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【初対談】フジファブリックと幾田りらが交わす「I Love You」 2020年一番聴いた1曲は?

「表現の引き出しめっちゃある!」(山内)「私の存在を知っていることに驚き」(幾田)

――ここからはフジファブリックと幾田さんのコラボレーション楽曲『たりないすくない』についてのお話を聞かせてください。先ほど2020年は幾田さんの曲をたくさん聴いていたとお話しされていましたが、改めてオファーをしたきっかけを教えてください。
山内 幾田さんの曲をたくさん聴いていて、幾田さんの歌声には柔らかさと力強さをとても感じていました。

加藤 YOASOBIと幾田さんのソロではまた方向性が違っていて、とても表現が豊かだなと。

幾田 わあぁ、ありがとうございます。夢かなと思うくらい嬉しすぎて、すごくドキドキしちゃいます……。

山内 「この人、表現の引き出しめっちゃあるぞ!」ってね。声を聴いただけで、「この歌はすごい!」と思ったので、一緒にやってもらえないかなと。

面識はなかったのでダメもとでオファーしてみたらどうだろうか?みたいなところから始まり、レコード会社を通じて連絡させていただきました。まだYOASOBIとしては歌番組などにも出ていない頃でしたよね。だから、どういう姿で歌っていらっしゃるのかも分からず。

――そんな時期にお声がけされていたんですね。
山内 顔を出していないからこそ感じる声の力強さもあったのだと思います。まだ10代だったもんね?

幾田 そうですね、最初にお話をいただいたときは誕生日を迎えていなかったので19歳でした。

――オファーが来たとき、幾田さんはどんな気持ちでしたか?
幾田 私の存在を知ってくださっていることにまず驚きで、「え! フジファブリックさんがオファーしてくださったんですか!?」と。曲を聴いてくださっていたのも知らなかったので、コラボのお話が来たときは嬉しい気持ちでいっぱいでした。

山内 そう言っていただけると僕らもありがたい。

金澤加藤 うん。
――幾田さんは現在20歳なので、フジファブリックを聴いていたど真ん中の世代とは若干ズレるのかなと思っています。実際、幾田さんにとってフジファブリックはどのような存在だったのでしょう?
幾田 J-POPの第一線で活躍されている方たちなのでもちろん知っていましたし、どストライクな世代ではないですけど聴いたことのある曲はたくさんありました。私の世代でもわかるほど残り続ける曲をつくられている方々だったので、もうレジェンドというか……。

フジファブリック一同 レジェンド!(驚き)

金澤 初めて言われましたね(笑)。

――幾田さんは、フジファブリックの曲でお気に入りはありますか?
幾田 今回のコラボにあたって、マネージャーさんにおススメ曲のプレイリストを作ってもらったんです。そのなかで、ふたりとも共通して大好きだったのが『ブルー』でした(※取材後に行われた配信ライブでは『たりないすくない』に続いて『ブルー』を披露)。

今回、そんな方たちにゲストボーカルとして呼んでいただけて本当に嬉しいです。おととい(取材日は3月9日)の配信ライブもかじりついて見させていただきました!

フジファブリック一同 えぇ!

――3月7日に公演されたFAB CHANNEL会員(フジファブリック オフィシャルモバイル会員)限定ライブですね。
幾田 配信で見させていただいたのですが、ステージに立たれている姿を見たとき、本当にカッコいい方々だなと感じました。一緒に歌えるのがとても光栄です。

山内 あれを見られていたのかと噛みしめていました……。だいぶゆるい感じのライブだったので、お恥ずかしい(笑)。

幾田 トークもすごく面白かったです! 加藤さんの怪談も(笑)。

金澤 (笑)。僕らのファンの中でも一番コアな方々向けのライブだったので、見られていたんですね……!(照れ) という感じです。

山内 やっぱり自分たちの活動ってファンの方たちの応援がなくてはできないことだったので。10年以上活動を続けてきて、2009年に志村(正彦)くんが亡くなり、そこからバンドを続けるとなったとき、自分たちだけがやろうと言っても周りがOKと言ってくれなければできなかった。スタッフの方々もそうですけど、やっぱりファンクラブ的なモバイル会員の人たちには支えてもらっている感じがあるんですよ。

だから、その人たちに対しては甘えが出てしまうのかな(笑)。みんなの前なら何でもOKだろう!と甘えが出たライブだったので、それを見られているのはやっぱり恥ずかしいですね……!

幾田 ファンの方々との信頼関係が素晴らしくて、すごく憧れます。理想です。

山内 幾田さんも今後いろいろな活動でライブをされていくと思うので、楽しみですね。今でも、SNSで「コラボします」って発信したら「りらちゃん命!」と言う方もいますから、人前に立ったら凄いことになりそう(笑)。

幾田 あはははは!

「一発目でここまでの完成度!? 」 山内が痺れ、震えた幾田の表現力

――コラボレーションした『たりないすくない』は、フジファブリックの持ち味ともいえるサイケデリックな浮遊感と、中毒性のあるリフ、そして山内さんの色っぽいまっすぐな声と、幾田さんの少女性のなかに毒を秘めた透明なボーカルが絶妙にからみあった1曲でした。最初に幾田さんが曲を聴いたときは、どこまで完成されていたのでしょうか?

フジファブリック『たりないすくない feat. 幾田りら』

加藤 たぶん最初に聴いてもらったのはフルコーラスなくてワンコーラスでしたよね。歌詞もなく「ラララ」のみのやつだったかな。

幾田 そうですね、まずはワンコーラスのサウンドだけを聴きました。YOASOBIの活動でも幾田りらの活動でも挑戦したことのないようなサウンドにビビビッ!ときました。

フジファブリック一同 ビビビッ!

幾田 ふふふ。出だしのギターのカッティングが心地良いなと最初に感じて。まさにフジファブリックさんの音楽だなと思い、この渦に引き込まれていきたい!と思いました。

山内 ありがとうございます。嬉しいですね……。

――『たりないすくない』のサウンドにはどのような工夫が施されているんですか?
山内 僕らにとって、アーティストの方たちとコラボレーションするのはすごく稀なことで。ご一緒するなら幾田さんの声の力や存在感をお借りする気持ちも半分あり、幾田さんが引き立つように、できるだけシンプルなオケに研ぎ澄ましたいと思っていましたね。

金澤 コラボレーションさせてもらうこと自体、自分たちが今までできなかった別の何かが生まれるんじゃないかと思っていたのも大きかったですし。
――レコーディングの際には、幾田さんに「魔女になったつもりで歌ってみて!」とボーカルディレクションをされたんですよね。
加藤 (金澤さんのほうを見て)彼が言ったんですよ。

金澤 歌詞は加藤くんが書いたんですけど、「本当の私はちょっとだけずるいよ」というフレーズがありまして、小悪魔っぽいと思いました。それを幾田さんがどういう風に表現してくれるのか、どんどん聴きたくなってしまったんです。そしたら、表現力が本当に素晴らしくて……1テイク目でほぼOK。CDを聴いているみたいでしたね。

――そこまでの完成度とはすごい……!
山内 あれは本当にすごかった! ボーカリストとしてちょっと凹むもん、あんなに上手かったら。「一発目でここまでの完成度!? 痺れる! 震える!」って(笑)。この感情で歌ったらどうなる?といった僕らのリクエストにも瞬時に応えてくれましたし。

幾田 嬉しいです、ありがとうございます……!

金澤 おそらく練習をたくさんしてくださったんだろうなと。どういう風に歌うかのプランをちゃんと考えてきてくださりました。

グルーヴを意識して練習、フジファブリックの世界に

――YOASOBIの『夜に駆ける』ではテンポを16分音符にまで刻むという鬼のような練習方法をされていたそうですが、『たりないすくない』はどのように練習をされていたのかぜひ教えてください。
幾田 YOASOBIの曲だとテンポが速く、かつ一つ一つの言葉に1音ついているのでメトロノームで16分を刻む練習をしています。でも、曲によって練習方法は違っていて、それこそ『たりないすくない』はグルーヴに乗る意識を持って練習しました。

山内 もう耳が痛いですよ……。

一同 ははははは!

金澤 こちらからお願いしたらどういう表現が返ってくるのかとても楽しみでした。レコーディングは楽しませてもらいました。
――今回作詞作曲された加藤さんとしては、幾田さんのボーカルはどのような印象でしたか?
加藤 大人と少女が同時にいるというか、まさに書いた歌詞の中の世界の人としてバッチリはまっていたなと思います。(幾田さんに向けて)本当にありがとうございます。

幾田 (照れながら)こちらこそありがとうございます!

山内 幾田さんはいくつのときから歌われているんですか?

幾田 山内さんがインタビュアーみたいに……!(笑)

山内 すみません(笑)。

――どうぞどうぞ、続けてください(笑)。
幾田 歌い始めたのは物心ついた頃からですね。ずっと好きで歌っていました。アーティストとして活動を始めたのは中学3年生くらいで、ライブ活動をしたりオーディションを受けたりしていました。

山内 アコギも、歌うときに自分で伴奏するために始めたんですか?

幾田 そうです。父が家でギターの弾き語りをしていた影響もあります。
金澤 じゃあもう自然と音楽に触れる環境があったんですね。

山内 YouTubeとかも小さい頃からあった世代でしょ?

幾田 ありましたね!

山内 それは、上達が早いですよね……。今後、YOASOBIとしての活動でも幾田りらさんとしての活動でも、いろんな世界を見せてくれるんじゃないかなと期待してしまいますね。すでにレコーディングのときと今とで全く違う感じがするもんね。

幾田 それは、歌い方がですか?

山内 いや、人ですね。アーティストの雰囲気をビシバシ感じる。

金澤 たしかに! 伸びがすごい!(納得)

――レコーディングはいつ頃だったんですか?
金澤 (2020年の)年末でしたね。

山内 そこから、幾田さんとしては、あれもあったしあれもあったしあれもあったからね……。

幾田 たしかにそうですね! いろいろ経験させていただきました。

――年末にはYOASOBIとして紅白に出場し、先月2月には初ライブを行うなど、激動の真っ只中ですよね。
山内 一個一個の舞台が勝負じゃないですか。そういう大変な戦いを短い期間の中でくぐり抜けられて、すごく光輝いている姿を拝見していると今後が末恐ろしい……。

金澤加藤 末恐ろしい!(笑)

山内 どんな世界を見せてくれるんだろうなって思います。

幾田 頑張ります!

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