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鉄拳、パラパラ漫画描き続け10年 泣ける作品と持ちネタとのギャップに葛藤「“いい人”に見られるようになって困った」

 お笑い芸人で、パラパラ漫画家としても活躍する鉄拳。イギリスのバンド・MUSEの楽曲をバックに夫婦の半生を描いた『振り子』で世界的な注目を集め、その後も連続テレビ小説『あまちゃん』劇中アニメーションなど、数々の「パラパラ漫画」を発表してきた。一方で、「パラパラ漫画」への絶賛と反比例するように、ネタ披露の機会は激減。芸人として“いい人”に思われることへの困惑や葛藤もあったという鉄拳に、10年もの間パラパラ漫画に取り組んできた想いを聞いた。

漫画家にプロレス、俳優も断念、すべての挫折が生み出した「鉄拳」という芸人

──もともと鉄拳さんは漫画家志望だったんですよね。なぜお笑いの道に入られたんですか?

鉄拳高校生の頃に「ちばてつや賞」をいただいたんですが、その後まったく賞に引っかからなくて、第2の夢だったプロレス団体に入ったんです。だけど、体が小さいからプロレスラーは無理だと言われて、次に劇団で芝居の訓練を始めたんですが、滑舌が悪くて諦めて。その頃ブームだった『ボキャブラ天国』を見て、絵を描くのは好きだし、フリップ芸だったらできるんじゃないかな? という軽い気持ちでライブに出たのがきっかけでした。

──昔から人を笑わせるのが得意だったんですか?

鉄拳いやー、クラスとかで笑いを取ってるのって明るいグループじゃないですか。僕は暗くて目立たないほうだったので、当時の同級生はお笑いの道に進んだことにびっくりしてます。

──「こんな○○は○○だ」のフリップネタでブレイクした時の心境は?

鉄拳笑いが取れたことよりも、イラストで何かやって認められたことがうれしかったですね。ちなみにメイクや衣装の元ネタはプロレスラーのロード・ウォーリアーズなんですけど、イカツい男が滑舌悪くネタをやることが面白がられたフシもあって。「鉄拳」という芸人は、それまで僕が挫折したものが全部合わさってできたようなものなんです。

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