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韓国版『鬼滅の刃』デザイン変更は適切だったのか? “現地化”の課題

“認識の差”が生じた際、どの程度の配慮が必要か?

“現地化”は、海外でアニメ放映する際の一般的な手法だが、今回のデザイン変更騒動のように認識の差が生じた際にどの程度配慮が必要か、線引きは難しい。しかし、作品舞台の背景や、話の文脈から変更の是非を判断することも重要ではないだろうか。

「韓国では一時の動きによって、すっかり『旭日旗』がかつて『大東亜共栄圏』を掲げてアジア進出をはかった大日本帝国の象徴とされてしまいました。しかし『鬼滅の刃』の舞台となった大正時代初期の日本の人々が『旭日』をそう認識していたとは考えにくい。あくまで『海軍』の象徴でしょうし、作中で言及されるように『大正に改元したことを知らない人々もいる』状況。作者はもちろん、当時の人々にとっては『旭日』は、「花札」にも取り入れられている一つのデザインであり『アジア侵略(進出)』と重ねて見ていたと考えるのは難しい」(山元准教授)

 とはいえ、それを見て嫌な気持ちになる韓国人がいるなら「世界発信の前に配慮すべきだったのか?」。山元准教授は、否と考える。もしそうしていたら、今度は「なぜ改変した」と騒ぐ層が出てくるはずというのがその理由だ。

「今回の騒ぎには、日本で放映されたまま『放映したかった』『観たかった』層と、近年残念な方向にある日韓関係、その狭間でのジレンマを感じます」(山元准教授)

 「日本版のまま観たい」層が増加している事実からも、むやみな変更は作品のファン(=顧客)のニーズと乖離するリスクも生じさせる。また必要以上の配慮は作品内に込められたメッセージを汲み取りづらくする恐れもある。一概にデザインを変更するのではなく、作品の良さを損なわないことへの配慮も大切。今後も日本のコンテンツを世界に届け、多くの人が楽しむためには、より深い議論が必要だろう。

(文=衣輪晋一)

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