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“キッズタレント”の新潮流 大人を凌駕するスキルでバラエティ需要拡大

  • ドラマ・映画、バラエティ、CMと幅広く活躍するキッズタレント(写真左より鈴木福、芦田愛菜、寺田心)(C)ORICON NewS inc.

    ドラマ・映画、バラエティ、CMと幅広く活躍するキッズタレント(写真左より鈴木福、芦田愛菜、寺田心)(C)ORICON NewS inc.

 1980年代の『所さんのただものではない!』や『あっぱれさんま大先生』(ともにフジテレビ系)などにはじまり、数々のバラエティ番組で活躍する“キッズタレント”たち。当時は「子どもらしさ」満点のボケ回答や発言がウケていたが、現在の『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』(テレビ朝日系)や『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』(日本テレビ系)では、子どもは「大人が忘れてしまったことを教えてくれる先生」、あるいは「大人を軽く超える専門知識の研究者」として活躍している。昭和〜平成〜令和の変遷に見るキッズタレントの歴史と“トレンド”とは?

「あどけなさ」「子どもらしさ」から“稚拙さ”は不要に

  • サンドウィッチマンとMCを務める芦田愛菜(C)ORICON NewS inc.

    サンドウィッチマンとMCを務める芦田愛菜(C)ORICON NewS inc.

 キッズタレントを定義づけると、ドラマなどで子ども役を演じる俳優(=子役)のことではなく、「素の子どものまま活動するタレント」のこと。もちろん、従来の子役とかぶる部分もあるが、昭和の後半から先述の『所さんのただものではない!』の間下このみやカケフくん、『あっぱれさんま大先生』の山崎裕太や内山信二など、キッズタレントが“メイン”として活躍するバラエティ番組が増加。平成でも『ウゴウゴルーガ』(フジテレビ系)のように一世を風靡した番組もあったが、基本的には子どもらしいかわいさ、あるいは逆に「子どもなのに○○」であることをウリにしていた。

 現在でもEテレ(かつての教育テレビ)では、平日の夕方に『天才テレビくん』『クックルン』シリーズといったキッズタレントがメインとなる番組が放映されており、そこから人気俳優やタレントが輩出される定番の流れがいまだ残っている。ただ、民放を含むテレビ業界全体としてはキッズタレントがメインの番組は減少傾向。その理由は、子どもをそのままタレントとして活躍できるかどうかが未知数だったからだ。

 しかし、近年は大人がメインの番組に子どもが“一出演者”として登場し、自ら身に着けた知識や技術を“武器”にパフォーマンスを繰り広げている。実際、先述の『サンドウィッチマン&芦田愛菜の博士ちゃん』や『クイズ!あなたは小学5年生より賢いの?』でも、「子どもだから持っているもの」を最大限に発揮し、しっかりと自分の役割を果たしているように見える。とはいえ、見た目の“子どもらしいかわいらしさ”はもちろん大前提としてあり、そもそもそのギャップがウケているのだ。

子役=短命はなぜ? ブレイクと成長で起こる様々な要因

 かつてキッズタレントがまだ“子役”と呼ばれていた時代を思えば、どうしてもついて回るのが“負の歴史”。幼くして売れっ子になったことから、社会経験が少ないぶん金銭感覚など世間と乖離したり(そのあたりのことは先の内山信二も告白)、親子間の骨肉の争い等々のスキャンダルがマスコミを賑わせてきた。中には一世を風靡した後、殺人事件で刑に服している元子役までいる。

 そして何より、幼少時代の“無垢さ”や“かわいさ”が年齢を重ねるごとに変質し、視聴者からある種の“がっかり感”として捉えられてしまうことだ。本来は当たり前のことなのだが、かわいければかわいいほどギャップも大きく、最近の言葉で言えば“劣化した”と見られてしまう。

 ひょっとしたら現在のキッズタレントや子役たちは、もはや“無垢さ”や“かわいさ”だけでは生き残れないことを認識し、プラスαの専門性を身に着けて自分の価値を上げようとしているのではないだろうか。

新たな道筋を作った芦田愛菜 天才キッズの貢献

  • バラエティ出演も多い寺田心(C)ORICON NewS inc.

    バラエティ出演も多い寺田心(C)ORICON NewS inc.

 現在、ここまでキッズタレントが市民権を得てきたのは、天才子役と呼ばれた芦田愛菜、鈴木福、寺田心などの功績が大きいだろう。ひと昔前なら、子役の成功から引き続き思春期〜大人にまで人気をつなげていくことは難しかったように思うが、彼らは現在進行形でドラマや映画はもちろんバラエティ番組にまで進出し、着実に実績をあげている。

 特に芦田は、人気絶頂時の小学校高学年時から徐々に仕事をセーブしながら2017年、慶應義塾中等部に入学。華麗なカムバック効果もあって一挙に好感度もアップ。2018年にNHK連続テレビ小説『まんぷく』で朝ドラ史上最年少ナレーションを務め、2019年には「天皇陛下御即位をお祝いする国民式典」に出演、祝賀メッセージを述べるなど、まさに「国民的娘にしたいタレント」に成長。読書家であるという知的部分も最大に活用しながら、先の『サンドウィッチマン〜』ではMCも務めるなど、活動の場を確実に広げている。

 そんな芦田に引っ張られるように鈴木福や寺田心も人気・好感度をキープ、本田望結をはじめ真凜・紗来の本田姉妹もバラエティ番組やYouTubeで人気を博するなど、その波及効果はキッズタレント・子役業界全体に広がっているともいえよう。

キッズYouTuberやTikTockerの台頭 SNSがバラエティスキルを得る場にも

 さらに、子どもが地上波のバラエティ番組に出演するようになったもう一つの理由が、キッズYouTuberやTikTokなど子どもに注目が集まるSNSコンテンツが増えたことがあげられる。

 テレビや映画の世界だけで生きてきた子役とは違い、彼らはSNSを通して老若男女を問わない知名度を獲得し、「○○役の子」ではなく、YouTubeチャンネルの更新頻度が高ければ、「○○ちゃん」という愛称(名前)とともに顔が記憶される。そして狭き門であったはずのテレビへの露出も増えていくのだ。

 ここ数年、子どもが「将来なりたい職業」として「YouTuber」がベスト3に入り続けているのも、「(女優・俳優・タレントなどの職業)になりたい」のではなく、「有名になりたい」を叶える“きっかけ”として選ばれているからかもしれない。

 こうしてみると、今の子どもたちはテレビ以外にインターネットやSNSに触れることができる、大人に教わることなく自分で世の中のトレンドをキャッチすることができる。キッズタレントや子役にしても自分に何が求められているのか、自らが調べ考えることができるのである。

 もちろん、彼らがエンタメ界で残り続けることだけが正解ではない。以前より進む道の選択肢が広がっており、自分自身で決定できるようになったことが、現代を生きる子どものメリットともいえるのでは。そんな“賢い”今どきのキッズタレントたちがどんな大人になっていくのか、そしてこれからどんなキッズタレントが誕生してくるのか、見守っていきたい。

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