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(更新: ORICON NEWS

山本ゆり、“安心できるレシピ”を発信する意味 お母さんの縛りに「少しでも気持ちをラクに」

「忙しくても疲れていても作れる」文言に違和感、「気持ちを楽にして」と伝えたい

――家庭において料理をするのは“お母さん”というイメージがまだまだ強いと思います。山本さんは料理に携わる仕事をしていらっしゃいますが、生活している中でそのような“決めつけ”や“役割として縛られる”ことを感じる場面はありますか?

【山本ゆり】決めつけや縛りを感じること、多くはないですが、色々な場面であります。我が家の場合、夫が食事に文句を言うことは絶対ないし、「カップ麺でもなんでもOK、なければないで全然いいよ〜」というタイプなので、食事の面はかなり楽です。でも、私が作って片付ける前提ではあるし、共働きなのに私の職場が家というだけで、私が基本的に家事全般を担っているのは「なんでやねん」と思います(笑)。そこに関しては、自分が開き直ってスキルを上げたり手を抜いたり、個人的に対処するほうが楽だと思ってしまうぐらい、長年培ってきた意識や価値観を変えるのって難しいです。

――そのような思いは、ほかの女性たちも抱いていると感じますか?

【山本ゆり】ブログのコメントを読むと、毎日何品も並べないといけないとか、足りないと文句を言われるといったご家庭もあって、それはもう完全に「作ってもらえるのが当たり前だ」という認識があるからだろうなと思います。(ほな自分で作りなはれ!って思うし、私はもし文句を言われたら「ほな自分で作りなはれ!」って口に出すので(笑)、夫は面倒なことは避けて黙って食べています(笑))

――そのような方たちからの声に触れたとき、山本さんはどんなことを感じますか?

【山本ゆり】すべてが平等はなかなか難しいし、いわゆる亭主関白でもかかあ天下でも、それぞれの家庭がうまくいっていたら全然いいと思いますが、どっちかが常に我慢をしていたらしんどいですよね。あと、「お母さん」としての縛り。離乳食、お弁当、毎日のご飯…楽しんでやっている分には全然いいですが、良い母親像(そんなん無いのに)に縛られてしんどい思いをされている方は多いように感じます。「今日は体調が悪かったけど、ゆりさんのレシピで助けられました」とか「子どもを抱えながら3品作れました。ありがとうございます!!涙」などといったコメントを読むと、「お役に立てて良かった」と思う反面、「いやいや、そんなときはなんも作らんでいいねんで!!」と肩をゆさゆさして休んでもらいたくなる(笑)。

――「お母さん」としての縛り、あるように思います。休みたいときは誰にでもあるはずなのに、なぜか頑張らなくてはいけない雰囲気が。

【山本ゆり】だからこそ、「忙しくても疲れていても作れる!」みたいなレシピにはジレンマも感じています。そんなときでも母親は食事を作らなあかんってことかいと。とはいえ、いくら「晩御飯は1品で十分です」とか「全部お惣菜でいい」と言っても、長年培った価値観はなかなか変えられないし、自分が良くても家族が良くないという方(逆に家族が良くても自分が嫌だという方も)もいらっしゃるし、どうしても作らないといけないときもある。なので、そもそもは作らんでいいというのを伝えつつも、そういうときに気持ちが楽になるような簡単料理を紹介できたらと思います。

――“母”の役割を担うなかで、他に大変さやジレンマを感じる部分はありますか?

【山本ゆり】私が特に感じるのは、仕事と育児のことです。父親は子どもを持っても仕事のペースは変わらない場合が多いけど、母親は減らさざるを得ない場合がほとんど。減らさないと自分勝手な気がしてしまったり、減らせない場合は夜中の作業になったり、全部抱えて潰れそうになったり。でも、こんな愚痴も「自分が選んだ道」「じゃあ辞めたらいい」みたいになりそうで公には言えない。男の人ならそんなことはおそらく言われないので、そういう部分も平等じゃないなと感じます…みたいな話を言うことすら、子どもが可哀想な気がして罪悪感を持ったりもしますし(笑)。もちろん同様に、子どもが産まれても時短にできないとか休めないとか、男としての役割に縛られている男性の方も多いので、そこはどっちがどうとかではないんですけどね。

――最後に、今後どのような活動をされていきたいか、発信するレシピを通してどのようなことを伝えていきたいか、展望をお聞かせください。

【山本ゆり】ブログでも本でも、自分のレシピで誰かの役に立ちたいとか、自炊を広めたいといった立派な考えはなく、自分が美味しく作れたもんを「なあなあ、これほんま簡単で美味しいから作ってみて…」と友達に言うみたいな感覚で書いていて。だから、何を伝えたいとかは意識せず、これからも変わらず気楽に思いついた美味しいもんを発信していけたらいいなあと思うし、それでどこかの誰かに喜んで頂けたら、本当に幸せです。

『syunkon日記 おしゃべりな人見知り』(扶桑社)

著書累計670万部の人気料理ブロガーで料理コラムニスト・山本ゆり、5年ぶり待望のエッセイ集。 「特になんの事件もない、何気ない日常の話をこれでもかと詰め込んだ1冊。でも人生は日常がすべてなんですよね。どこを切り取るか、どう捉えるかで人生は悲劇にも喜劇にも持っていけるから、どうせなら小さい幸せをいちいちクチャクチャ噛みしめ(ガムか)、できるだけ面白がって過ごしたい」(著者あとがきより) 時に一緒に笑い、時に悩みに寄り添って涙する。泣いて、笑って、大忙しの作品集。大人気料理ブログ「含み笑いのカフェごはん『syunkon』」の大反響ネタに大幅加筆。さらに書き下ろしの新作も多数掲載。エッセイにちなんだおいしいレシピも掲載した欲張りな一冊です。
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