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不祥事を起こした有名人の妻に“たくましい”イメージ増、「耐え忍ぶ」とは異なる“強い女性”が台頭

  • 佐々木希 (C)ORICON NewS inc.

    佐々木希 (C)ORICON NewS inc.

 夫・渡部建の不倫騒動から1年。佐々木希が自身の名義で4億円の新居を購入したことが報じられ、SNSには「いろいろと吹っ切れた女性は強い」「こんな強い女の人めっちゃ好き」「メンタル強すぎ」などと反響が集まった。どこに行っても好奇な目にさらされる状況の中、佐々木は今も様々な番組や媒体で活躍を見せているが、その気丈な振る舞いに、SNS上では「強い女」の大合唱が。佐々木と同様に、夫の不倫が報じられた後、女優の杏はきっぱりと離婚を決意し、元飛込競技選手の馬淵優佳は、夫を“再生”させる道を選択。しかし彼女らの行動は、“黙って耐え忍ぶ”昭和の母や妻の“強さ”とは一味違うとらえ方ができるのではないか。

愛だけでは生きていけない…佐々木希が見せる“全てを背負う覚悟”が強さの象徴

 今年6月16日、フジテレビ系『ノンストップ!』に映画のPRを兼ねてVTR出演した佐々木希。「今、一番必要なものは?」の問いに対して、共演者の高岡早紀が「愛、必要なのはそれだけ」と答えたのを受けて、佐々木の回答は「仕事」「お金」。さらに「愛とは?」の問いには「息子」と回答。ネット上では「現実はそうだよ。きれいごとで済まされない」「愛だけでご飯食べられないよね」「すべて背負っているように見える」などと反響が寄せられた。

 さらにその数日後、佐々木が4億円の新居を購入したという報道を受け、ネット上には「いろいろと吹っ切れた女性は強い」「こんな強い女の人めっちゃ好き」「メンタル強すぎ」など称賛の声が続出。不祥事により活動自粛中の夫と離婚せず、支えていくことを表明して以降、気丈にふるまう姿に応援のエールが殺到している佐々木だが、この一件で、さらに「強い」「たくましい」のイメージを濃くしたようだ。

 しかし、ネットでの大合唱により、あまりにも「強い」イメージが定着するのは、本人の活動にとって弊害にはならないだろうか。現在、雑誌やドラマ、映画、バラエティなど精力的に仕事をこなしている佐々木だが、「強い」女性として称えられる要因のひとつになっている「一家を支えるために奮闘する」イメージは、一方で、「ひとり立ちして旦那さんのイメージを消していったほうがいい」「渡部が連想されてしまうのは致命的」「ご主人のイメージが悪すぎて応援できません」など、どこにいっても好奇の目にさらされることにつながっているのも事実。また、女優として活動するうえでは、イメージの定着は、演じられる役柄を狭める危険をはらんでいることも否めない。

いかに“ネタ化”できるか、不祥事後の活動に求められるスキル

 佐々木と同じように、夫の不祥事をきっかけに「強い」と話題になったのが、女優の杏だ。渡部と同様、元夫・東出昌大の不倫は世間を大いに騒がせたが、杏は、3児の母として毅然とした態度を貫き、別居後、離婚を選択。東出との夫婦関係をきっぱり断ち切る一方で、子どもたちの親としては協力して育児をすると発表した。その振る舞いは、女性として、母として、多くの支持を集め、騒動後のママタレ好感度ランキング(ORICON NEWS調べ)では、「いろいろ大変な中、背筋をピンと伸ばしている姿に尊敬の念が耐えません」「気丈な振る舞い、母親としての覚悟を感じる、応援したい。そして子供たちへの愛情を感じる」など多数の称賛を受け、全体で2位、同世代の30歳からの票は1位を獲得。騒動後もイメージを落とすことなく、大手メーカーの多数にわたるCM契約もすべて続行された。

 一方で、佐々木と同じように、夫の不祥事発覚後、離婚を選択しなかったうえで芸能界での仕事を増やしているのが、元飛込競技選手の馬淵優佳だ。日本テレビ系『幸せ!ボンビーガール』に出演した際、夫・瀬戸大也の不倫報道について聞かれ、「めっちゃ怒りました。蹴り上げました」と即答。さらに「ゆるい覚悟で結婚したわけじゃない」「もはや家族内の問題だけでなく、支援していただいているすべての人たちに対して瀬戸大也を全うする責任がある」と元スポーツ選手らしく、堂々と夫の”再生“を誓う姿に、「勉強になる、応援したくなる」など称賛のコメントが続出した。メディアへの露出も継続して行っており、東京五輪開催中の今も、彼女の言動には多くの注目が集まっている。

 もう一人、「肝の据わった強さを持っている」と言われているのが、今や夫の不倫をギャグにまで転化している元衆院議員の金子恵美だ。育児休暇を取ると宣言し、イクメン政治家として注目を集めていた元衆院議員の夫は、金子の妊娠中に自宅マンションに浮気相手を招き入れてお泊り。しかし、「離婚の二文字が浮かんだことはまったくなかった」と金子は語り、「“許すチカラ”で、私は幸せになれた」という思いから、著書『許すチカラ』を出版。その翌月、4年ぶり2度目の夫の不倫が報じられた際も“許すチカラ”を発揮した金子だが、葛藤を乗り越えたからこその目線で、目下、政治だけでなく家庭のことまで話せる存在として、ワイドショーのコメンテーターとして引っ張りだことなっている。

周囲からの「強い」評価の裏には“強くならざるを得ない” 妻、母、女性としての決断

 思えば昭和の頃、女性は耐えることが美徳とされ、夫の“女遊び”にも酒やギャンブル癖にも泣き寝入りを強いられるケースが多かった。不十分とはいえ、女性の社会進出が進んだ今、女性は自分の意思を堂々と表明することが当たり前になってきた。相変わらず男たちの“お遊び”はなくならないが、令和の今、少なくともそれを黙って耐える女性は少ない。ある意味では、それだけ女性は強くなったとも言えそうだが実情はどうか。

 上記の有名人の場合、離婚してシングルマザーとして奮闘する人、裏切られても家族を支えることを選択する人と対応は分かれる。別れる、別れないは、それまでの夫婦関係や子供との関わり等、人それぞれ状況も考え方も異なる問題。どちらを選ぶかは個人の自由だ。ただ、どちらのケースでも言えるのは、皆、他人には計り知れない苦悩を経験したということ。それに加え、常に衆人環視の状況に置かれている芸能人は、多大なプレッシャーを受けている。そんな中、子どもを守り、夫の不祥事に端を発した苦難を乗り越えるには、“強くならざるを得なかった”ということだ。

 もちろん世の中には生活費の不安から、離婚したくてもできない女性は大勢いる。その点、芸能人は売れっ子であればあるほど、収入はあるし、不祥事を逆手にとって仕事を増やす一部の芸能人のように、頑張り次第で収入を増やすこともできる。離婚するにせよ、家族を守るにせよ、経済力があることが、自分の望む道を選択でき、前に進む力となり、「強さ」につながっているのも事実だろう。

 さらに、佐々木希は、昨年9月の『an・an』のインタビューで、夫の不祥事発覚後、いかに辛かったかを吐露した後、最終的には「(大人になって)他者の弱さも多少は受け止められるようになっていた。だから最悪な出来事を最悪なまま終わらせたくないと思うことができ、立ち上がれたのかも」「経験は糧にしなければもったいない」と発言した。

 「芸能界は感情過多で自己顕示欲の強い人の集まり」と、芸能レポーターの故・梨本勝さんは語っていたが、それゆえに様々なスキャンダルも起きるし、そのダメージを肥やしにできるのが芸能人。ある芸能プロの新人開発担当者は芸能界で成功する人の資質に「自己主張ができる人、自己プロデュースができる人」をあげているが、同じような意味だろう。佐々木の場合も、元来、備えていた「強さ」が、夫の不祥事をきっかけに起動したのかもしれない。

 トップタレントとして仕事にも収入にも恵まれた女性有名人たちの選択は、一般人とは同等に語れないが、一口に「強い」と評される言葉の裏には、妻として、母として、女性として、様々な苦悩と決断がはらんでいることは一般人と同じ。そしてその決断が周囲からさまざまに評価され、揶揄されることも。

 時代の一歩先を歩く女性有名人たちの振る舞いは、今を生きる女性たちの歩みの指針となる。「強い」と称賛される背景には、そんな女性たちの自分のあり方への願望も込められているのかもしれない。すべての女性が、彼女たちのように自分の生き方を自由に選択でき、個々のその選択を周囲が認める社会に変わっていくことを願いたい。
(文:河上いつ子)

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