ORICON NEWS
もはや1つの作品として昇華? 進化する“再現VTR”にみるバラエティ番組の多様化
テレビをメインにした空間づくりで「お茶の間を取り戻す」
「一人暮らしのお宅でも通勤電車の中のスマホでも、『テレビをメインで観る空間』であれば、それはある意味でお茶の間だと思っています。この番組は19時という放送時間帯もあって、とくに小・中・高校生、つまりファミリーを意識して制作しています。塾や部活で忙しい子どもたちも、『THE突破ファイル』の日は急いで帰ろう、みたいな気持ちになってくれるのが理想です」
公式Instagramでは告知だけでなく、番組出演者が登場するオリジナルの“隠し球動画”も惜しみなく配信。番組に登場するキャラにまつわるこぼれ話や、クイズのヒントを配信することもあり、充実した内容で若い世代からの関心を集める工夫を絶やさない。
「放送日を思い出していただけるように、SNS担当スタッフがハッシュタグをこれでもかとばかりに付けています(笑)。視聴者の目線の先にあるものがテレビだけではなくなった今、僕たちテレビ制作者は『リアルタイムで番組を観てもらう時間』をどれだけ持っていただけるかを、心底から意識する必要があるんです」
番組のコンセプトは、「最後まで諦めなかった人にスポットを当て、絶体絶命のピンチを突破した知恵と勇気にエールを送る」。困難や窮地に陥っても諦めずに乗り越えた数々のエピソードは、世代を問わず多くの視聴者を感動させるだろう。ハラハラドキドキの映像を観た後のスタジオは、どこかほっこりした雰囲気が漂っているところも安心できる。
新型コロナウイルスの感染拡大でロケができなくなった6月には、EXIT・兼近大樹、ぺこぱ・松陰寺太勇、ハナコ・岡部大をアニメ化して「突破警察」の再現ドラマを制作したことも。その放送回は爆笑とともに神回と反響を呼び、さらに2次元キャラをグッズ化したところ瞬く間に売り切れるという現象まで起こした。ピンチを知恵と工夫でまさに突破してプラスに転じたのだ。
個々がスマホを片手にテレビを“ながら見”するスタイルが定着した今の時代に、全世代に向けたアプローチで「お茶の間を取り戻す」という熱意を絶やさない同番組。間口は広く、観るとディープに楽しめる内容が、今後どんなかたちでお茶の間を盛り上げていくのか。挑戦はまだまだ続く。