ORICON NEWS
新宿の3D“巨大猫”の大反響に驚き、「コロナで落ち込む新宿に明るい映像を」仕掛け人の願い
海外でも話題沸騰、リアルな三毛猫の裏にあの映画の“化け猫”の影?
「ここまでの反響は想像以上でしたね。もともと『みんなに愛されるマスコットキャラを作ろう』くらいの企画だったのですが、これだけ大勢の方々に観ていただけて、本当にありがたいことだと思っています」
――昼と夜とでも、異なる動きをするんですよね。
「昼は、寝ている猫が間違えてスイッチを押してビジョンに映し出される…という『おはよう篇』、夜は逆に、寝落ちしてスイッチを消しちゃう『おやすみ篇』を放映しています。もともとは朝7時から深夜1時までの放映予定でしたが、今は政府の指導もあって夜8時で放映終了しているため、夜7時30分から『おやすみ篇』を放映しています」
――とても可愛らしい猫ですが、モデルはいるのでしょうか?
「具体的なモデルはいません。ただ、今回の制作をフルサポートしてくださったのが、映画『空海-KU-KAI-美しき王妃の謎』(2017年)で化け猫のキャラクターを制作された、老舗の映像制作会社オムニバス・ジャパンさんなんです。とはいえ、別に化け猫がモデルというわけではないですよ(笑)」
――なるほど(笑)。動きがリアルで驚きましたが、制作も大変だったのではないですか? どれくらい時間がかかっているのでしょう?
「今年の年明けから、どんな動きをさせるかなどの話し合いを含め、大体5ヵ月くらいです。猫の動きを骨格レベルから分析してフルCGで再現しているのですが、それはすごく細かい作業。1秒1秒、作るのがとても大変でした。時間的にもあまり長いものを作るわけにはいかないので、限られた時間の中でどれだけ楽しんでもらえるアクションを詰め込むかという点に苦労しましたね」
コロナ禍で落ち込む新宿への思い、放映時間の周知で人流への配慮も
「海外では、昨年あたりからL字の画面や湾曲した画面を利用した3Dの広告映像が注目されていましたが、日本ではまだ目立った事例がなかったので、やってみたいという気持ちはありました。動物にしたのは、ビルのマスコットキャラも兼ねて、という意味もあります。渋谷には“ハチ公”、池袋には“いけふくろう”という動物キャラがいますが、新宿には特にイメージされる動物はなかった。そこで『犬やふくろうのように愛される動物として、猫はどうだろう?』という発想でした」
――三毛猫にしたのは?
「新宿と言えば、コロナ前は外国人観光客の方が非常に多く訪れていた、インバウンドが強い場所です。そこで、いろんな猫がいる中でも“和を感じられる毛色”にしようと三毛猫に決めた次第です」
――コロナ禍の今、インバウンド需要は大きく減少したと思います。落ち込んでいる新宿の街を盛り上げたい、という思いもあったのでしょうか?
「はい。昨年から、新宿に限らずネガティブなニュースが多くなっていますが、そんな中でも、街を歩いている人が思わず笑ってしまうような明るい映像を作りたいという思いは当初からありました。まさか、ここまで反響があるとは思いませんでしたが…(笑)」
――話題が大きくなっただけに、人が集まりすぎる心配もあるかと。
「そうなんです。新宿東口広場は広いし、オープンスペースでもありますが、やはり密にならないように気を付けないといけません。そのため、これまで1時間に8回だった放映回数を19回にまで増やし、公式Twitter(@cross_s_vision)で放映時間を流しています。これは猫を観にきた人たちの滞留時間が長くならないように、と考えました。いくらオープンスペースであっても配慮が必要な時期ですので、できる限りのことはしていきたいと思います」
本放送後も猫は変わらず、新バージョンも公開予定
「特に変わりなく、今までと同じか、もっと増やすかもしれないです。猫の映像を観て、『あのような3D映像を流したい』という広告主の方もいらっしゃいますし、クロス新宿ビジョンが今後、いろいろな面白い映像を流せる媒体になればいいなと思います」
――同日から東京に緊急事態宣言が発令されていますが、その点については?
「やはり、政府の指導、方針に準ずる形で運営したいと考えています」
――猫の映像を楽しんでいる人たちに、伝えたいことはありますか?
「今、『おはよう篇』『おしゃべり篇』『おやすみ篇』の3バージョンを流していますが、さらに新バージョンも制作中で、7月末から8月初旬に公開予定です。詳しい内容はまだ秘密ですが、今よりも多くのアクションを盛り込んでいますので、ぜひ楽しみにしてください」