合う課題
ORICON NEWS

ハトマークの“親しみと信頼”を100周年記念グッズに 地元の生活を支え続けたイトーヨーカドーが“今”向き合う課題

専門店の台頭による危機と転換 2001年にはネットスーパーを展開

 これは“逃げ”ではなかった。テナントとして人気専門店に入ってもらうということは、それだけの集客も見込める。実際、結果として食料品の売上がアップ。時代の波に逆らわず、逆にその波を乗りこなしたのだ。

 次に他社との差別化が難しくなっている“コモディティ化”の問題。昨今では競合スーパーもプライベートブランドの展開やサスティナビリティなど安心安全なものを消費者へ提供するための取り組みを行っている。リアルスーパーの店舗数も減っていく一方。そんな中、イトーヨーカドーは、ネットスーパーや移動スーパーなどの対面購入を含めた「ラストワンマイル施策」を2021年3月から5年間で構築すると発表した。

 意外なことに、同社のネットスーパーの展開は驚くほど早い。2001年、2ちゃんねるや個人ブログが流行っていたものの、当時ほとんどの会社はせいぜい自社HPを持つ程度だった時代。その時からイトーヨーカドーにはネットスーパーが存在したのだ。「弊社は1972年から社会と環境に向けた取り組みを続けておりまして、CSR(企業が組織活動を行うにあたって担う社会的責任)が根付く前からこれを重視。共働き、各家族、そうした現状のなか、ネットで商品を買えるサービスを開始したのです」(篠塚氏)
 
 現在は生協をはじめ、イオンがイギリスのオカドと、SEIYUが楽天と手を組み、当たり前のサービスになった。そんな中、イトーヨーカドーは核家族で子育てに悩む人のための子育て支援相談員を店舗に置いたり、セブン&アイ・ホールディングスのグループ力を生かし、資源再生などにも力を入れている。環境やお客様1人1人向き合う“誠実さ”を「とにかく重視しています」と河田氏。

 篠塚氏は「私たちが大切にしているのはお客様との“会話”。その会話の場所が100周年記念グッズではSNSに移っただけで、バズらせようという想いより、“会話”を大切にした結果、バズっただけと捉えています」と語る。最先端ともオシャレともいえないかもしれない。だが老舗ならではの古き良き“誠実さ”が偶然、時代の波に乗ることもある──今回の件はそれを証明した現象といえよう。

(取材・文/衣輪晋一)
イトーヨーカドー
公式ホームページ(外部サイト)
イトーヨーカドー100周年の歩み(外部サイト)
『100周年のヨーカドー夏祭り』特設サイト(外部サイト)

あなたにおすすめの記事

 を検索